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原水爆禁止日本協議会の嶋田侑飛さんの主張への違和感

2022年8月24日に東京都港区の在日ロシア大使館近くで反戦デモが行われた。


記事によれば、このデモを呼びかけた団体の一つ「原水爆禁止日本協議会」事務局員の嶋田侑飛さん(23)は「プーチンは核兵器の使用を公言し、ウクライナを侵略した。もはや『核抑止論』が成り立たないことを示している。国連憲章違反の攻撃を続けていることを強く非難する。一刻も早くウクライナに平和が訪れてほしい」と訴えたとのこと。

この訴えに対し、筆者は違和感を持った。

百科事典マイペディアに記載されているように、核抑止論とは、核兵器の保有はその圧倒的な破壊力のために、かえって戦争を抑止する力となるという考え方のことである。

核兵器を使用しようとした場合、自国も相手国から核兵器による破滅的な被害を覚悟しなければならず、そのため最終的に核兵器の使用を思いとどまるという論理であり、これは英国のチャーチル首相が述べた「恐怖の均衡」という考えに基づいている。

核保有国であるロシアと異なり、ウクライナは非核保有国である。つまり、現ウクライナ情勢は核保有国が非核保有国を脅しているという構図となっており、核保有国同士の間で生じる「恐怖の均衡」とは別問題である。

嶋田さんの主張が、記事となる過程で不正確なものになってしまった可能性は否定できないとはいえ、嶋田さんの訴えは新聞やニュース記事に載っている文章としては不適切なものとなっているように思われる。


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