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屍人荘の殺人/今村昌弘

第6回は屍人荘の殺人/今村昌弘です!2017/2018の各種ミステリ大賞で4冠に輝いた本作をレビューします。
※尚、予告後にネタバレがあります。


1.基本データとあらすじ

1-1.基本データ

1-2.あらすじ

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究会の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。

合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。

緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!! 

文庫版あらすじより

2.主観的評点と向き/不向き

2-1.主観的評点

主観的評点は以下の通りです。

2-2.向き/不向き

本作が向ている人
・本格ミステリが好きな人
・館モノ/クローズド・サークルが好きな人

本作が向いていない人
・殺人/グロ描写が苦手な人
・古典ミステリこそ本物のミステリと思う人

3.ネタバレと感想

以下、核心の部分に触れておりますので未読の方はご注意ください。












3-1.犯人と動機

犯人は静原美冬。犯行の動機は、昨年の映研合宿で、立浪(第二の被害者)が手を出した女子部員・遠藤沙知の復讐。遠藤は立浪によって妊娠したが、関係を断たれ失意により自殺。静原は復讐のため神紅大学に進学。機会を伺う。

第一の被害者の進藤はゾンビとなった恋人の星川により殺害され、ゾンビ化。静原はパンデミックとなった状況を利用した犯行を計画。恨みを持つ立浪はエレベーターの重さを利用したトリックにより殺害。七宮はゾンビの血液を目薬に紛らせ殺害。

剣崎比留子の推理により犯行を認める。最終的に屋上にまでゾンビが迫り来る中、自死。

3-2.ネタバレ感想

特殊設定ミステリとして、"よくこんな作品考えたな!"と言う感想です。

基本路線は、王道の本格ミステリ(犯人当て/クローズドサークル/館モノ)です。それを踏まえつつ、"ゾンビ"と言う特殊設定を追加した事によってミステリの可能性が増しました。

僕が本作を読んだのは、一通りの定番作品を読んだ後だったので、"結局、ミステリって過去に色々やり尽くされて来たパターン踏襲に過ぎないのね"と食傷気味な時期だったので、より一層楽しめました。

"ゾンビ"の部分以外は本当にフェアに創られています(ゾンビの行動ルールも明示されている)。超常現象はミステリとしては禁じ手なのですが、自ら課した設定を逸脱しない範囲なので、完成されています。

"何故ゾンビが生まれたのか?"では無く、"どうやって、ゾンビが迫りくる状況下で殺人を起こしたのか?"に焦点が当たるので、ホラー小説に逸れる事なくミステリ小説の枠に収まっているんですね。

登場人物の名付け方も親切でページを行ったり来たりしなくて済みます。

4.まとめ(ネタバレ無し)

以上が屍人荘の殺人/今村昌弘でした。いかがでしたでしょうか。興味を持たれた方は、是非ご一読ください。


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