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おしゃれ

 おしゃれをする=心が健康、だと私は思っている。

 私は、学生の頃から現役で働いていた頃の24年間、全く化粧ができなかった。

 学生の頃は、バイトはしていたけれど、化粧品に回すお金がないのを、周りの友達には恥ずかしいので、友達がポケベル(若者よ、おばさんの頃はポケットベルが時代の先端だったのだ)を持ち、安室ちゃんの様な化粧を直すのを、横目で眺めながら、私は、進学のことを考えて校則を守っていると、嘘ぶいて本当は私もしてみたかったので、いつかの参考にと、友達にへばり付き化粧直しを毎回眺めていた。

 看護師専門学校に進学しても、あまり状況は変わらなかった。

 我が家はお金が無かったので、働きながら正看護師になれる学校に私は、なんとか滑り込んだ。

 学生のほとんどは寮生活で、私は数少ない自宅からの通い生徒だった。何故寮に入らなかったかは、簡単な話だった。我が家には、寮のための初期費用が無かったのだ。寮も形態は色々あって、家電製品をそろえて、引っ越し費用を捻出するお金は、必要な所がほとんどだったが、後で考えれば、寮併設でしばらく通いでお金が貯まったら寮という相談を、学校にすれば良かったと、今は後悔しているが、その当時はそこまで頭が回らなかった。

 いざ入学となり、入学式で化粧をしていないのは、私一人の現実を見た母が、慌てて買ってきてくれた化粧品は肌の弱いアレルギー持ちの私には全く合わず、おまけに母が合わせて買ってきた、化粧の仕方の本は、就活メイクと書かれていたが、かなり厚化粧の私にはハードルが高く、持っていないアイテムばかり出てくる参考にならない参考書だった。

 それでも、半ば義務感で化粧をしたが、朝4時に起きて始発に乗り、仕事してから学校に行き、夜10時に仕事が終わってやっと帰宅の生活では、化粧は1週間と続かなかった。

 転機は、二十歳の成人式でプロのメイクさんに、(と言っても近所の高級美容院の美容師さん)メイクをしてもらった時だった、化粧品がヒリヒリしない!痒くない!(まず、そこから私は間違っている)美容師さんに、色々聞くと、どうも私が使った化粧品は私の肌に合っていなかった。ということ。化粧品がその時の情報では、当時の私は、学費を払い、家にお金を入れ、残りで補助教材を買っていたので、私には、化粧品は、とても高くとても私では手に入れられない物だと結論付いたのだった。

 しかし、学校を卒業すれば、収入が上がるので、化粧品も買えると思っていたが、無事卒業しても、現状はあまり変わらなかった。

 家にお金を入れる額が増え、早朝激務からは解放されたが、新たに夜勤という敵が出現した。私はとにかく夜に弱かった。その原因は、家で日中仮眠が取れないのだ。

 母は、医療関係者ではなく、私は、家族の中に医療関係者は一人も居ない家系だった。

 夜勤の大変さを、いくら説明しても、夜寝れると家族は思っていた。だから、なのか?母が家事が苦手なだけか?掃除、洗濯が夜勤入りはしっかり残っている。やらないで寝ていると起こされ仕事だからやってくれと言う。(こちらも、これから仕事なんだが)私の話しは通用しない。

 そんな生活を続けていくと、だんだんおしゃれ以前の問題になってくる。

 普段の夜も眠れない、食べられない、体重が痩せてくる。病気の初まりだった。

 現在は、仕事を辞めて、療養生活だが、化粧やスキンケアは、かつてと違い大好きだ。

 今は、YouTube やインスタやネットで簡単に、化粧動画が見られたり、情報も、高級でもプチプラでもアレルギー持ちの肌の弱い人向けの化粧品の情報が、簡単に探せるようになったので、現在の私はスキンケアもメイクも楽しめている。そして心の健康を取り戻す方向に→が動き出したのか?化粧をすることを疲れないでできるようになってきた。

 現在も着飾ることを、悪いことのようにとらえる人がいるようだけれど、不潔感のある格好で人と会うより、その人への感謝や喜びを着飾ることで表現する行動は、元気だからできることだと思う。むしろ、不潔感のある格好で来てしまう人は、そこまで気が回らない程、何か心に支配する物があるのかもしれないと、私は、自分の経験から心配になる。

 着飾り方も人それぞれ価値観が違うように違う。ドレスコードの決まった集まりでも、化粧、服、靴、どれをとっても同じ物はないし、同じ物を着ていたとしても、全く同じに着るのは難しい。多様性とはそういうことなんじゃないかと、少し元気になった私は、考えている。

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