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日本式ピラミッド型組織は、「持続的イノベーション」には強かった(前編)

次の2つの論考に触発されての投稿です。
*GAVIさんの組織とイノベーションに関するノート記事(2022.4.10)
*清水洋『野生化するイノベーション』(新潮選書)
多少、長い話になるので、2回に分けて投稿します。

1.話の前提


 この記事は、これまでに私が企業組織について考えてきたことの延長です。ここでの論考のベースにしている考え方を整理すると、次の2項目になります。

企業組織を設計する原則は《業務と組織と人材をフィットさせること》である。
業務の不確実性の程度と安定的に求められる成果の組み合わせが、ピラミッド型組織とネットワーク型組織の有効性を決める
不確実性が低い代わりに安定して90点の成果が求められる業務にはピラミッド型組織が有効で、不確実性が高く10点の成果と170点の成果が混在してもよい業務にはネットワーク型組織が有効である。

2.GAVIさんの論点

 
 GAVIさんのエッセイ『ジャズコンボ型組織が『破壊的イノベーション』を創造しやすい理由を野中郁次郎教授のSECIモデルで説明』は、企業組織と楽団の類似性に着目してジャズコンボ型(ネットワーク型の一種である私は思考えています)と破壊的イノベーションの親和性を指摘しています。

ジャズコンボ型組織は「個性歓迎・多様化・異質の取り入れ」といった考え方もあるので『破壊的イノベーション」が期待できると考えています

 私は、この考え方に賛成です。「破壊的イノベーション」については、次の《3. 「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」》で、詳しく説明します。

 ところで、GAVIさんは、次のようにも指摘していらっしゃいます。

オーケストラ型組織やスウィング時代のビッグバンド型組織では譜面通りに演奏することが大原則なので上記の 新しい『暗黙知』が生まれ『形式化』していくサイクルは『持続的イノベーション』の創造には結びつく可能性は秘めていると考えられます。

 では、オーケストラ型組織(ピラミッド型の一種であると私は考えています)は、どのような条件がそろうと「持続的イノベーション」に結びつくのでしょうか?

3.「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」 

 
 「持続的イノベーション」は、商業価値が確立した新技術に磨きをかけ実用性と技術の水準を高めていく活動です。
 これに対して「破壊的イノベーション」は、市場を支配している既存技術から優位性をくつがえし、それに置き換わる新技術を産み出すことです。
 
 端的な例が、テレビの技術です。ブラウン管テレビの時代に世界のNo.1は日本勢でした。元々は欧米企業が開発したブラウン管の技術に日本の電機メーカーは磨きをかけ、先行する欧米企業に追いつき追い越し世界の先頭に立ちます。
 
 このブラウン管テレビに対する「破壊的技術」が液晶テレビです。ブラウン管テレビでは日本メーカーに追いつけないと考えた韓国メーカーが液晶テレビを採用し、ブラウン管テレビの優位性をくつがえしてしまったのです。


今回は、ここまでです。次回《4.清水洋『野生化するイノベーション』の論点《5.メンバーシップ型雇用と「持続的イノベーション」の親和性》《6.日本企業の新たな課題》について語ります。

お付き合いいただき、ありがとうございました。
第2回も引き続きお付き合いいただけますことを願っています。


《日本式ピラミッド型組織は持続的イノベーションに強かった(前編)》
おわり

次回はこちらです⇒





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