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【Frampton Comes Alive!】(1976)Peter Frampton ポップでマイルドな臨場感伝わるメガヒットライブ盤

元ハンブル・パイのピーター・フランプトンが1976年に発表した出世作が本作【フランプトン・カムズ・アライヴ】です。

当時、2枚組のライブアルバムとしては異例のメガヒットを記録。全米チャートで通算10週間も首位に君臨、1年以上チャート・インし続け、フランプトン本人も瞬く間に時の人となりました。

後追い世代の私は、高校時代に出会いよく聴きました。ヒットから10年以上経った後のことです。80年代後半、既にピーター・フランプトンは過去の人でした。

何ゆえ聴こうと思ったのかといえば理由は簡単。「売れた作品=名盤」だと信じていたからです笑 当時はロック史名盤の中にまだ本作はギリギリ紹介されていました!

中古屋で叩き売られていた本作をLPで買い、良く聴きました。ジャケットを見ては、本気でフランプトンの自毛は紫色だと思ってました。

わかり易く明快でポップなメロディ、歌モノ重視で硬軟取合せたギターサウンド。そして憧れるノスタルジックな70年代の香り。よく聴いた頃を思い出します。

その時のレコードは手放してしまい、CDでも買いました。が、この数年再びレコードで各国盤を買い直しました。安いです…笑

これはキングレコードの国内盤。帯にシングルヒット3曲を紹介してるので、翌年77年頃のプレスでしょうか。

こちら米国A&MレコードのUS盤。外装シュリンクがいまだキレイに残っており、前のオーナーの方の性格が判ります。というか、あんまり聴いてなかったのかな??

US盤の2枚組レコードは ‘’A面の裏がD面‘’ ‘’B面の裏がC面‘’となっているので聴きづらいんですよ。ラジオ局等でオンエアしやすく配慮してこういうプレスになったとか。

こちら英国A&MレコードのUK盤。ジャケットにレコードのリング跡が出た年季もの。発売からの歴史をひしひしと感じます。

各盤の音は ‘’スッキリしたUK盤‘’ ‘’低音太いUS盤‘’ が甲乙つけがたく、‘’おとなしい国内盤‘’ はいま一つという感じでした。


そもそもこのライブ盤、昔から妙な臨場感を感じていました。

歌や演奏が少し遠くに聞こえ、ボーカルやギターの反響音が入っていたりと、ややオーディエンス録音ぽい空気感があります。

私にはこのモヤッとした感じが、さも会場に居合わせているような気分にさせてくれます。

本作は1975年の全米各地でのコンサートを収録。初めは1枚モノの予定だったのが、A&Mレコード上層部のススメで2枚組になったと聞いたことがあります。

A-①「サムシング・ハプニング」
MCの紹介に促されて、いざフランプトン登場!オープニングは彼の得意とするキャッチーなロックナンバー。メンバー4人が一丸となった演奏で客を煽っていく様子が伝わってきます。

A-③「ショウ・ミー・ザ・ウェイ」
ポップな魅力溢れるフランプトン初のシングルヒット曲。有名なトーキングモジュレーターを使ったギターソロは、今や古びた感想しかないですがメロディアスなフレーズです。覚えやすいサビのコーラスもイイですね。

B-②「ウインド・オブ・チェンジ」
デビューアルバムからの選曲、アコースティック弾き語り。英国人らしい繊細なコード感が美しいです。途中でオーディエンスがクラッカー?を鳴らして盛り上がるトコが好きです。そんな本作のアットホームな雰囲気にも昔から惹かれます。

B-③「ベイビー、アイ・ラブ・ユア・ウェイ(君を求めて)」
甘くメロディアスなフランプトン屈指の名曲。2ndシングル。彼の歌を引き立てるバックの演奏、中でもエレピが素晴らしい!この時代を感じる懐かしい音色で大好きです。
バックメンバーのボブ・メイヨは本作で鍵盤、ギターもこなす大活躍。フランプトンの右腕となっています。

C-②「マネー」
フランプトンのハードな一面を捉えた一曲。 2本の歪んだギターの音が反響して聴こえ、本作の臨場感、アリーナロックらしさを感じます。

D-①「ラインズ・オン・マイ・フェイス」
メジャーセブンスのコードを使ったポップソウル風な雰囲気がクールです。珍しくソウルフルなボーカルを聴かせ、リリカルなギターソロも冴えて、本作のハイライトとも言える熱い名演です。


本作は各面にそれぞれ

‘’A面 ポップなロック‘’ 
‘’B面 アコースティック‘’
‘’C面 ハード・ロッキン‘’ 
‘’D面 長尺ギターソロ‘’

といったテーマに沿っており、とても上手く編集されたライブ盤になっています。

全体的には割とハードなギターサウンドですが、フランプトンの甘口な感性と中和して耳触りは非常にソフト。

オーディエンス録音のような丸い音像に包まれた、マイルドでスケールの大きいアリーナロックサウンドが本作の魅力だと思います。

改めて通して聴いてみると、なかなか重厚長大で満腹な内容ではあります笑 
パンク・ロック登場以後では、こういったユルくて毒の無いロックがすっかり軽視されてしまったのも判ります…。

とはいえ「ショウ・ミー・ザ・ウェイ」「君を求めて」など甘酸っぱいヒット曲の魅力を教えてくれた本作。
いくら二束三文で叩き売られようとも、私には今も愛おしいロックの名盤なのです。。

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