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除染

ヒマワリへ 
こちらチェルノブイリ
汚染土壌中の放射性セシウム、放射性ストロンチウムを植物によって除染するプロジェクトへの国民の期待が高まっている、最新状況を報告せよ
どうぞ

チェルノブイリへ
こちらヒマワリ
当初計画通り、汚染土壌広域にわたって植物の種を撒いて成長、浄化効果の連続モニターも既に開始、まもなくデータ送信の予定
どうぞ

ヒマワリへ 
こちらチェルノブイリ
放射線耐性のある種を選定しており、一般的にナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属イオンは容易に土壌から取り入れ、蓄積すると期待
どうぞ

チェルノブイリへ
こちらヒマワリ
アルカリ金属はもちろん、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類属イオンも高い吸収効率を予想、まもなくデータ送信する
どうぞ

ヒマワリへ 
こちらチェルノブイリ
データ受信した、予想に反し、植物内の放射性セシウム、放射性ストロンチウムの量はあまり多くないようだ、状況を説明せよ
どうぞ

チェルノブイリへ
こちらヒマワリ
ヒマワリ1本と高濃度モデル水溶液を用いた試験では、セシウム、ストロンチウムともに驚異的に高い性能を確認済み
どうぞ

ヒマワリへ 
こちらチェルノブイリ
今回対象の汚染地域の放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムの濃度レベル、および地表から深さ方向への分布状況を調査の上、報告せよ
どうぞ

チェルノブイリへ
こちらヒマワリ
放射性セシウム、放射性ストロンチウムの分布は、一様ではなく、一部区域に偏在しており、さらに、地表付近のものは固定されておらず風などによって移動もするとみられる
どうぞ

ヒマワリへ 
こちらチェルノブイリ
すると、植物が吸水する根の先端の深さと、汚染物質のある深さが十分に対応してないうえ、地表を移動もしているということか
どうぞ

チェルノブイリへ
こちらヒマワリ
そもそも、放射性セシウム、放射性ストロンチウムの総量はそこまで多くないと思われ、対象地域の全域を被覆するように植物を植えたとしても、貢献できる植物はそのうちのわずかにとどまると思われる
どうぞ

ヒマワリへ 
こちらチェルノブイリ
無人で手間もかけずに効率的に放射能除染できると期待していたが、おのれ、たばかりおったか!
どうぞ

チェルノブイリへ
こちらヒマワリ
放射線量の測定時には、ただ線量だけを測定するため、そこに放射性物質があるとわかるのみ、わずかな数の粒状の放射性物質が付着した少量の土壌との認識は持ちにくく、広域に分布しているかもしれないリスクを心配するのは住民感情としてはもっとも
効率は決して高くないが、一部の除染が実際にできることは事実でもある
どうぞ

ヒマワリへ 
こちらチェルノブイリ
おのれ、開き直りおったか!
どうぞ

チェルノブイリへ
こちらヒマワリ
そこにある土壌をねこそぎ別の場所に運搬するような手法よりは、はるかに良心的かつ、ましと思われる
もし、純粋な除染を求めるのであれば、除去の前に、地表もしくは地下のどこに放射性セシウム、放射性ストロンチウムがあるのか、特定し、その特定の砂粒のような物質をピックアップして除去すべきところ、その手間を嫌った以上、今回の展開はやむなし
どうぞ

ヒマワリへ 
こちらチェルノブイリ
このうえは、余計な軽口をつつしみ、大輪の花を咲かせ、太陽の動きに追随し、平和に振る舞っておれ
うぬぬぬ
(1340字)

2023年4月下旬頃からシロクマ文芸部の企画に毎週参加させて頂いています。2024年4月まで1年ぴったりの継続のつもりです。金曜午前(早朝)に投稿します。今回のお題は「ヒマワリへ」が書き出しでした。どうぞよろしくお願いいたします。

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