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苺にさえ頼りたい

帰り道、スーパーで苺を買った。
いつもは高くて買うのをためらう、私にとっては贅沢品。

数日前の出来事にとんでもなく落ち込んでいた。
思うように心の持ちようを回復させようにも、うまくいかない。
真っ赤な苺が妙に魅力的に見えた。
苺にさえ頼りたい、そんな気持ちだった。

家に帰れば、夫がいる。
けれど、今日だけは、買ってきた苺は全部私のもの。
パックに入ったまま、まるごと私のもの。

完全にヤケ食いだった。

食べたって悲しみは消えない。
苺をひとつ食べるたびに、頭では理解が進む。
でも、心は置いてきぼりだった。

甘くて美味しい苺だった。
癒してもらえるはずだと、食べる手は止まらない。
思いっきり泣いてスッキリする、都合のいい副作用があればいいのにとぼんやり思った。

あっという間に、苺は最後のひとつになった。

何かに救ってほしかった。
突然降ってきた悲しみを消化するには、他力が必要だった。
時間が解決してくれるだろうとは思いながらも、早くこの苦しい自分から逃れたかった。

空っぽになったパックをゴミ箱に捨てる。
悲しみも一緒に捨てられたらいいのに、と痛切に思った。




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このnoteは、小野美由紀さんのクリエイティブライティング講座にて執筆しました。初めてライティングの講座に参加して、書くことと向き合った気がします。誰かと書くのは一人で書くのとは違う発見があったなあ。また近々参加したnote書こう。


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