読書ノート:『1兆ドルコーチ』

経緯という前置き

呟いて曰く

答えて曰く

というわけで読みました。面白かったです。

どういう本?

どうやって最高のチームを作っていくのかという組織構成の話です。

タイトルがキャッチー過ぎて巷にあふれる意識高い系の本ではないかと疑ってしまいますが、原著者がGoogleの元CEOとそのアドバイザーです。
あ、これガチなやつだ。

こういうビジネスのハウツー本は自身の経験などから得た学びを書き下す形式がよくあるものです。
しかし、この本はビル・キャンベルという人物の死後、彼のノウハウを世に広めようという、他にない動機で書かれた本であるため、弔事+伝記+ノウハウという数奇な食べ合わせになっています。

ここだけ聞くと生きてるうちに出せよと言いたくなるのですが、本書を読めばビルさんの人柄によるものと理解できます。
マジモンのギバーは自己主張しないから全然目立たなかったんですね。

概要

前述の通り弔事と伝記の側面もあるので読み物としても素敵なのですが、ビジネス書としてもとてもためになります。

ざっくり以下のテーマで章が別れています。

マネジメントスキルについて
信頼構築について
チーム作りについて
愛について

マネジメントスキルについて

ビジネスパーソンにとって一番即席で効く内容が詰まっています。

ビルさんがCEOのコーチをしていたので話がCEOによりがちですが、一般マネジメントに使える情報が多分に含まれています。

マネジメントにおけるキーとなる考え方を、ビルさんのエピソードと近年の研究データを交えて説明してくれるのでとても腑に落ちます。

自分なりのまとめです、かなり雑まとめなので詳細は本書参照。

プライベートな話題からスタッフMTGを始める
各々が重要だと思うTOP5を持って1on1に望む
リーダーは議論に決着をつけるのが役目
決着をつけるにあたって『第一原理』をメンバーに示す
天才型問題児は組織ダメージと成果を天秤にかける
金は愛と敬意の現れなので大事
会社はプロダクトビジョンに命を吹き込むのが役目
解雇は会社の失敗なので手厚く扱う
CEOが取締役会を仕切る

信頼構築について

近年『心理的安全性』の重要性が注目をされていますが、いかにメンバーと信頼を構築して円滑に組織を動かすのかというお話です。

冒頭で信頼とは以下のことだと述べられています。

約束を守ること
誠意を尽くすこと
率直であること
思慮深くあること

なかなかに明朗で自分はとても気に入りました。

信頼関係を構築するにあたっては適切な人と関係を築かなければならない。
ビルさんは以下の「コーチャブル」な資質を持った人のみをコーチしたそうです。

正直さ
謙虚さ
努力を厭わないという姿勢
つねに学ぼうという意欲

要は上記の観点でテイカーをフィルタしたというわけですね。

上記を踏まえた上で具体例を交えてどう信頼を表すのかが深堀りされています。ざっくりしたまとめを書きます。

フリーフォームで話を聞く
フィードバックはなるべくすぐに行う
ネガティブなフィードバックは相手が安全に思う場所でする
指図せず自分たちで答えにたどり着けるようリードする
相手の自認する以上に相手の能力を信じる
ありのままの自分をさらけ出す

このなかでは「相手の自認する以上に相手の能力を信じる」というのが自分にとってインパクトが有りました。絶対できる!

愛について

なかなかビジネス書ではお目にかかれないテーマ。
どちらかというと自己啓発書で扱われることの多いテーマですね。

ざっくりいうと、ギバーであれという話を具体的なエピソード交えて伝えてくれます。

具体的にどのように人に愛を示すのかというと以下の一言に集約されています。

「人を大切にするには人に関心を持たなくてはならない」

その上で具体的な行動と取り組みのヒントが挙げられています。

「寛大に人助けを行う」「小さな自己負担で、大きなインパクトを与えるものを選ぶ」というポイントは具体的に指針が示されていて大変良かったです。(自己防衛的ギバーと言うらしいです)

また慣れていない人は雑談を通して人に関心を持つところから始めよう、とビギナーステップを示されていたのはとても素晴らしかったです。

まとめ

エピソードと最新データを元にベストプラクティスを示すというなかなか新鮮なアプローチでしたが、内容がとても理解しやすくてよかったです。

最後の章の内容は若干毛色が違っていて、本質的な理解を得るにはギバーとは何かを理解する必要があります。

そのため次は『GIVE&TAKE』を読んで感想を書こうと思います。

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