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タイトル

 昔、「君さえいれば金枝玉葉」と言う映画が大好きだった。正確に言えば初めて沼った映画だった。

 映画の中のレスリーチャンに恋をした。TSUTAYAで当時はレンタルVHSを計20回借りて、TSUTAYAのタバコの吸いすぎみたいな顔の店員に呆れられたが、高校生の叶わぬ恋は、映画の主人公みたいにハピーエンドはなく、レスリーチャンがお空にダイブして天国への階段を上がった事でアッサリ終わりを告げた。

 彼が天国に着く頃、追悼の映画上映や写真集が発売されたりした。追悼の映画上映は、彼の代表作が沢山上映されて名優だった彼の勇姿とゴシップが、雑誌に少し出た。

 追悼の映画上映を見て、本屋で写真集を買って自宅で開いたら、本の3分の2が彼の半裸でびっくりした。

 3分の1は、インタビュー記事だった。インタビュー記事を読んでいくうちに、私は「君さえいれば金枝玉葉」の彼が好きだった事に気がつき、本当のレスリーチャンにも、「君さえいれば金枝玉葉」の彼女がいればお空に登らなかったかなぁ?とぼんやり考えた後、大量の半裸レスリーチャン写真集の始末に困った。

 その頃は、親がメチャクチャ厳しくて、この写真集の存在を知ったら、唯一自由に買える本まで、親の検閲が入ることになる。慌てて私は、一番大きな古本屋に売りに行くが「男の写真集は売れない」とアッサリ却下され、4件回ってタダで引き取ってもらった。今なら、誰かに「そこに愛はあるんか?」と突っ込まれそうだが、親に何か言われる以前に、半裸レスリーチャンが眩しすぎて落ち着かなかたのだ。家に写真集があると思っただけで、当時の私は落ち着かずソワソワした。

 当時の私は、B級映画の中で笑っている彼=レスリーチャンくらいでちょうど良かったのだ。写真集は、インタビュー記事から人間=レスリーチャンが伝わってきて、勝手なイメージを押し付けた私たち=私は、とても居心地が悪くて、写真集を持っている事ができなかった。

 写真集を手放した後、TSUTAYAに「君さえいれば金枝玉葉」を借りに行くと、いつものバイトのにいちゃんが、「あれ、古かったから廃棄になったよ。」と棚に行く前に私に声をかけた。

 金枝玉葉とはどんな意味か?あんなに好きだったのに調べたことが無かった。

 Googleで検索すると、天子の子孫と出てきた。全く意味が繋がらないし、映画にもかすっていない。福島民友新聞社が掲載した2006年の漢字の世界という記事で、四字熟語で、金科玉条=金枝玉葉と同じ意味と書いてあり、意味は、絶対に正しいと思うよりどころ。現在は、自分だけが正しいと思い込んでいる規範の意味で使うとあった。タイトルは、現在の四字熟語の意味を指していたことを世紀を超えて今知った。

 

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