演劇文化論の歌舞伎レポートをブログにする。【二月花形歌舞伎-江戸宵闇妖鉤爪/鵜の殿様】

僕は逆張りというか、自分が主導のコンテンツか?ということに執着している。人から与えられたレポートに対してChatGPTに聞くのは普通に飽きたので、せっかくならレポートを利用して楽しく文章を書く練習をしようと思う。

結論から言えば、かなり歌舞伎は良かった。一番の理由は今かっこいいと思えているもののルーツがどこなのか、を思い出せたことにある。

この歌舞伎を見に行ったのは2月3日で、二月花形歌舞伎における初日である。特に歌舞伎における初日には意味はなく、歌舞伎を初日に見る、ということにどことなく魅力を感じたのでこの日にした。
僕は歌舞伎を見るのは人生初であり、友達からは眠い、という事前情報しかなかったので、あまり期待はせずに鑑賞に行った。

実際に博多座の中に入るのは初めてで、多くの人が働く大きな建物に入る時の独特なワクワク感とデパ地下のような客層特有の高貴な感じを感じた。中に入るとお弁当屋さんやお土産屋さんなど雰囲気を感じられるお店がたくさんあり、なんだか異世界に迷い込んだかのような感じがして楽しかった。

指定の席に座り、周りを見渡すと、まずその大きさに圧倒された。自分が座った席は2階中央の席だったことも影響したのかもしれないが、上下左右大きな空間があり、その時点でこの会場の全員が舞台の演者に注目するのか!とワクワクした。

いざ舞台が始まると、まず出てきたのは市川染五郎である。実を言うと、歌舞伎に関して全く興味のない僕だったが、歌舞伎界の新星!のような印象で市川染五郎のことは知っており、素直に生で観れた!!!と嬉しかった。彼はsnsでしか見ることはなかったが、日本人ながらも世界的に観ても美形でグローバルな歌舞伎のアイコン、という感じでとてもかっこいい。

実際、生で見ても細身ながらも芯のある身のこなしであったり、全く詳細に見えないのに確実に美形だとわかる顔、客席を圧倒するとてもよく通る声、普段全く歌舞伎を見ない僕でも確実にスターなのだろうなと分かるほど圧倒的なオーラを纏っていた

しかし、その驚きも次のシーンで出てきた松本幸四郎によって更新される。今まで明らかに舞台の主役だったのに、出てきた瞬間みんなの注目が一気に松本幸四郎の元に集中した。正直僕の語彙力では表現できないものだった。

これがオーラか、と思ったとともに、今までではサカナクションのライブでしか得られなかった感情(あとは”おかあさんといっしょのワンワン”)だったので、この人たちがトップレベルのアーティストなんだなと思った。

今回の公演は”江戸川乱歩の人間豹”なんとなく物語の本筋は知っていたのでとても見やすかった。やはり、日本人は正義が悪を成敗するという物語は大好物で、尚且つ悪役が人間味を持つと魅力が増すのだなと感じ、王道を王道そのまま実力だけで通す。というものの良さに改めて気づけた気がする。

そして今回の歌舞伎だけなのかもしれないが、ワイヤーアクションや炎の演出、現代人が見やすく退屈しないように、という気遣いが見えてとても楽しめた。正直、ここだけshortsにまとめたらバズりそうだな〜とか思って見ていた。

ネタバレになってしまうが、最後のクライマックスシーン明智と恩田が各々のことを認め合いながらも、、、という場面で恩田が紙吹雪の中をワイヤーアクションで3階まで”見栄”を切りながら登っていく。このシーンが信じられないくらいカッコよかった。本当に表情管理が上手く、今まで見えてなかったけどこんなに表情管理していたのか、、、と驚いた。IVEのウォニョンを見た時と同じくらいびっくりしたし、尊敬してしまった。

一方、休憩も30分程度のものが3回あり、時間の贅沢な使い方にびっくりして、なんというか、テキパキ、せかせかと動くことに対する皮肉のようでなんかカッコよかった。

後半の”鵜の殿様”は短かったが日本人が誰でもわかる上品な笑い、という感じでちゃんと面白かった。でも、普通に漫才の方が面白い。

演出は控えめな分、役者の演技のうまさみたいなものが全面に出ていて、特に鵜飼に首を紐で引っ張られるシーンなど架空の紐が見えるようだった。


僕は今回の公演を通してなんとなく”にほんごであそぼ”を思い出していた。

”にほんごであそぼ”とはNHKで日本の伝統芸能を面白く伝えてくれる、といった番組なのだが、僕の家は幼少期NHKを見ることが多く、野村萬斎なども目に入る機会が多かった。

おそらく、初めての歌舞伎の観覧の中で、セットや演者の衣装、メイクなど、なんとなく既視感があったのはこの番組のおかげである。尚且つ現在好きな色味や衣装でいえばシルエットなどと重なる部分が多くあり、僕は一つの考えが生じた。

自分のルーツは案外、歌舞伎などの日本の伝統芸能の中に隠されているのかもしれない。それくらい、自分のセンスに刺さっていた。先ほど触れたクライマックスシーンなどがまさにそれで、赤と黒の雰囲気、静止画を意識する演出(これは僕も普段から意識しており、”見栄”に当たると考えている。)など参考にしたい部分が多くあった。

大学生になり、いろんなものに触れる機会がより増えて、目先の評価されやすいものであったり、流行のデザインに流されることは僕の中で”よくないこと”、という認識であり、最近は特に意識していたことだったため、自分のルーツの再認識に気づけたのは本当に価値があることだと思っているとともに歌舞伎をこのタイミングで見れて感謝している

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