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群盲評象2023(370過去記事、2023年12月末まで)

370
本マガジンは、2023年1月1日から2023年12月31日までの365日分、桜井健次(筑波大学数理物質系名誉連携教授、イメージング物理研究所長)が毎日投稿するエッセイを収録します…
現代は科学が進歩した時代だとよく言われますが、実のところ知識を獲得するほど新たな謎が深まり、広大な…
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2023年9月の記事一覧

アキレス腱としての旅食

人生はひとつの旅であり、また本物の旅にも人生の一面が投影されます。そのため、旅論は人生論でもあります。8世紀、唐の時代の著名な詩人、李白の「春夜宴桃李園序」には「夫天地者萬物之逆旅 光陰者百代之過客」とあり、日本の江戸時代、17世紀の俳人、松尾芭蕉の「おくのほそ道」には「月日は百代の過客にして ゆきかふ年も又旅人なり」とあります。 毎週土曜日、「旅」、「旅行・トラベル」、「旅のような人生の道のり」といった「旅」に関係するワードをテーマに含む短めの記事をお送りします。抽象的な

かるたのなかで暮らす

月めくりって、3次元の世界の話だよね? そりゃ、4次元ならば、めくるも何も最初から裏も内部もまる見えだし 2次元だったら、どこまで行けども永遠にめくる場面がありえない そうか、月の神様って、3次元の世界のことを考えてくれているんだ まさに、3次元が月の神様の担当なんだよ えっ そうなの? だって、天照大御神と月読命と須佐之男命は、兄弟姉妹だというけれど、ずいぶん格が違わない? それぞれの神様の所掌は、太陽と月と海だが、それは、そのまんま、4次元と3次元と2次元だろう

洋上風力発電のハリケーン(台風)問題

毎週火曜日と木曜日は、最近Voicy ラジオ放送で語った内容に補筆、追記、改訂を行い、まとめ直したコンテンツをお送りします。多くのものは2回、3回にわけて放送したものですので、それらの内容を1つにまとめ直し、参考資料へのリンクを入れ、さらに、それらについての解説も追記しております。この記事は、マガジンご購読の皆様限定になります。ただし、この記事のもとになっているラジオ放送は、インターネット上で、どなたでも無料でお楽しみ頂けます。 今回お送りする記事のコンテンツに対応するラジ

又見炊煙

毎週水曜日は生成系AIの手を借りて、漢詩づくりやお絵かき(画像生成)をしております。 今日は日本の童謡「里の秋」の中国バージョン「又見炊煙」の歌詞のイメージでお絵かきをしたいです。 「又見炊煙」は、こんな歌詞です。 今回の作品はこれです。

たんぱく質ナノメートル移動の直接観察

毎週火曜日と木曜日は、最近Voicy ラジオ放送で語った内容に補筆、追記、改訂を行い、まとめ直したコンテンツをお送りします。多くのものは2回、3回にわけて放送したものですので、それらの内容を1つにまとめ直し、参考資料へのリンクを入れ、さらに、それらについての解説も追記しております。この記事は、マガジンご購読の皆様限定になります。ただし、この記事のもとになっているラジオ放送は、インターネット上で、どなたでも無料でお楽しみ頂けます。 今回お送りする記事のコンテンツに対応するラジ

宇宙人のいる動物園

宇宙文明から見れば地球は動物園のようなものだという論文がある その宇宙人は見物には来ないの? そりゃあ、来るだろうよ でも、宇宙人、見かけたことがないよ 目立たないところに隠れているんだろうね あっ ひょっとして動物園! なるほど、動物園みたいな惑星にある本物の動物園か でも上野動物園みたいな大都会のまんなかにうまく隠れられるかな? ジュラシック・パークもサン・ディエゴでは失敗して、コスタリカのイスラ・ヌブラル島に行ったなあ すると、宇宙人は大自然の自然保護区で野生動物た

ジグザグに乱れる世界

2023年から、毎週日曜日、マガジンご購読者のみがお読みいただける特別記事(タイトル以外は非公開)をお送りしております。 現代はインターネットの時代ですので、note に記事を普通に書けば、見知らぬどなたの目に触れるともわかりません。それが新たな出会いやコミュニケーションのきっかけを生む可能性があり、楽しく有意義です。 他方、昨今は、いろいろな問題に対し、特定の主流意見と、それに対立する意見に二分され、溝が生まれることも多くなりました。2020~2023年で言えば、COV

作中舞台をなぞって歩く(後編)

人生はひとつの旅であり、また本物の旅にも人生の一面が投影されます。そのため、旅論は人生論でもあります。8世紀、唐の時代の著名な詩人、李白の「春夜宴桃李園序」には「夫天地者萬物之逆旅 光陰者百代之過客」とあり、日本の江戸時代、17世紀の俳人、松尾芭蕉の「おくのほそ道」には「月日は百代の過客にして ゆきかふ年も又旅人なり」とあります。 毎週土曜日、「旅」、「旅行・トラベル」、「旅のような人生の道のり」といった「旅」に関係するワードをテーマに含む短めの記事をお送りします。抽象的な

読まない世界

読む時間がないだと? そもそも読もうとしている時点で心得違いも甚だしい 君が気にしているのは、スキャンの速度のことか? 速度が速いと言ってもちょっと速いくらいでは、その量は無理だよ まずは、目をつむって、じっと静かにして、神経を集中してごらん 心を無にするんだ 誰かが遠くで何か言っているのが聞こえるかい だんだん近づいてくるだろう? 何か聞こえると思っていたのが、はっきりしてきたら、何か文字のような気がしてきたかい 読んでいないのに、君の脳裏には文字が見える気がするだろ

地熱利用が引きおこす地震リスク

毎週火曜日と木曜日は、最近Voicy ラジオ放送で語った内容に補筆、追記、改訂を行い、まとめ直したコンテンツをお送りします。多くのものは2回、3回にわけて放送したものですので、それらの内容を1つにまとめ直し、参考資料へのリンクを入れ、さらに、それらについての解説も追記しております。この記事は、マガジンご購読の皆様限定になります。ただし、この記事のもとになっているラジオ放送は、インターネット上で、どなたでも無料でお楽しみ頂けます。 今回お送りする記事のコンテンツに対応するラジ

豚に真珠

これまで、毎週水曜日は漢詩づくりの日にしてあったのですが、これからは、不定期で、お絵かき(画像生成)をしたりもしたいと思います。 今日は「豚に真珠」。ただし、「豚に真珠を与えよ」という文脈で、お絵かきをしたいです。 そもそも「豚に真珠」とは、どういうことでしょうか。 新約聖書のマタイによる福音書、第7章第6節を見てみましょう 日本語訳もあります。 おそらく「豚に真珠」のルーツはこれでしょうか。意味や価値がわからない者に貴重なものを与えても、粗末に扱うばかりか、歯向か

存続が危うくなる動物種

毎週火曜日と木曜日は、最近Voicy ラジオ放送で語った内容に補筆、追記、改訂を行い、まとめ直したコンテンツをお送りします。多くのものは2回、3回にわけて放送したものですので、それらの内容を1つにまとめ直し、参考資料へのリンクを入れ、さらに、それらについての解説も追記しております。この記事は、マガジンご購読の皆様限定になります。ただし、この記事のもとになっているラジオ放送は、インターネット上で、どなたでも無料でお楽しみ頂けます。 今回お送りする記事のコンテンツに対応するラジ

ファントスミア

祟りじゃ 老婆が低い声で言った ふるい屋敷である お盆の頃、亡霊が出るらしい 見たという村人が何人もいる そればかりではない 娘が非業の死を遂げた 亡霊に連れていかれたという噂だ 亡霊を見た者の話によれば、奇妙なにおいがするらしい はっとすると、ささやき声や、大勢の子供たちが話す声や、泣き声、叫び声が聞こえてくる そして前を見ると、亡霊らしい者がさっと通り過ぎていったということだ あやうく、本当に祟りなのかと信じてしまうところだったよ だって、しばらくしてから、その話と

攘夷論者の末路

2023年から、毎週日曜日、マガジンご購読者のみがお読みいただける特別記事(タイトル以外は非公開)をお送りしております。 現代はインターネットの時代ですので、note に記事を普通に書けば、見知らぬどなたの目に触れるともわかりません。それが新たな出会いやコミュニケーションのきっかけを生む可能性があり、楽しく有意義です。 他方、昨今は、いろいろな問題に対し、特定の主流意見と、それに対立する意見に二分され、溝が生まれることも多くなりました。2020~2023年で言えば、COV