【婚約破棄になった自分が恋愛工学を実践した理由】その7・就職活動……と一緒? 〜マッチングアプリで女の子とマッチする方法〜
前回↓
「全然マッチしない……」
マッチングアプリを始めて1ヶ月が過ぎた。
僕はオフィスで昼ごはんを食べながら、スマホの画面を恨めしそうに眺める。
最初にマッチングした子は大学生。
社会人となると基本的に周りは会社の人だけになってしまう。
大学生の女の子となんて、当然接点はない。
僕は大学生とマッチして自然とテンションが上がってしまった。
しかしやり取りを始めたは良いものの、相手のメッセージ頻度は次第に少なくなり、終いに交流は途絶えた。
「やほー!元気してるー?」
「今度飲み行かないー?」
「いま友達と飲みきてるー!」
今や僕の一方的なメッセージだけが並び、画面は静かなものだった。
他の女の子も同様だ。
都内OL、デザイナー、アパレルの人など、少ないながらマッチはしたものの、やり取り自体が続かない。
そして追い討ちをかけるように、その後は全くマッチングしなくなってしまった。
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「中々女の子とマッチしないなぁ」
惣菜の唐揚げを頬張りながら、アプリを意味もなくいじる。
かわいい女の子の笑顔が目にとまる。かわいい。
プロフィールを見ると趣味も充実しているようだし、友達も多そうだ。
「きっと現実でもモテるんだろうな」
“いいね”ボタンを押すが、どうにもマッチする気配は感じられない。
唐揚げの脂っぽさが口の中に広がる。
きっと、何か原因があるはずだ。
この子だって、誰ともマッチしてないハズはない。この子にも好みがあるだろうし、求めている男性像というのがあるだろう。
ただ、数ある男の中で、僕は選ばれなかっただけだ。
分かってはいたが、非モテの現実を目の当たりにする。
上手くいかない事実がもどかしい。
でも、なんだって初めはそんなもんだ。
僕の今の仕事だって、入社当時は何も分からずパッパラパーだったが、色々試し、失敗し、原因を探り対策を練り、解決する。
そして、また新たに仕事へ向かっていく。
仕事も恋愛も、そこの原理は同じハズだ。
ただ、恋愛は学校のように教えられる機会がないので、そういう知識や技術がないだけなんだ。
「何か、恋愛を教えてくれる学校のようなものがあればなぁ」
そんな他力本願なことを考えながら僕はサラダを食べ終え、一緒に買ってきたコーラを飲み干した。
取り敢えずここでウダウダしていても始まらない。
僕の今の課題を書き出し、そうなってしまっている原因を見つけ、その対策を練ろう。
僕はポケットに入っていたメモ用紙を机の上にこっそり置き、思案し始めた。
今僕が抱えている課題は、この2つだった。
●そもそも女の子とマッチしない
●マッチしてもメッセージが続かない
「どうしたものか……」
この課題を解決する為、Google先生に聞こうとしたその時、僕は上司にそれを遮られた。
「おーい、来客だぞー」
「は、はいー!」
ちょうど昼を食べ終わったとこでよかった。
メモ用紙を慌ててポケットに突っ込み、身なりを整えドアへと向かった。
「どうも……初めまして……」
そういって男性は名刺を渡してきた。
か細い声だ。
「初めまして、マネージャーのくまさんと申します。」
僕の自己紹介もそこそこに、名刺の交換を行った。
「あの……この度こちらのお店の担当になりました森本です……。早速なんですが、来月新商品が発売されるのでそのご紹介を……」
A4サイズの資料を僕に手渡しながら、その男はいきなり話を切り出した。
また新商品の説明か。
この仕事をしていると、メーカーから新商品の提案を耳にタコが出来るほど聞くハメになる。
僕はちらと資料に目を落とし、商品概要を流しみる。どうやら今回も魅力的な商品ではないようだ。
「この商品はレモンを通常の3倍使ってまして……弊社の既存品より味が美味しくなっておりまして……」
そんな僕の気持ちとは裏腹に、メーカーさんは話続ける。
内心うんざりし、話を聞き流しながらその男性を観察し始めた。
どうも良い印象を受けないと思ったら、シャツがヨレヨレで、少し汚れてしまっている。
また、全体的に覇気がなくどことなく頼りない印象を感じる。友人なら気にならないかもしれないが、仕事上の関係で頼りないのは致命的だ。信頼しようにも憚られる。
「また、こちらの新商品はノンアルコールでは初めてペットボトルにしたもので……」
そして説明もとにかく形式的で、聞き手のことを考えていなかった。
こちらのメリットを提示させず、一方的に新商品を押し付けられても、商品を取る気が起きるわけがない。
そしてそもそも、この人とは初対面だ。
信頼関係も築けてないのに、いきなり新商品提案しても、通るとでも思ってるのだろうか。
ちょうど僕が心の中でダメ出しを終えた時、その男性の”演説”は終わった。
一先ず前向きに考えておきます、とやんわりと断り、仕事机にどっか、と座った。
無駄に気疲れした。
つくづく思うが、こういうのはホント第一印象が大事だと思う。
もしかしたら森本さんは仕事が出来る人なのかもしれない。
でもあのような初対面をしてしまうと、とてもそのようになど思えるハズがない。
例え、実際に出来た人はだとしても、だ。
……ん?
第一印象が大事……?
待てよ?
もしかしたら………!
「おい、そんなとこでにやにやしてどうした?」
「あ、すみません、何でもないです」
どうやら知らず知らずのうちに顔がほころんでいたみたいだ。
その日、やりたいコトができてしまった僕は、信じらんないくらいの速さで仕事を終わらせ、職場を後にしたのだった。
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ピロン
通知が鳴る。
「柏木さんとマッチしました。」
ピロン
またスマホの音が部屋に鳴り響く。
「みやぽんさんとマッチしました。早速メッセージを送りましょう!」
僕は画面を見てひとり頷いた。
「やっぱり、このやり方は間違ってないかもしれない。」
試行錯誤の上、僕は果たしてアプリでマッチする事が徐々に増えてきた。
意識した事はたったひとつ。
マッチングアプリのプロフィールは、就活のエントリーシートと同じ、ということ。
就活ではまず最初に、エントリーシート(履歴書や職務経歴書と考えてもらっても良い)を企業に送るが、その時はもちろんお互いに初めまして、だ。
当然接点がエントリーシートしかない為、そこに書いてある文章だけで、企業はその人の性格や人柄・能力を判断するだろう。
というより、そこしか接点がないので、そこからしか判断できない、と言った方が正確か。
これはマッチングアプリの「プロフィール文」に相当する。
自分のプロフィールを見る相手側……つまり女性側との接点は、プロフィールしかない。
だから、このプロフィール文で自分の魅力を最大限アピールしていくしかないのだ。
魅力が伝わるような文章を書かなきゃいけない。
そしてさらに言うと、就活側からすればその企業はたったひとつしかないが、企業側から見れば自分は数ある就活者の中のたった1人に過ぎないのだ。
マッチングアプリに置き換えれば、自分は女性側からしたら「いいね!」をしてくる無数の男性の中の、たった1人にしか過ぎない。
だからこそ、その中で目立たなきゃいけない。
その工夫をしなければいけない。
また、これはプロフィール画像も同じ事が言える。
先日仕事で関わった森本さんが良い例だ。
いい歳した社会人なのに、身なりが清潔ではなかった。
また、姿勢が悪く、彼はどことなく頼りない雰囲気を醸し出していた。
そのせいで、仕事の出来不出来がまだ分からないにも関わらず、僕は「なんとなく仕事できなさそうな人」という印象を受け取ってしまった。
これをマッチングアプリのプロフィール画像に置き換えてもらうと、どうなるか想像に容易いだろう。
ぼやけていたり、ボサボサの髪やダサい服装で、変にキメ顔して自撮りしている写真が良いのか。
それとも、笑顔いっぱいの写真で、友達と海に行ったと想像させる写真や美味しそうな料理の写真、ペットと思われる犬の写真があるプロフィールが良いのか。
こんなの後者に決まっている。
どんなに仕事が出来ようとも、第一印象が悪かったらその後が続きづらいのだ。
仕事なら、そのあと何度も訪ねて親交を深め「あ、森本さん最初に思った印象とは違う人だな。むしろ仕事出来る人だ。」
「きっと話し下手なだけなのかな。」
と思わせることは可能だろう。
しかしマッチングアプリはそうはいかない。
いいねを送れるのは一回だけ。
そして、プロフィールを見てもらえるのも、一回だけ。
その時に良い印象を持ってもらわなければ、永遠にさよなら、だ。
マッチングアプリに2度目はないのだ。
もちろん、世の中の全女性がいいねを返してくれるような完璧プロフィールなど存在しない。
しかし、その確率をなるべく上げる方法はあるハズだ。
まとめると、
●マッチングアプリのプロフィールは就活のエントリーシートと同じように書く
(初対面の人に好印象に思ってもらえるように書く)
●プロフィール文は、自分の魅力が最大限伝わるよう差別化した文章にする
(他の男性たちの中に埋もれてしまう為)
●プロフィール画像も、第一印象が良いようなものにする
(マッチングアプリに2度目はない)
とりあえず、これを意識すれば課題である「女の子とマッチしない」は解決するだろう。
もちろん、試行錯誤を重ねて、アップデートしていかなければならないが。
オンライン上なので忘れがちだが、結局マッチングアプリで出会う人たちはみんな初対面なのだ。
そんな初対面の人たちに対して、自分はどのように思ってもらいたいか?どういう文章なら好印象で思ってもらえるか?こう書いたらどう感じるか?……など考えなければいけない。
とどのつまり、マッチングアプリで上手くやるには対人コミュニケーションの際必要な「相手の気持ちを考え、行動する」スキルが必須になってくる。
僕はこの辺りから、徐々に「恋愛工学はただヤる為だけの学問ではない」と感じ始めていたのだった。
=くまさん=
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