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第11回せんがわ劇場演劇コンクールのファイナリストを調べてみよう。

 第11回せんがわ劇場演劇コンクールがついにやるぞ。コロちゃんで無念の延期から1年こんどこそやると期待を込めて今年のノミネート団体の詳細を書く。
 あたくしはね、映画賞や文学賞は候補の詳細や予想を書くブログが沢山あるのに演劇賞はそういうファンがあまり多くないのは寂しいなと思っておりましたので自分で書くことにしました。

毎年、すべての公演を無料で行っている太っ腹な企画だが今年はすべての公演がyoutubeで生配信されるのだ。もちろん無料。タダで最新の演劇を見れる。しかもジャンルがバラバラ。あらお得だ。これ見るだけで演劇の多様性を知れるよ。

 なお以下の紹介は1回も公演を観たことない人間(公演映像は見たけど見た内に入らんでしょ)が劇評とか見て恐らくあっているだろうで書くので間違ってるよと指摘を受けたらすぐ取り下げます。だから突然記事が消えても嗚呼と納得していただければ。

1日目。
抗原劇場(アレルゲンシアター)【神奈川】
『雨降らす巫女の定置網漁』

  今年のトップバッターは山田カイルによって旗揚げされた劇団。山田は字幕翻訳者として、円盤に乗る派『流刑地エウロパ』(2021)、DULL-COLORED POP『福島三部作』(2021)を手掛けている。
 『常備演目を仕込む』(2018)は常備菜のようないつでも出来て味付けを変えられるレパートリーを生み出す公演。ダンス的表現、多和田葉子の小説リーディング、寺山の「盲人書簡」をベースにした作品を並べた。『NOT IN KANSAS』(2019)では8人以上の豪華な演劇人から提供されたテキストを使用している。
  上演作品はタイトルだけ見たらファンタジーっぽいが、あらすじを見る限り予測できた事態にまつわる作品なのだろうか。翻訳者としての活躍や、多数の作家とのコラボレーションを得た劇団がどんな作品を創造するのか。


ムニ【神奈川】
『真昼森を抜ける』

 宮﨑玲奈によって2017年旗揚げされた劇団。宮崎は青年団演出部に所属しており、宮崎企画としての公演も行っている。大学卒業制作で発表した『須磨浦旅行譚』で北海道戯曲賞最終候補に選ばれた。ピンポン会話体と、存在の曖昧が特徴ということである。
 2019年の『須磨浦旅行譚』(ムニとしての発表ではないけど)は、女性二人が旅行先で出会った男性と過ごす時間を描いた作品。現代口語演劇らしい静けさとピンポンのラリーのようなテンポが合わさった作品。『メモリー』(2019)は立て壊されることが決まっている大学寮の最後の日々を住民の会話で描いた静謐な作品。
 上演作品は見知らぬ人と森へ行き子供になったり、不思議な夢を見たりと意識の世界を描いた作品になるようだ。意識という世界を静かな世界で描く作品になるだろうか。



ほろびて【埼玉】
『あるこくはく』

  細川洋平が主宰する劇団。時間/認識といったっテーマを主軸にした作品を描いている。細川はナンセンスコメディーで知られた演劇弁当猫ニャー(ブルー&スカイ主宰)の役者として活躍した後立ち上げたのが、ほろびてである。
 『ぼうだあ』(2020)は家に突然線が現れた家族の物語からあらゆる境界線を描く作品。不条理的な設定から世界を描いている。最新作『コンとロール』(2021)では人間を操るコントローラーから起きた犯罪を描きこちらも非現実的な設定から社会や人間を描いている。
 上演作品はなにかしらの告白を扱った作品だと思われるがどうだろうか。最近の作品のような不条理な設定から社会が浮かび上がる作品なのだろうか。


2日目
 
劇団灰ホトラ【群馬】
『列と野鳥』

 1998年に荒木聡志によって旗揚げ。劇団のキャリアとしては参加団体最長の23年である。
 『わたしは最近太った』(2016)では、女優によるモノローグのつながりによって不思議な言語のリズムが展開した。また、ただ公演をするだけではない様々な形式での公演を実践している。2019年には群馬のありとあらゆる場所で短編『ひねくれもす』の公開稽古を行いその様子を『Take Numbers』という映像作品にまとめることにより演劇の公演・本番という概念を破壊した。
そんな実験集団が行うのは日本国憲法の全て文章をセリフとして扱う作品である。モノローグの扱い方がポエトリーリーディングのような質感を持つ劇団が憲法とどう向き合うのか。


オパンポン創造社【大阪】
『サンセット』

 2004年に野村有志によって旗揚げ。2018年、「さようなら」でCoRich舞台芸術まつりの11代目グランプリに輝きその名を全国に轟かす。その他ルナティック演劇祭や門真国際映画祭(舞台映像部門)で受賞を重ね、今や関西を代表する劇団。
 代表作『さようなら』(2018)はとある町工場に起きた出来事から人間関係が変わっていく姿を描いた悲喜劇。短編『最後の晩餐』(2016―)はコンテストや演劇祭で上演を重ねている作品。地球最後の日、妻が見知らぬ男を豚にして調教していたというバカバカしい始まりから抒情的なラストへなだれ込む作品。
 上演作品は3つのボタンにまつわる男達の悲喜劇だそうで。バカバカしさと高品質な物語で絶賛をされている劇団がお得意(多分)の悲喜劇で勝負。


 という5劇団。
 このコンクールは演出家コンクールではないので一つの演劇観に偏らないバラエティ豊かな選出が魅力であるが、今回もそんな感じがする。
このコンクールは東京の大会ではあるが全国の劇団を対象にしており、今回はついに東京の劇団が0になった。これは偶然なのか演劇の東京一極集中の時代が終わった証なのか、どっちだろうか。(まぁ埼玉と神奈川は首都圏じゃんという意見はあると思うけど)

もう1度言うけどこれらすべて無料で観れる。さぁ生配信をチェックしてみよう。詳しいことは公式HPでね。


(なお、コンクールの10日前には前回グランプリ公社流体力学のグランプリ受賞公演『夜色の瞳をした少女、或いは、夢屋敷の殺人』がやる予定だったが中止になっちゃった。コンクールは無事開催できるよう奮闘中。頑張って)

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