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ボイステック革命

マガジンご購読の皆様、こんばんは。お元気でしょうか。先月6月19日、緒方憲太郎さんが「ボイステック革命」という書籍を出版されました。緒方さんは、音声配信ビジネスの先駆者にして、株式会社Voicyの代表です。この本は、他のいろいろな媒体や情報源では必ずしも詳しくは語られていなかった、かなり重要なことを伝えています。「音声配信」とこれまで呼んでいたデジタル音声コミュニケーションとその技術の体系が、十分に発達し、良く普及した社会は、これまでとは違うスタイルの生活と文化をもたらすだろうということです。

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皆様は、1970年代にイギリスでテレビ放映された UFO (日本語吹き替え版「謎の円盤UFO」)をご存じでしょうか。著者の緒方さんはまだお生まれになっていませんが、私は、当時小学生で、何度か見ております。この番組では、ストレイカー最高司令官が、建物に入るとき、声紋チェックがあり、「わたしだ」の一言でなかに入ってゆきます。50年以上たった今日、そういった認証はもっとスマートに、もっと厳密に、もっと広く適用することができます。2020年代初めの現状、ICカードで入退出管理をしているところは、多いでしょうが、今後、こういったものに置き換わってゆく可能性は十分考えられます。スマホ等も、いまの指紋を用いた認証でも不都合ではないかもしれないですが、耳にとりつけっぱなしのデバイスでは音声チェックが標準になるでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=j2PoXfZdYVU

いくつかある音声の音声らしい特色、現に利用されている他のソーシャルメディアやコミュニケーションツールと比較した場合の特色は、それ自体が話し手個人の個性と強く結びついていること、聞き手の移動中や作業中に割り込み、共存しやすい性格があることです。音声にコミュニケーション自体は、人が文明を得るよりも前、原始時代からありました。そのため、テキスト、写真・画像、あるいは映像を中心している現在のソーシャルメディアやコミュニケーションツールの盲点になっているともいえます。アメリカでは、自家用車での移動が多い社会であることから、政治や宗教やもろもろのテーマを語るポッドキャスト、ラジオ番組が大人気を博しています。それがさらに広がる時代がきています。

デジタル化された音声は、そのままでも相変わらずコミュニケーションの主体であり続けるでしょうが、話し手の個性を消去してテキストに変換することは今では容易です。そのテキストは、さらに多数の言語に同時に自動翻訳できます。それを聞き取りやすいアナウンサーのような人工音声に置き換えることも、そこに元の話し手の口調、声色を考慮した、それっぽいユニークな個性のある人口音声を作ることもできるでしょう。双方向、多方向のコミュニ―ションがこれまでより質的に広がります。耳元では、元の言語でも、翻訳されたどの言語でも、トークを聞き分けることができ、手元には、あらゆる言語のテキストが電子ファイルの形で残ります。

会議やコミュニケーションの変化だけではありません。勝間和代さんなどは、テキストのタイピングを音声入力で置き換えることを相当熱心に行っておられますが、今後は、標準になるかもしれません。

https://www.youtube.com/watch?v=cyHv9Rf-9aQ

入力の効率だけではないです。私の個人的な経験では、文章の編集は、画面上でテキストを目で追う編集よりも、コンピュータが自動で読み上げたものを耳で聞くほうが、修正箇所の発見が圧倒的に正確で速かったです。

また、既に書籍の電子出版は進んでおり、紙に印刷された書籍と同じものが電子化されるだけでなく、先に電子書籍が出て、必要があればオンデマンドで印刷・製本されたものも提供可能というスタイルに置き換わりつつあります。一部の電子書籍は、オーディオ・ブックにもなっています。この傾向は強まることはあっても、衰えることはないでしょう。

低消費電力で、かつ高速通信と高速データ処理を可能にする、耳につけっぱなしのスマートイヤホン(コンピュータでしょう)も含めた先進的なハードウエア・ソフトウエアが必要です。同時に、その使い方の部分、周辺的な機器類との連携も重要です。思えば、かつて、iPhone 登場前に、日本には、i-mode の携帯電話(ガラケー)がありました。今回のボイステックも、ガラケーの繰り返しにならないように気をつける必要があります。また、コミュニケーションのすべてが音声に置き換わるわけではなく、動画配信も、テキスト配信も共存するという前提になります。音声配信だから強いのではなく、新しいニーズを意欲的に取り込んだプラットホームだから強いということがないと、やはり生き残ることは難しくなります。

本書のあとがきは、声のあとがきが用意されており、QRコードで、Voicy のサイトに接続して聴くことができます。これは内容が随時更新されるということです。

ボイステック革命にはいくつもの側面があります。ここではごく一部しか紹介できませんでしたので、また機会を見つけて書いてみたいです。

ところで、私のラジオ放送、気が付くと連続100日を通過しております。皆様にもお聴きいただけましたら幸いです。科学技術を語るには、効果的な図表や数式が必須と考えられます。そのため、良い動画をどう作るかという議論は常にあります。音声配信では、この目的では、一見、かなり大きなハンディを負うように見える部分があります。私は、動画配信の必要性、重要性は承知の上で、自分のラジオ放送では、あえて図表や数式を使用しない、音声のみで伝えることの特色を生かしてゆきたいと思っています。

https://voicy.jp/channel/1739

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#音声配信  

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