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人々の日常を面白く、楽しく、美味しく。「頭っからウェルカム」の信念で三軒茶屋に人を運んできたマルコ系列2TAPS@食堂かど。【後編】

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奥三茶を中心にマルコ、ニューマルコ、コマル、食堂かど。と4店舗を構え、2020年で6周年を迎え圧倒的な存在感を放つ2TAPS。今回はその2TAPS代表取締役河内亮さん、取締役小柴直哉さんにお伺いした前編の続きを書いていこう思います。

前編はこちら

店舗拡大は、信念とお客さんをつなぐ手段だった

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創業以来ブレる事なく言い続けた「頭っからウェルカム」という信念。

今の時代、どこへ行っても質の高いモノで満たされ、モノや機能ではなかなか差がつきにくい中「自分たちの信念でブランディングする」ことは、決して他人が真似することができない強みになってゆく。誰かが作りたくてもつくれない財産へと変わってゆける。

そう思って「どうりで4店舗も展開しても人気が出るわけですね」と思わず口にした。納得がいったからだ。

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小柴「ありがとうございます。お客さんとの理想的な関係性を考えていく上で、まず居心地を作なければいけないとずっと思っていました。結果的にお客さんにそれを喜んでもらうことができ、事業も拡大していくことができました。ただ・・・。」

ただ?

小柴「実は店舗を拡大していったのは、お客さんとの距離感に変化を感じたからなんです。

ようやくお店が軌道に乗りはじめると、せっかく来てくれた人が入れなくなることが少しづつ増えていったんです。こんな駅から離れた場所まできてくれたのにそれはちょっとまずいなって。」

ウェルカムじゃない?

小柴「そうですね(笑)」

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河内「ほんとそうですね(笑)。これはなんとかしなきゃなと思いました。でも正確に言うとそれは『思わせてくれた』んです。

こんな遠くまで来てくれたのに入れなかったお客さんをきちんと受け止めたくて、この近くで回遊できるように展開しようと決断させてくれた。そう今でも思ってます」

小柴「結果マルコとお客さんの距離はまた近づく事ができました。でもそれは来てくれるお客さんがいてくれたからこその出店でした。僕たちはお客さんに育ててもらえた。ホント運がいいです」

運がいいとは言うものの、顧客の心地のよさを一つの提供価値にしていたからこそ、その温度を感じ、必要性を捉えられたのだと思う。これも「頭っからウェルカム」という信念があったからこそだったに違いない。

「俺でどうですか?」と言える仲間がいるか

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河内「(ようやく見つけた物件で)あっちにいくとマルコしかない、そこしかないけどマルコがあるから行く。そう思わせるのはどうしたらよいかを考え、頭っからウェルカムな気持ちで取り組みました。おかげさまで4店舗も出店させてもらえ従業員の数も増えていきました。

そして今考えるのは、できるだけ自分は現場にいないようにしようと思ってることです」

小柴「スタッフが多くなってくるとトップダウンの距離が変わってくる。所属してる店長たちもチームを作りにくいはず。自由にしにくい。そうなると自分達がいなくなったほうがいい、だから今は現場に立たないいほうがいいのかな、という判断です。」

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河内「そうするとこれから大事になってくるのは『俺いますけどどうですか?』『俺でどうですか?』と言える仲間がいるかってことなんです。」

面白い話になってきた

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河内「例えば『亮いる?』と自分を目当てに訪れてくれる常連さんがいます。けど自分をめがけて来てくれる人って、自分がいないとわかると、そのまま帰ってくこともあるんです。

その時そこで誰かが『俺でどうっすか?』って言うとどうなるか。

実は言われた側ってめちゃめちゃ嬉しいんです。その心意気を好きになってくれて暖簾をくぐってくれます。これまで僕を求めてきた常連さんはうちの別の店員の常連になり、お店自体を好きになっていただけるようになるんです。ヒトを目指してくるのではなく、店を目指してくる状態に変わる。」

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社長はいないですけど僕がいるんで楽しいですよ。とそう言える勇気は相当だ。なかなかできない。

だがわかったのは、頭っからウェルカムという信念は新規のお客さんだけに当てはまるのではなく、常連を楽しませるきっかけにもなれるということだ。お店の信念なのだから、当然誰もそれを咎めることもない。だれでもいつでもトライしていい。つまり常時アップデートが起きることになる。

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河内「店長はいません、しにましたー。って言うやついるんですけど(笑)、でもそれって大事なことなんです。誰かのお店で働いてるのではなく、自分のお店というマインドでやってるからこそ出てくる言葉だからです。

小柴「◯◯さんいないの?といわれそれを『ちくしょう』って思ってるんでしょうね。でもそう言えるヒトが伸びるんです。言ったもん勝ちです。」

未曾有の事態が起きた2020年、2TAPSは既にコロナ後の準備が整ってる。このお店は未来も強い。このお店の信念は引き継がれていつまでも三茶の人を楽しませてくれる、そんな未来を見た気がした。

インタビューを終えて。

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どこでも美味しいものを食べれられる時代、いろいろな価値がコモディティ化してくる。

そうすると残るのは 「顧客に自分たちの動機を高い粒度で届けたい」という思いや「届けられるはずだ」という信念しかない。それを今日、強く認識させられた。

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自分たちがどうありたいかが明確だからこそ、やるべきことも明確になってゆく。それは上質な口コミにつながり、誰かを連れてきたいと思う行動を引き寄せる。

「大事なのは頭っからウェルカム」

できるもんなら真似してみろ、信念は代替え不可能なのだ。 そんな気持ちにさえなってくる。
これを手にできたら、そりゃ組織は強い。きっとその差が3年後大きな違いを作っているかもしれない。

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ビジョンコミュニケーション。元新聞配達員。元舞台役者。元コピーライター。C1グランプリ優秀賞。宣伝会議講師。キャンプ好き。2M(メディア)なPRプランより生活者目線で理念を打ち出すブランディングを実施。三茶散歩コミュニティマネージャー。好きな言葉は「和して同ぜず」