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人生相談はエンタメ

朝、新聞を開く。1面から見ていく。円安が160円/ドルにまですすんで、為替介入をしたとか、日銀がやっとこさ重い腰をあげて金利を上げたとたん急激な円売り、株価も下落とか、まあそんな記事は流し読み。目をとめるのは「人生相談」のコーナーだ。

渡辺えりさん、ヤマザキマリさん、それに高橋源一郎さん。毎日新聞の「人生相談」はスカッとした回答が多くて面白い。

たとえば高橋源一郎さん。この日は25歳の女性の悩み相談だった。

「会社を退職した。始発に乗って12時間勤務して終電で帰る生活だった。転職しようにも不安で。働きたくない」「どうしましょうか?」

「あなたの悩みは解決しません。絶対に」
「わたしが親なら襟首つかんで外に放り出しますが」

どうです?小気味いいでしょう。回答が的を得てるかはご本人次第、だからここでとやかく言うつもりはない。つい引き込まれて最後まで読んでしまう。

ある時それが高じて、相談だけ読んで、自分だったらこう答えるだろうとメモし、そのあとで回答を見るというゲームをやったことがある。そう、「人生相談」は楽しめるのだ。

6月でヤマザキマリさんの担当が終わった。そのあと同紙のインタビューに答えた彼女、「結局、人生相談とは読む人の好奇心をそそる一種のエンターテインメントなんですね」「相談者も回答者も、やりとりが不特定多数の人の目に触れ、読者に様々な感慨をもたらす読み物であることを、最初から承知済みなのです」という。

えっそうなの?エンタメなの?

「悩みがどんなものであれ、深刻であれ、どうでもいいモノであれ、面白いと感じる人がいてなんぼ」

これも小気味いい。

「人生相談はエンタメ」とわかっても、また来週も読むだろうなあ。


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