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僕と自転車と、自転車の可能性
自転車と僕
僕の自転車との出会いは2017年5月のGW明け、
同期との沖縄旅行帰りで
日焼けして出社した僕に、先輩が
「おっ。けーすけ、よく焼けてるね。
てことはトライアスロンやるよね?」
とパワハラまがいの勧誘をしてきたことがきっかけでした。
当時の僕は今以上に仕事が全然できず、
周囲に迷惑をかけまくって怒られまくり、
怒られるのが嫌で逃げまくり、
逃げたことでさらに怒られまくり。
結局自分で自分の首絞めてるだけだね、
って今は思うし、そう思えるようになって良かったのですが、
当時の僕からすると、会社にいる全員が敵に見えて、誰にも話しかけたくないし話しかけられたくなくて、会社行きたくない、電車止まれ、家とか火事になれ、むしろ会社火事になれ、とか毎日思ってました。
思ってたのに結局先輩に見事にクロージングされた僕は、それから2週間後には新品のロードバイク15万円にまたがり、突然2ヶ月後に控えたトライアスロンに向けて練習を始めるのです。
初めてロードバイクに乗った時のこと
発注して2週間ほどで納品連絡が入り、ちょっとワクワクしながら自転車屋さんに受け取りに行くと、
カタログで見たピカピカの「僕の自転車」が目の前に。当時もう28にもなるのに、完全に新しいオモチャを買ってもらったあの頃の僕に戻ってました。
周辺機器の買い物と簡単な乗り方のレクチャーを済ませて、自転車をお店の前に運んでもらい、サドルにまたがって、いざ一歩目(ひと漕ぎ目)。
軽く踏んだだけなのに、
スイーーーーーーーーッとどこまでもどこまでも行けそうな、実際「あ、このままどこへでも行ける」と思ったのを覚えてます。
風が前髪を押し上げるのを感じて、自然と口角があがりました。
急に空が広くなって、見慣れた街並みが「自転車が見せてくれる景色」に変わってゆきました。これすきだ、と思いました。
いま
それから2年たった今も、至らぬ点が多い、どころか、ほぼ至らぬ点で構成されたまま、至らぬ点の集合体として生きてるのですが、少なくともそれを受け止めて向き合うことができるようになりました。
前よりは仕事も任せてもらえるし、
今の仕事や事業、同僚を好きだな、と思っています。
自転車がそのすべてをもたらしたので全員今すぐ乗るべき
なんて言うつもりは全くなく、
九分九厘は同僚や上司の継続的なご指導のおかげであることに疑いの余地はないのです。
余地はないのですが、一方で。
残りの一厘に自転車があった、ということにもまた、疑いの余地はないと思っています。
大事な友達の話
話は変わりますが、僕の高校時代の友達で、Uくんという人がいます。
彼は高校で一番頭が良くて、日本一の大学の難しい学科で難しい国家資格を取って、
卒業後は難しい会社で、なにやらよく分からない何かの設計をしているエリートの何かでした。
そんな彼から、去年の今ごろ、
休職することになったので、気分転換に遊びに行きたい、と連絡が来ました。
びっくりしましたが、会社というものがどうしようもなく僕を死に追いやろうとするような、実際的な死でなくとも、哲学的ゾンビ化へまっしぐらのようなそんな感覚になるのはちょっとわかるし、
何をして遊ぼうか、と考えた結果、
二人でレンタサイクルを借りて、代々木公園や皇居をぐるぐる回ってみることにしました。
その日Uくんはうちに泊まる予定だったのですが、その日のうちにやっぱり地元の名古屋に帰ってしまいました。
あんまり楽しくなかったかな、と心配していると、なんと1週間後連絡がありました。
先日乗った自転車がとても気分転換になって楽しかったので、自転車の購入の相談に乗ってほしい、とのことでした。
僕は嬉しくなり、自分が購入したときに調べてまとめたメモやURLの束を片っ端から送りつけました。
それから1年経ちました。
Uくんは転職して便器を売る仕事をしています。
一緒に琵琶湖を一周したり、富士山に自転車で登ろうとして辞めてみたり、新島のトライアスロンに一緒に出場したりと、一緒に楽しく過ごしています。僕はそれを嬉しく思います。
自転車の何がいいんだろう
最近読んだ本『GO WILD』(John J Ratey,2014)によれば、継続的な運動習慣は人の自信や活力の源になるそうです。
また、木々や水辺の匂いに含まれる成分は前頭葉を活性化させ思考をシャープにし、 「それら自然と一体になる」という感覚や、「いまここに存在している(=現存性)」という感覚は、共感性やレジリエンスの向上と因果関係があることが分かっています。日々瞑想をする修行僧も、同様の精神状態になっていくそうです。
結局何でもよくって、
自転車じゃなくても良くって、
運動したら気持ちいいし、自然と一体になるって気持ちいいよね、
ってそれだけの話なのかもしれないし実際そうなのです。
そうなんだけど、何でもいいなら自転車でも良くて、僕は自転車が好きだなと思います。
自転車はすべてを改善させるものではないのだけど、
自転車があると、いつもよりちょっとだけ遠くに行けるのは間違いなくて
いつもより風を感じて、ちょっとだけ気持ちよくなるのも間違いなくて
人生すらも、ちょっとだけ、でも間違いなく良くしてくれる、そんなものだと思っています。
僕と一緒に自転車に乗りませんか。
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吉田 圭佑
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