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「青春」なんて言葉で片付けられる過去になってしまったんだね


引っ越しに伴って、昔の日記を処分することにした。
読み返すと当時の不安定で甘酸っぱい青春に懐かしさを覚えるから捨てずにとっておいていたが、大半は黒歴史の宝庫になっており、不慮の事故で自分が死んだ時にこの日記を親族の誰かに見られたら死んでも死にきれないくらい後悔が残りそうなので処分することにした。
処分することにしたといっても、ホイホイと簡単には捨てられないのが思い出の面倒くさいところ。
最後に一読して供養とすることにした。

一番古い日記は中学1年生の頃のもの。
毎日毎日誰かに対して「ウザい」と呟いている。中学生特有?の語彙力の無さから全ての苛立ち、不安、苦しみを「ウザい」という単語で片付けようとしていた。
友達から仲間外れにされた、だからその友達がウザい。
友達から無視された、だからその友達がウザい。
友達と好きな人が被った、だから友達がウザい。
毎日ウザいウザいと言いながら、きっと本当の気持ちとしては寂しいとか辛いとか苦しいとかそんな感じだったんじゃないかな。
でも思春期真っ盛りだからとにかく「ウザい」でそういった感情を正面から見ないで蓋をしていたんだと思う。

あとはとにかく恋話。
もぅ目も当てられないくらい、恋に恋してた。
こんなの自分が死んだ後に読まれたら恥ずかし過ぎてあの世から舞い戻ってきちゃうよ。

日記帳は2冊目に入り、高校編へ。
こちらもメインは恋話。
携帯を入手した高校生の恋愛は中学編よりレベルアップし、ドキドキが止まらない。
今はもうないメールの受信中画面や、メールセンターへの問い合わせ。
甘酸っぱい恋のカケヒキ。
これぞ青春。

だけど好きになった人が同じクラスの人で、他の子と仲良くしてたり、他の子もその人の事を好きだったりとで毎日嫉妬の渦に飲み込まれていた。
もう好きでいるのやめる!→やっぱり大好き!→もう無理。辛い。好きでいるのやめる。→今日は話せた!やっぱり好き!→繰り返し。
結局付き合えたけど、嫉妬で苦しくなって別れて、でもやっぱり気持ちが残ってて苦しくて、せめて友達に戻れたらと思ったけどめっちゃ無視されてしんどかった高校生活。
今となっては「青春」って言葉で片付けられるけど、当時は全然青春じゃなかったし、本当に辛くて毎日学校に行きたくなかった。
だから今でも高校のクラスはそんなに好きじゃないし、キラキラした思い出もそんなにない。

高校3年生になると日記の内容はもっぱら受験。
この頃祖母の認知症が酷くなってきて、家でもギスギスすることが増えて精神的に毎日不安だった。
無理、落ちる、合格しない。どうしたら、どのくらい勉強したら受かるの?
どんなに勉強しても落ちる不安がつきまとって、勝手に涙が出る日もあった。
結局国立には落ちて、私立大へ。

挫折を味わってから日記帳の更新頻度がガクッと落ちた。
大学生になって、日記帳とは別にスケジュール帳に日記をつけるようになったからだ。
日記帳に書かれていたのはやっぱり恋話。
大学生になって2歳年上の先輩に恋して、遊ばれて、付き合って、浮気されて、別れて。
その次はアプリで知り合った人を好きになったけど、前の恋愛から疑心暗鬼になっていて、好きだけどその気持ちを認めたくなくて。
そんなよく分かんない関係を続けていたけど、結局付き合って、結局浮気されて、別れたくないって言うから付き合ってたけど、結局疑心暗鬼が加速して別れた。

若かったね。
でも当時の私は全力で生きてたんだよ。
「青春」とか「若かったね」って言葉で片付けちゃうような大人に私もなっちゃったんだね。
歳をとったな。

忘れていた事も沢山あった。
沢山の過去が美化されていることに気付いた。
当時の私はこんなこと思ってたんだって。
きっとまただんだんと忘れていって、記憶は美化される。
綺麗な言葉で語られる過去になってしまうんだね。
さよなら、3冊の日記帳。

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