サイコパスが人を惹き付ける理由

新歓やコンパなどで,よく「アイスブレイク」という儀式を行いますね.

訳の分からんゲームや雑な質問コーナーをする,アレです.

初対面でガチガチに緊張する様子を ”氷” に喩えているらしいです.

僕は,この活動が皮肉にしか思えません.


今回は,これをテーマに「冷淡さと魅力の関係」を紐解いてみます.

少しでもこの違和感と面白さが伝わればな,と思います.


あ,サイコパスというのは冷淡で反社会的な人のことです.


違和感① 「初対面で緊張する?」

もちろん,僕も緊張はします.

でも正面からこの感情に向き合ってみると,どうも”本能のバグ”っぽいんですよね.

まず,緊張の正体は「闘争 or 逃走反応」です.その場を乗り切るためのエネルギーでもあり,その場から逃げ出すためのエネルギーでもあります.

さらに負の感情を引き起こすことで,僕達に「ここが正念場だぞ!」と教えてくれているわけですね.

初対面がなぜ ”正念場” なのかと言うと,社会動物である人間にとって「初対面の人に良い印象をもってもらうこと」は,生存や繁殖において重要だったからと考えられます.

では,現実世界ではどうでしょう.


...... アイスブレイクしちゃうんですよね(笑)

そう,現代社会は緊張を解消すべきモノとして扱います.

むしろ緊張のあまり,コミュ障っぷりを発揮して黒歴史の1ページを飾った人の方が多いんじゃないでしょうか. 僕にも心当たりがあります.


とはいえ,緊張にもそれなりの役目は考えられます.

すなわち新人クンの緊張は,メンバーに対する「畏怖」を示す合図,そしてメンバーが緊張を解きほぐす行為は「歓迎」を示す合図になっているのかもしれません.そうして上下関係をハッキリさせることで,互いに円滑な社会人ライフを送ろうって寸法ですね.

チンパンだった頃の我々が如何にもやってそうなことです.


いずれにせよ,十分に知能を発達させた僕たちなら,過度な緊張や不安といった感情に突き動かされずとも社会生活は送れそうです.というかむしろ,それがストレスで社会生活に支障が出ていますよね.

... これって”バグ” じゃない? ということです.


少なくとも僕は,わざわざ緊張せずとも尊敬の念をもって接することができます.まあ,畏怖されるのが趣味の方にはウケないですが.

多くの人もそうだと思います.極端な話,「サイコパスって生きやすそうだな~」って思ってる人はそうです.


僕自身,緊張を克服してからの第一印象は「落ち着いている」「有能そう」「大人っぽい」といった,ポジティブなものが多くなりました.もちろん,中には「生意気」だと感じた人もいるでしょう.それは今後の課題です.

初対面で緊張したければすればいいし,したくなければ何らかの方法で克服すべきです.そんなあなたを「愛すべき人間」と捉えたり,僕のような人間を「生意気」と捉えたりするのは,相手の好きにさせとけばいいのですよ.


面接でもない限り,周りの人間は自分のことをそれほど見ていない.だから緊張なんかしなくてもいいんだよ,という人がいますね.

これは順序が違います.

相手に好かれたくて,でも否定されるのが怖くて緊張するんじゃないですか? だったら,そんな思い込みは気休めにもなりません.いざという時にボロが出ます.知らない内に嫌われます.そんで自己嫌悪に陥ります.

自分が他人や自分自身を否定しなくなってはじめて,周りの人間をそういう風に見ることができるものだと思います.そして自分を否定してくるような人に出会った時には,昔の自分を懐かしむように見ることができます.


これは「不安障害」等と呼ばれるレベルで緊張しがちな人に向けた話ではありません.彼らの苦痛は僕の理解を超えているでしょう.実際,この声が届いた試しはありません.多分「ハイハイ自己肯定感」って感じですよね?

”余計な緊張”に無自覚で,ぬるま湯的な儀式に不服ながら浸かっている人にこそ,この違和感に一度目を向けて欲しいです.その後は任せます.


違和感② 「”当たり障りのない”という壁」

アイスブレイクは緊張を解すための活動でした.

「出身どこ?」といった質問コーナーは定番ですね.

想像しただけで帰りたくなります.


恐らく相手は「興味のないコト」を聞いていますね.

そして「興味のないコト」を機械的な笑顔とトーンで返します.

あわよくば共通点を見つけて話を広げて... というつもりでしょうが,回りくどすぎませんか.別にそんなことしなくてもいいのに.

当たり障りのない話で壁を作り,安全圏から石を投げてお互いに御機嫌を伺います.いずれ僕は,ジレったくなって爆弾を放り込みます.


「それが社会だ」というなら,社会の無駄ってことです.

「社会の無駄」に対する不満は,どう生かせばいいんでしょう.僕の場合,徹底的に無駄を排除したシステムを作ろうと考えました.

個別的には環境を変えれば解決します.もちろん僕もそうしてきました.でも周りを見渡す限り,どんな環境でも ”儀式” って存在しちゃうんですよね.システムが多様性についていけないから画一化するんだと思います.

そこに価値を感じるし,面白そうだと思うわけです.



そういえば,アイスブレイクの話でした.

僕の感覚だと,これは「本当の興味から目を背ける活動」です.

実態は「氷が解けるのをじっと待っているだけ」ですよね.

なぜ,緊張それ自体に目を向けないのでしょう.

彼らはアイスピックで素振りしています.


僕が緊張している人を見たら「緊張しますね」とか言います.

その場で感じたことを,直球で丁寧に投げるだけです.


確かに,いきなり本質を突くとビビられます.そういう部分が否定されるのを無意識に恐れてるんだと思います.「馴れ馴れしいなコイツ」って不信感も根は同じですね.ビジネスだとより厄介です.

否定も肯定もなく掘り下げていけば ”アイス” は簡単に壊れます.だからこそ僕の印象は「落ち着いた人」になります.相手がどんなにヤバい本質を晒そうと否定しません.適当な同調もしません.ただ興味があるだけですから.



生まれつき冷淡で,初対面でも堂々と振る舞えて,いきなりド直球の会話を好む人達がいます.

「それがサイコパスだ」 とは言いませんが,多くの人はそうだと思います.少なくとも,アイスブレイクのような作業はファックでしょう.

その認識を実行に移せるのが,あなたの強みです.多くの人はなぜか緊張するし,それを最短ルートで解消しないんですから.

多くの人は,これを「マナー」や「デリカシー」だと思っています.個人的には,それを左右するのは「直球か否か」ではなく「丁寧か否か」だと思います.サイコパスは丁寧さのレベルかなり失敗し,学んできたはずです.


「多くの人」に該当した人は,これを機に頑張ってみるのはどうでしょう.案外なんとかなるし,むしろ良いことの方が多かったりします.そして,過剰に丁寧な人が直球を投げられるようになると結構最強です.

結論として,サイコパスが人を惹き付ける理由は,彼らが憧れを反映してるからです.彼らのコミュニケーションは,多くの人にとって理想的です.



もちろん,非サイコパスにも魅力的な人はたくさんいます.

だからこんな二分法は実際には役立ちません.単なる理解の参考です.

忘れちゃいけないのは「正面から向き合うこと」だと思います.


分かったら,そのアイスピックで素振りするのやめませんか.


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