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法律家業界の話 2 弁護士は法律相談の時どんなことを考えているのか

こんにちは。まったん弁と申します。

このnoteでは,私の弁護士経験から,法律家の業界について業界外の人々に向けて,お役に立てる情報を発信しております。

これまで弁護士・裁判とかかわったことがないよ,という一般の方々,個人事業の方,中小企業の担当者などを想定しておりますので,法律のややこしい部分はあまり拘らず,ざっくばらんに,かつ,短い時間で気軽に読むことができるnoteにしております。

今回は,「弁護士は法律相談の時どんなことを考えているのか」というテーマです。

法律相談とは?

・夫が不倫をしている!慰謝料を取りたいけどいくらくらいとれるの!?
・会社が残業代を払ってくれない!どうにかできないか!?
・取引先に納品した商品にクレームがついた!こちらに非があるのか,相手の言い分がおかしいのか判断できない!?

君子危うきに近寄らずといいますが,近寄らなくてもトラブルの方があなたにぶつかってくることもあります。たいていの方は,まず自分で解決しようとします。それが無理だと人に相談します。相談相手は,家族,知人,会社の人,自称法律に詳しいおじさんなどでしょう。

それでも埒が明かないとき行きつく場所,それが,「法律事務所」ですよね。

あなたは困っているわけだから,まずは,弁護士になんで困っているのか説明します。弁護士は,「ふんふん」とメモを取りながら話を聞いてくれるはずですが,内心どのようなことを考えているのでしょうか??

「この人の依頼を受けて大丈夫かな??」

法律や裁判どうのこうのの前に,真っ先に気になるのは,相談に来た人が,いわゆる「普通の人」かどうかなんですよね。法律事務所って,結構,クレーマーっぽい人,何の仕事をしているのかよく分からない怪しげな人,妄想の世界に入り込んでいる人,が来るんですよ。

弁護士にとって一番困るのは,「相談者が嘘(妄想)を言っている」場合なんです。自分も共倒れになって,自爆しちゃいますからね。

一見しておかしな人はすぐに分かりますけど,「思い込んでしまっている方」だと見極めが必要になります。この仕事をしていて思うのは,「人は見たいように見,聞きたいように聞く」生き物だということです。不都合な事実をありのままに受け止めるって意外と難しいものです。

「苦い真実より甘い嘘」の方が心地いいですよね?

なので,法律相談で弁護士は,相談者の属性を観察しているんですね。

「この事件,勝てる事件かな,負ける事件かな??」

「法律」相談ですから,相談者の言い分を法律に当てはめて結論を出します。生活笑百科で,最後に弁護士先生が解説してくれるアレですね。

しかし,実務では「法律」だけで判断することはありません。例えば,次のような相談はどうでしょうか。

・ある知人にお金を貸したんですが,全然返してくれません。その人,会社をクビになって,病気を持っていて,生活保護をもらっているみたいです。どうにかなりませんか!!??

「法律」ではこの人の勝ちですけど,相手は文無しですから裁判しても1円も回収できません。ですから,依頼を受けてもお役に立つことが,できなさそうです。

実務では「回収可能性」の見極めが,とても大事なのです。

そもそも相手がお金を持っているのか,自動車は自己所有かローンか,家に住宅ローンの抵当権がついているか,勤務先は固いところか,などの情報から「回収可能性」を検討する必要があるんですよ。

なので,弁護士は,トータルで依頼者の希望をかなえてあげられるかを,考えるんですね。

「依頼を受けられる規模の事件かな??」

多くの弁護士は,事件を解決して依頼者が受け取るお金から,弁護士費用をもらいます。

これを,「着手金」「成功報酬」と呼んでいます。

だいたい,経済的利益の5~10%を先払いでもらって(着手金),残り10~20%を事件解決時にもらう(成功報酬)ことが多いです。

そう,一部は「先払い」なんですね。

※そうではないお金の頂き方もありますので,追々その話もしようと思います。

例えば,次のような相談が来たとしましょう。

・飲み会で知人と口論になってみんなの前で一発殴られたんです。ちょっとたんこぶができましたけど,病院に入っていません。相手は全然謝らないし,逆にお前の態度が悪かったと開き直っているんです。どうしても許せません!

痛い目に遭ったうえ,恥をかかされたのだから,怒って当たり前ですよね。

でも,実務では怪我の慰謝料は「けがの治療のために病院へどれだけ通ったか」で決まることが多いのです。たんこぶ程度だと,裁判をしても数万円とか,ほんのちょっとしか慰謝料は認められないでしょう。

このような事件で,30万円の着手金をもらって裁判をし,慰謝料を回収できたとしても,トータルだと依頼者に損をさせることになってしましますよね。

なので,経済規模が小さすぎる事件は受任できないことが多いんです。

私は,大体150万円以上くらいの規模感のある事件を目安にしています。これくらいなら,ぎりぎり依頼者を損させないようして,自分も最低限の報酬をもらえるかなという感じです。

※お金で換算しにくいものもありますので,全てがそうではありませんよ。

なので,弁護士は,この事件は相談者にとって・自分にとって,「ペイ」するかな,と考えるんです。

まとめ

そんなわけで,

弁護士は,法律相談の時,①この人事実をきちんと説明してくれる人かな?,②勝ち筋の事件かな?,③弁護士費用をもらえるくらいの経済規模がある事件かな?,

といったことを考えているのです。

他にもいろいろありますし,あくまで私の場合ですので,全てがそうではないでしょうけど,このnoteの趣旨は,業界外の方に大局的な理解をしてもらうことにありますので,これくらいの説明にしておきますね。

ちょっと長くなっちゃいましたね。

次回は,新しいテーマで投稿しますので,今後ともよろしくお願いいたします。

まったん弁

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