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【On Time】/【Grand Funk】(1969) Grand Funk Railroad アメリカン肉体派ハードロックバンド1st&2nd!

レッド・ツェッペリンに対する米国からの回答とも言われたグランド・ファンク・レイルロード(以下GFR)。アメリカン・ハードロックの元祖といった存在ですね。

【アメリカン・バンド】【シャイン・オン】の華やかなヒット作が有名ですが、GFRと言えば肉体派のイメージ。私は高校卒業後すぐに上京したのですが、東京で最初のアルバイト先のラーメン屋に古い洋楽に詳しい大学生M先輩という方がいて、2nd【グランド・ファンク】を貸して貰ったことがありました。だからGFRで真っ先に連想するのは、今でもあの赤いジャケットカバーです。

髪を振り乱し、汗を飛び散らして、強烈な体臭を発するような無骨さを感じる初期GFR。今回はそんな彼等の最初の2枚を久しぶりに棚から引っ張り出してみました~。

左からメル、ドン、マーク
(2ndジャケットより)

GFR結成時のメンバーは、マーク・ファーナー(vocal, guitar)、メル・サッチャー(bass)、ドン・ブリューワー(vocal, drums)の3人。マネージャー兼プロデューサーとして彼等を売り出したのがテリー・ナイトです。

テリーはデビュー間もないGFRを大舞台のステージに次々と出演させ、69年10月のオリンピア・スタジアムではレッド・ツェッペリンと共演。前座ながらトリを食う程の凄まじいパフォーマンスを披露したことから「ツェッペリンもぶったまげた新人」というコピーが広まったようです。マスコミを利用したテリー・ナイトの巧妙な戦略がバンド成功の要因でもあったようです。

【On Time】(1969)

1969年8月発表

デビュー作。轟音バンドとして鮮烈な登場だった彼等ですが、個人的にこの1stにはブリティッシュロックからの影響を色濃く感じますね。有名な"Heartbreaker"をはじめ、所々に出てくる哀愁味を帯びたメロディ、幽玄なアレンジには彼等の英国的なルーツが窺えます。
楽曲はまだまだ冗長で未整理ですが、演奏は全力疾走。話題を呼んで大健闘の全米27位。


〜何故か音が悪いデビュー盤〜

キャピトル・レコードの米国初期盤
(72年までのプレス)

本作のアナログ盤、どうにも音が悪いです。上の写真はキャピトルのグリーンレーベルの初期盤。針を落としてみて何かの間違いでしょ?と信じられない音質でした。こもり過ぎ、パワーの無い音量レベル、不良盤かと疑ったくらいです。お店で他の初期盤も試聴しましたが全く同じでした。

キャピトル・レコードの米国再発盤
(72~74年プレス)

この手の盤は俄然好奇心がソソります。もう1枚手にしたのがキャピトルのオレンジレーベル。2ndプレス盤です。ところがこれは更に酷い音で、全く元気のないポンコツ盤なのでした。哀しい〜。
本作をよく聴いていると"Heartbreaker"はかなり音が悪い。後半にはハウリングのノイズが数ヶ所入っているんです。うむ〜デビュー作は予算も掛けられず録音環境も劣悪だったということでしょう。

キャピトル・レコードの米国再発盤
(78~83年プレス、Ginger.Tokyo高山さん所蔵)

一応、参考までにと高山さんお持ちの本作をご厚意でお借りしました。ジャケット裏にはバーコードがあり、A Capitol Re-issueの印字まで入った80年代の再発盤です。聴いてみるとこれが意外に良い音……いや厳密には低音が引っ込み気味なんですが、非常に整った音でした。やはり録音が悪かったのは事実で、80年代には多少の修正が施されたようです。

日本盤 "ハートブレイカー" シングル

ところで、東芝音工のシングルで聴いてみると "ハートブレイカー" もそこそこ聴けます。7インチ盤ということも理由ですが、東芝が独自に音圧を上げたのは明白です。ならば、本作の東芝音工の初回盤ならば期待出来るかも。私はもう結構ですけど…。

"Anybody's Answer"

"Are You Ready?"の次に入ってるこの曲、混沌としてます。ガレージっぽいノリからヘヴィなサウンドへと様変わり。初期GFRって、全く先が読めない展開の曲が多いです。

"Heartbreaker"

本作の代表曲。日本のGSもカバーしていました。哀愁味溢れるウェットな曲調はいかにも日本人好みです。終わったかと思わせて、また始まる演出は少々クドい。


【Grand Funk】(1969) 

1969年12月発表

デビュー作からたった4ヶ月後に発表された2nd。メル・サッチャー(bass)、マーク・ファーナー(guitar)双方がぶつかり合うヘヴィなサウンドを前面に出して、より米国らしい骨太な音へ変貌。GFR流ハードロックの幕開けといった作品ですね。本作、録音も良いです。3人の音がクッキリ分離されて音圧もグッド。引きずるビート、重量感ある音で押していくアレンジが圧巻。大躍進の全米11位。

キャピトル・レコードの米国初期盤
日本盤 "孤独の叫び" シングル
9分37秒ということで7インチには珍しく33回転盤。


"Got This Thing on the Move"

イントロから迫力満点。メル・サッチャーのベースがゴリゴリと前に出てきて怒涛の重量感です。3人でもスカスカしてないのが本作。ブルースをルーツに野太く轟く一曲です。


"Inside Looking Out"

初期GFRのイメージを決定付けた曲といえばこちら。アニマルズの66年ヒット曲のカバーです。マーク・ファーナーの絞り出すような絶唱がとにかく熱い!マークの歌に呼応するドン、間奏でメルとマークがお互いを煽るプレイなど生々しい熱演です。

ここから少しづつポップさも加えて、さらなる人気を勝ち得ていくGFRですが、力の加減を知らない初期のピュアさは何とも潔い。
全身全霊のハードロック。まさしく暴走列車です!

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