漫画作家、ktanakaさんに「あいたい」(「あってない」)!


漫画作家のKtanakaさんに、とくに会わずにインタビューしてしまいました!

以前から良きかなと思っていたおり、やりとりするチャンスに恵まれましたので、メールで質問させてもらいました。

そんな「エアあいたい」ですが、ぜひご覧あれ!

作中の画像を、ktanakaさんの許可をいただき、使わせてもらっております!(ありがとうございます。


ktanakaさん↑いい人。



(ミドシ質問 以下Q) 
漫画はいつごろから書かれているのですか?
影響をうけた作品があったら漫画に限らず、教えてください。

(ktanaka氏回答 以下A
子供の頃から読むのも描くのも好きでした。
楳図かずおさんと岩明均さんに影響を受けています。
絵柄で言えば鳥山明さん、宮崎駿さん、大友克洋さんという感じですかね。

(ミドシ みんな大スターですね。楳図かずおさんの名前が出るとはktanakaさんの作風からは想像しませんでした。・・そういわれれば、「コルク」ってホラーかも・・)



Q. 有料マガジンの中で「伝えずにいられない」、と書かれてましたが、
その表現方法に漫画を選んだのは?

A. 僕は人に何かを伝えるときは「聞いてもらう料」として、何かしらの報酬を添えないといけないと思っているのですが、伝えたいメッセージがあったとして、それに添えるものとして自分が提供できるのは今のところ漫画としての面白みくらいかなぁ、と。

(ミドシ なんて爽やかな・・・。)



<「コルク」>

”未来─安全と食を求め、定住の地を探す人間に似た「なにか」。
それは”コルク”と呼ばれる人食い生物 ─
彼らがみつけたのは、生存に必要な全てを「複合企業グレープウェア」に握られた人間の大都市カンナネルテだった。

全100ページにわたり、色鮮やかに展開するディストピアSF作品”

Q. 私はktanakaさんの娘さん四コマ、「ノン⭐︎すとっぷ」の方に注目していたので、「コルク」は失礼ながらやっと通して読みました。
漫画でSFはほとんど読まない人間ですが、終始たるむところがなくて一気に読んでしまいました。面白かったです。
フルカラー100ページは大変だったでしょう?

A. 大変でしたねー。もう二度とやりたくないですw
ていうのは冗談ですが、仕事をしながら描いたのと漫画に関しては試行錯誤だったので、まるまる一年くらいかかっちゃいました。
今後同じ物量を描くとしても1年間かけるのはイヤなので、
いまの環境をこれからどう変えていくのかが自分の課題ですね。


--色彩について--



Q. 物語内の設定にも絡んでくる、「紫色」やはり目を引きますね。紫にした理由はあったんですか?

A. グレープだから単純に葡萄の紫と、サブカラーとしてマスカットの緑ですね。

(ミドシ 林檎じゃないよ葡萄だよ・・)


Q. 私は読後に、「紫」よりも、青空が印象に残りました。色で伝えたい空気感のようなものはあったのでしょうか?

A. 青空と雲を描くのは好きです。コルクにおいてカラーは色分け程度に留めたのですが、空だけはグラデーション処理をしてます。まさしくスケール感や空気感を出したかったからですね。

(ミドシ バッチリ効果出てました!)


--コルクの世界観について--



Q. グレープ社 は・・・もしかしてApple?・・Google?
ついつい連想してしまいます。
差し支えなければ、一言お願いします。(結局、聞く・・)

A. そこは言明を避けますけどもw
いまのスマホやウェアラブルの氾濫と浸透には自分もその影響を受けているぶん、恐怖感のようなものもあります。
そこをあえて悪意的にイメージ仕立て上げた、と言えるかもですね

(ミドシ 「コルク」の世界観は本当に考えさせられます。)


Q. 木が生きてる、というと指輪物語のエントを思い出します。モチーフにされた部分はありますか?


A. 木というイメージではありませんが、遊星からの物体Xのような形を持たない生物が人間を襲うというモチーフは子供の頃から興味はありました。ターミネーターのt-1000なんかも影響うけてるかもですね。

(ミドシ 失礼しました。私はてっきり木なのかと。違うんですね。)


Q. 人間たちは砂漠の中の都市で、生きるための全てのものを企業に握られて暮らしています。
これは、私たちが実際に暮らしている現実の世界を象徴しているように思えます。
この発想の、きっかけになったエピソードなどあったら教えてください。

A. ウェアラブル商品が出始めた頃ですかね。
自分は興味なかったのですが、これからの時代はウェアラブルだみたいな記事を見かけると、なんか否定したくなるんですよねw
そういったアンチ的心理がこういう世界観を形成したのかもしれません。

(ミドシ キチンとしたくない人には、向かない未来が・・)


Q. 主人公たちが悪びれないので忘れそうになりますが、人間はコルクの食料なんですよね。
私は木というと、動かない、切り倒されて家具や薪にされてしまうイメージを持ってしまいます。この作品では、木が人を食べる。

こめられたメッセージのようなものはありますか?


A. コルクは木という風には考えていなかったのですが、
ただ木が肉食で意思を持っていたら、実は似たような生物になるのではと思ってます。
人間より巨大で長命でそんな樹木たちが地下で巨大な意思とコミュニティを蓄積していたら
おそらく人間は太刀打ちできないだろうなあと思います。
…というネタを次回作でちょっとやってみたいかもですねw

(ミドシ ここは、メールでの質疑だった影響で、私の中で「コルク」=「木」という思い込みのまま聞いてました。
すみません。しかし、けっこうホラーですよね!
次回作ってまさか、ホラー!?・・R18くるか?)

”謎の物体”の正体は・・・?↑



--物語について--


Q. 主人公は・・・おじさん?女の子?
おじさんのコルクと女子コルク、それぞれにキャラクターのテーマなどありますか?


A. ダブルヒーローの形式をとってますが、この作品は主人公不在ともいえるかもですね。
女の子コルクは可愛い娘が実は恐ろしい怪物だったというのを描きたかっただけですw
おじさんコルクはそのぶん野生的なイメージでデザインしました。

Q. 物語の運び方に独特な印象を受けます。なんだろうと思っていたら、多分ネームを
作るやり方に独特なものがある(有料マガジンより)のでは?
映画っぽいなあ、と個人的には思ってました。
読者は、読みながら自分がどういう世界にいるのか確認し、各自で地図を作りながら読み進めていく。という印象をうけました。
この物語の運び方にした狙いを教えてください。


A. ストーリー作りは基本、場当たり的に考える手法を取っているのですが、その理由は読者が先の展開が読めないストーリーを作るには、作者も先がわかってない状態で作る事だと思ってるからですね。ドキュメンタリー形式とまではいいませんが、「セミドキュメンタリー」くらいが面白いものができるんじゃないかなあ…と思っています。

(ミドシ ドキュメンタリーですか、たしかに描く側の問題意識や価値観が、現れやすい手法かも知れませんね。)



Q. 読者側が自分で考えてついていくタイプの物語は、今のスピード重視でどんどん新しい作品がプッシュされていく世の中では、
読まれにくいと思うのですが、どうでしょう?
あえて、今現在の売れ線を外した・・というところはありますか?


A.いままでは確かにスピード重視の作品だけしか生き残れなかったと思いますが、僕の実感として、いまコンテンツのデジタル化によって消費の実感が得にくくなっていて、何かを購入してそれを得るだけでは人は満たされなくなっているのではと思います。
するとこれから双方向性を意識した参加型のようなコンテンツが支持されるようになるのかなと。なので僕のやり方も通用する余地が今後できるのではと思っています。

(ミドシ なるほど、明るい未来ですね!)



Q. そういえば、変形コマを使わないのは、こだわりですか?


A. スマホで見ることを意識したからですね。変形コマを使わないのもそうですが、
なるべく大きなコマを使い、セリフを短く簡潔にという事を意識しました。
小さな画面で見せる以上、シンプルに見せる事が必要なのかなと思っています。

(ミドシ ほんと、いい人だ・・・)



Q. 最後まで読んでも、謎がのこります。続編に期待してもかまいませんか?


A. 正直に言うとコルクの続編については今のところあまり想定してないのです。ごめんなさい。
ただ次回作候補のひとつとして、コルクの世界観やメッセージ性を部分的に継承したような作品を考えています。

(ミドシ あのコルクたちに会えないのは残念。けど次回作に期待ですね!)



Q. ネタバレにならないレベルで、この作品から伝えたい思いを語ってください。


A. 人が食べられる側に回る事や、ウェアラブル企業が人間を支配していくというような、社会に対する警笛的な側面がありますが、
コルクはシンプルに自分の描きたかったものをぶつけた作品です。
可愛い女の子も描きたかったし、コルクとグレープ軍の空中戦も描きたかったし、そういう意味では何も考えず本能だけで描いたといえるかもしれません。
なのでコルクは処女作ながら自分色が一番出た作品だと思います。
自分がどういう作家かを人に説明するならば、コルクを是非読んでくださいと言いますね。


(ミドシ ほんとにオススメですよ。色んな人の感想が聞きたくなる作品です。読んでくださいませ!)





<「ノン☆すとっぷ」>


"小さな女の子、ノンちゃんの世界は回る。ほっこりイクメン四コマ。"



Q. 私個人の中で、伝説になった作品です。

TLで見かけて「いいなあ」と思ったので、Twitterの日常アカウントでシェアさせてもらったのですが・・・
私も漫画を描く人間で自分の作品を宣伝しても、「リンクのクリック数=18」とかなんですよ。
この作品を紹介したTwitterポストは、奇跡の「リンクのクリック数=120」っていう。↓

ビックリしました。記事中の”イクメン”っていう言葉が良かったのかなとも思いましたが、やっぱりTwitterでシェアすると表示される画像の雰囲気が効果大だったのかなと思います。ここまで聞いて、この件についての感想をお願いします!


A. あやー、うれしいです!宣伝してくださっていたのですね…感謝です。
ノンすとっぷはいままでは手書きのノートにポチポチ絵日記のような形で描いていたのですが、
ノートが切れたところで、じゃあ4コマにでもしてみるか、というのがきっかけです。
なので遊びのような感じで投稿したのですが、ここまで支持していただけるとは、いやはやびっくりですw



Q. モデルになった娘さんは、この作品は読まれましたか?

A. 食いつくように読んでくれました。内容はわからなかったみたいですがw

( (*^^*) )



Q. 作品制作の上で、娘さんとのエピソードなどありますか?

A. 絵をみた瞬間に「ノンだ!」とわかったみたいで嬉しかったですね。

(ミドシ (*T▽T*)<ほっこり親子! )



Q. コルクと全く違う作品ですよね。反応の違いは?

A. 全然ノンすとっぷの方が反応良いですよね。自分はコルクが本命なんですけどw


(ミドシ( ̄□ ̄;)<すみません・・)



Q. 綺麗にまとまった形になっていますが、こちらのシリーズも新作の可能性はありますか?

A. 3月から過去編と題して、娘が生まれてからのエピソードを綴るつもりです。
ちょくちょくアップしていけたらと思います!

(ミドシ \(*^▽^*)/ )



Q. お父さんとして、なにか一言お願いします!

A. 自分のことをイクメンだとは思わないですけど、子育てを奥さんだけに押し付けたくないなとは思います。だけど仕事と育児の両立って難しいですよね。仕事と育児の配分量コントロールがしやすい社会を考えることが、これから大事なのかなと思ってます。


(ミドシ その通りですね。難しくても、実現したいです。・・あとイクメン推しして、すみませんでした!)

(過去編に期待の「ノン⭐︎すとっぷ」まだの方は読んでみてください!)



------------追記 3/5から、新しいエピソードが加わりました!--------

ノンちゃん誕生秘話が明かされる!?もちろんオススメです!

https://note.mu/ktanaka/n/n1b2147a38d4e

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<作品の出し方について>


Q. ネットで漫画を公開していて、こうだったらいいのに、と思うことありますか?

A. ネットでの漫画の進化系として、モーションコミックというものに可能性を感じています。
ただそれを制作するツール、発表する形態ともにまだ「これ」というのがないのが現状ですが、形になればネットでの漫画の価値や有り方が大きく進化するのではと思っています。

(ミドシ ほほう・・←よくわかってない。)


Q. モーションコミックでどんな作品を作りたいですか?

A. 漫画を部分的にアニメ化することで、より空間を表現できると思うので、ファンタジー要素やアクション要素を詰め込んだ作品を作ってみたいですね。
あとは表現だけでなく、しくみとしてストーリーが分岐するとか、
アドベンチャーゲームのような作り方も面白いかなと思ってます。

(ミドシ 面白そう!)


Q. noteで作品を出すと、本と違って、1ページごとの縦表示になります。この表示方法ならではの利点と難点、思うところがあったら教えてください。

A. 見開きや右ページから左ページの視線誘導、といった要素が無くなるのは残念ですが、noteというかスマホで見る以上、縦表示になるのは仕方が無いことだと割り切っています。
ただ縦にページをスクロールするという行為自体が心地よいと感じる事もあります。
ページをめくる負担がない分、作品をより快適に見れるというのが利点でしょうか。


Q. 漫画の投稿サイトはたくさんありますが、noteを選んだ理由はなんですか?


A. 自分が思うに、他の投稿サイトの価値基準はランキングです。
すると何が起こるかというと、本来自由に作品が作れるはずの場なのに
アップされるものは特定のジャンルに偏ります。
結果ジャンルが異なるというだけで、たくさんの良作が埋もれてしまうことになります。
noteはランキングといった思想をなるべく排除しようとしていると感じます。
そういったところにシンパシーを感じたのが理由ですかね。


(ミドシ ・・・古い記憶がうずく・・orz    ランキング主義では、できないことができるnoteってことですね。うむ、noteいいやつじゃん。)



Q, noteでは、いろんな表現者に出会うと思います。表現を受け取る側の面もあると思いますが、どんな作品がお気に入りですか?

A. ウェルメイドでない作品ですね。自分は「ノン・ウェルメイド」と呼んでいます。
不完全なものといったら語弊があるのですが、何故か自分はそんな作品に惹かれます。
自分も「ノン・ウェルメイド」な作家として、それを突き詰めて行きたいですね。


(ミドシ ・・・おお、ktanakaさんに「スキ」されたら・・そういうことか・・・・・)



Q. 今までに関わりのなかったジャンルの表現に出会うことは?

A. 4コマ漫画のポテンシャルでしょうか。
スマホにおいて、いま最強なのは4コマ漫画かもしれません。



Q. 誰かとコラボしよう、などの企画を思いついたことは?

A. あいたい企画はとても素晴らしいと思います!
それに続くものとしてあげると、雑誌的な何かでしょうか。
noteが複数ユーザーの為のコミュニティを設置してくれれば、
そういったこともやりやすくなるでしょうね。


(ミドシ これねー、私も思うよ。複数ユーザーのコミュは思いつかなかったけど。便利そうだし、なんか、伸びそうです。)



Q. 最後に、なにか一言!

A. まずはあいたい企画の発案者である、のげのうじょうさんと
自分を推薦していただいたミドシさんに感謝です!
なんだか自分は、新しいコンテンツのあり方の誕生に立ち会っている気がします。
その誕生をなるべく近くで目にしたい。
それがいまnoteをやっている最大の動機ですね。
どうもありがとうございました!


(ミドシ ありがとうございました!

この記事は、私が勝手に出したいって言って出してるやつです。そんで、「あいたい」企画じたい、だいたいそういう感じで方々勝手にやるのが主であると、思います!

それにしても、なんとも気持ちの良い青年でしたじゃ。未来はあんがい、明るいかもね。)

以上、今回は、ktanakaさんにお話しを聞かせてもらいました!





次回、


ミドシ個人は・・・・・・・・・・・・

もしかしたら、「あいたい」企画協力者? に、話を聞きたい気持ちでいっぱいです。


気持ちだけで終わらないことを願って、ではー!

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