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くりきんとんがゆく vol.7 「アトツギ、アトツガセを考える。その1」

「くりきんとんがゆく」は、毎月第一金曜日、FM川口が午後7時からお送りしているラジオ番組「メタリックフライデー」で、DJおやっさんが担当するコーナーです。ここには、そこでお話した内容を記録していきます。

2022年3月4日放送分より。。。

先月、2月8日から10日までの3日間、東京インターナショナルギフト・ショー春2022に出展してきました。町工場プロダクツの仲間たち、14社で。

東京ビッグサイト、東ホールを全館使う大規模な展示会で、ファッションや雑貨などのメーカーさんが日本中から一堂に会してそれぞれの商材をお披露目して、それを販売の業界、いわゆる目利き、バイヤーさんが買い付けに来るという、おそらく日本ではいちばん大きな見本市です。今回、発表された展示会全体の来場者数は、約14万人ということでした。

ただ、これでもかなり少ない数字です。体感的にはコロナ前の半分以下という感じです。なので、出展常連の会社さんにとっては物足りなさを感じていたらしいのです。ただ、我々の町工場ブースにはお客さんが絶えずいて、ずっとにぎわってました。初出展組は7社あったのですが、みんな手ごたえ十分あったようです。

なぜ、ギフトショーで大きな注目を集めたのか

注目を集めた要因はいろいろあると思いますが、華やかなブースにきれいに商材を並べた展示が大多数の中で、町工場というフレーズ自体が異色だったし、目新しさがあったのかと。ただ、今回は、展示会デザイン業界ではおそらくいちばん有名な、スーパーペンギンさんが我々のブースを手掛けてくれたというのも大きかったですね。

会期直前に、そのスーパーペンギンさんが出されたプレスリリースというのも、実は話題になっていました。

そのプレスリリースをツイッターで紹介した、よめ🦛中小企業の嫁@yomejirushiさんのツイートがあるのですが、これ、原文のまま。

「スーパーペンギンさんがプレスリリースまでうってくれました……んですが、内容があつ、あ、熱すぎ!!内容があつ、あ、熱すぎ!!おやっさんが昨日から発信している「アトツガセ」にも言及されています。ただの展示会出展のプレスリリースじゃなくて、読み物としてどうぞ……!」

ここでの注目ワード、アトツガセ。これは、自分が、いわゆるアトツギに対して、事業継がせる、親の立場をアトツガセと言ったものなのですが。

実は、ある悩み多きアトツギさんのツイートがあって。社長であるお父さんから、アトツギである息子さんに対して、まだまだ譲ることはできない。修行だけしとけって言われ、それに対して、そんなことでほんとにいいのだろうかと、経営環境がどんどんと変化している時代に。でも、実績を積み上げてきたお父さんの言葉に逆らうこともできず、悶々とした気持ちをツイッターにぶつけていたんです。

それに対して、自分が、ついつい、熱くなって反応してしまったツイートで使った言葉なんです。これも原文のまま。。。

「おーい!アトツガセ組の親父たち!この後におよんで、なにしようってんだ!そりゃ、まだまだ若いもんにはって気持ちわかる。わかるけど、その元気があるなら、もう一回、新しいことにチャレンジしようぜ!会社はアトツギに任せて、もうひとつ上のステージで勝負や!その気がないなら、引退だ」

そうしたら、このツイートが、思わぬ反響を呼んだんですよ。たくさんのコメントが付いたり、リツイートされたり。

先に紹介したスーパーペンギンさんのプレスリリースにも、自分のツイート内容を引用されて、こう書かれました。

「これは、町工場プロダクツの発起人、栗原社長の言葉です。この言葉には、アトツギ達の挑戦だけでなく、これまで会社を支えてきた「アトツガセ組」も引退ではなく、新しい挑戦をしよう、そんな「新しいステージに向けた決意」のススメであり、まだまだ活躍できる場がある、ということを気付かせるツイートなのだと感じます。」

さらに町工場プロダクツについても、

「今回の出展は単なる「町工場」の出展ではなく、「今後の日本の町工場の形」の提言。当社は、今回、このプロジェクトに関わらせていただいて、これが単なる出展ではなく、また、単なる「アトツギ」の挑戦でもなく、「アトツガセ組」の在り方も含めた、「日本の町工場そものものの在り方」を展示会への出展という形で全国に実践的に示す「挑戦」、そして「ファーストペンギン」的行動なのだ、と感じました。

町工場プロダクツの方々には、それぞれ様々なストーリーがあります。アトツギの悩み、アトツガセ組のこだわり、など。本展示会出展を通じて、1社でも多くの日本のものづくり企業にこの「心意気」が伝わればいいと感じています。」

という風に紹介してくれました。ただ単に、ブースデザインを請け負ったっていうだけじゃない、思いを共有して、それを最大限に表現しようと考えて
くれている、そう感じさせられましたね。ツイッターから始まった発信が、リアルにいろいろなところに刺さって、実際に行動にが起こされていくって、ちょっとすごいなって。

若いアトツギ世代に向けて

さらに、自分からは、若いアトツギ世代に向けて、こういうメッセージもしてみたんです。

「Twitterに留めておかないことだ。親父世代に届く波にするには、新聞、テレビを巻き込む!既存メディアが動き出すまで、声を繋ぎ続ける!日本が浮上しない理由を、中小企業の生産性のせいにしたがる声が多いけど、だったら、見返そう。答えは簡単だよ、アトツギ世代が活躍する社会に!」

このツイートにもさっそくの反応があって、ある大きなメディアが動きました。取材の申し込みがあって、ギフトショーのブースでインタービュー取材を受けました。そのときにお話ししたことは、来月、有名な月刊誌に記事として取り上げられる予定になっています。詳しいことはまだ言えませんが、来月の放送では、詳しくお話しできるかと思います。なので、このテーマは、次回にも続きます。

次回は、うち、栗原精機の取り組みというか、アトツガセである自分から、アトツギである息子に事業承継を進める過程で、これまでやってきた仕事を
大きく変えたわけではないけど、考え方を変えてみたら、実際にどんなことが起こって、会社がどう変わったのか、というのをお話しさせてもらいたいと思います。

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