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杏子(脚本)6話

第6話(救世主あらわる!)

場面 車内の藤本ひとえ先生と杏子の目が合う。同時に下を向く藤本ひとえ先生。

場面1 杏子と藤本ひとえ先生が寮への道を歩いている。藤本ひとえ先生はバイクを押しながら、

場面1 杏子「ありがとうございます。でも、本当にどうしてこんな所に居たんですか?」

場面1 藤本ひとえ先生「いっ嫌、道に迷ってしまって道を流していたら、丁度その、見えたもので、それからは夢中で。」

場面2 杏子モノローグ(こんな高速から外れた場所で何して迷ったんだろう?でも、山本さんが居なかったらどうなっていたかわからないのは事実だし・・・)

場面2 藤本ひとえ先生モノローグ(今日たまたまこの子の職場見に来て良かった。もらった資料に、変な男に付きまとわれているって記述があってきたけど、誰なんだアイツ・・・)

場面3 杏子と藤本ひとえ先生の目が合い、気まずそうに発した言葉が重なる。

場面3 杏子「あの・・・」藤本ひとえ先生「あ、あの・・・」

場面4 杏子「どうぞお先に、」

場面4 藤本ひとえ先生「さっきの男は誰なんですか?」

場面5 杏子は、気まずい表情を一瞬浮かべたが、意を決した表情で藤本ひとえ先生の顔を見る。

場面5 杏子「うちの病院の医者です。」

場面5 藤本ひとえ先生「やっぱり、どうして?警察にその事言わなかったんですか?」

場面6 杏子「言ったら大変な事になっちゃうし、クビになっても困るので。」

場面6 藤本ひとえ先生「クビ⁉︎クビになるのは安田さんじゃなくて変態の方でしょう‼︎」

場面6 杏子「でも、奨学金借りてますし、辞めることになったら仕送りもできなくなるので、困るんです。」

場面6 藤本ひとえ先生「何故?自分がクビになると思うんですか?悪いのはあの男じゃないですか‼︎バカですか!」

場面6 杏子「立場が一番弱いから、私を切るのが一番現実的な想像なんです。辞めさせても、奨学金は取り立てられるし、あそこが私を守ってくれるなんて考えられない。」

場面6 藤本ひとえ先生と杏子は立ち止まって、怒鳴り合いになっていた。

場面7 藤本ひとえ先生「バカって言ってすいません。ただ、なおさら、そんな職場は直ぐに辞めた方がいい、貴方の命と身体が心配です。」

場面7 藤本ひとえ先生はしっかりと杏子を見つめながら真剣に話した。

場面8 杏子は見つめられて、少し照れて目線を外しながら軽口をたたく

場面8 杏子「大丈夫ですよ、山本さんに見られてびっくりして逃げたんだから、もうしなませんよ」

場面9 藤本ひとえ先生「本気で思ってます?貴方はひどいことされたんですよ。もっと怒って良いんですよ。」

場面9 静かにしっかりとした杏子に向かって話しをする藤本ひとえ先生だか、表情と握った拳に怒りが現れていたが、怒りを向ける相手が違うことに気がつき、大きく深呼吸した。

場面10 藤本ひとえ先生「確かに、この状況で戦うのは、無理がありますね。だけど、安田さんのように楽観的に考えるのも怖い。」

場面10 杏子「えぇ、またやりかねない人なんで。」

場面10 藤本ひとえ先生「とりあえず、明日と言うか今日の勤務は何ですか?」

場面10 杏子「とりあえず、深夜勤であの人とは一緒じゃありません。」

場面10 藤本ひとえ先生「それ誰かと変われませんか?」

場面10 杏子「変わります。あっ、ここ寮なんでありがとうございました。」

場面 10 寮の前て2人は別れ、杏子は古い寮に入って行った。

場面11 電話で、体調が悪いから変わってとたのんだ後、散々文句を言った後に友ちゃんは仕事を交代してくれた。

場面12 杏子は愛からの返信LINEを見ながらボーッとしている。

場面12 杏子モノローグ(どうして?友ちゃんにも本当のことを言えなかったのに、愛に連絡したんだろう?)

場面13 愛からの返信LINE[杏子さん、今日会える?紹介したい人がいるから、今日会って欲しい。]

場面14 都内の喫茶室{一つ一つの空間がパーテーションで区切られた小さな応接机とそれぞれに革のソファと椅子が二脚ある、ちなみに、ウェイトレスは何故か⁈みんな秘書の様なスーツを着ている}

場面14 愛の知り合いの女性「ごめんなさいね、こう言う所初めて?ここは、レンタル会議室兼喫茶室だから、変な所じゃないから安心して。」

場面14 愛の知り合いの女性「いつもお世話になってありがとう、愛から大まかな話しは聞いた・・・あんた私が誰か?説明した。」

場面14 愛「あっ!してない。この人、私のお母さん。美人でしょー」

場面14 愛が屈託ない笑顔で笑った。その笑顔は、いつもより優しい気が杏子には見えた。

場面15 杏子「あっ、お母さん。お世話にになります。」

場面15 愛の母「ちょっと、ちゃんと紹介してよ。じゃあ、本題に入ります。こちらは、司法書士さんの田中さん。私の知り合い。」

場面15  杏子「司法書士さん⁉︎ですか?私、お金ないんですけど。」

場面15 愛の母が、ソファにかけた愛に手で肩を押すマネをしながら、ソファの杏子の方を向き座り直して、隣の席の小さく歳の割に筋肉質の顔が柴犬みたいなおじいちゃんを手振りを交えながら紹介した。

場面16 司法書士「こんにちは♪うん、分かる。だから知り合い割引で初回相談料は、1000円で良いよ🙆手短かに言う、お礼奉公はもう禁止以上。」

場面16 杏子「は、はぁ?で、」

場面16 司法書士「だからー!」

場面16 愛の母「田中さん、ちょっと私喋って良い?うん、びっくりするよね。つまりもうお金返さなくて良いってこと!好きな所に行けるってこと。」

場面16 愛「やったじゃん!杏子さん。」

場面16 愛はニコニコしている。杏子だけは狐につままれた顔のまま固まっている。そんな杏子の顔を愛の母と司法書士さんが心配そうにのぞきこんでいる。

場面17 杏子「は、はぁ。どうしたらお金返さなくて良いんですか?」

場面17 司法書士さん「どうもしなくて良い。請求してきたらハッキリ今言ったこと言えば良い。言えなかったら、私の事務所おいで。」

場面18 司法書士さん「じゃっ、今日予約が入っているから!これで失礼。」

場面18 司法書士のおじいちゃんは、ぬるくなったコーヒーを一気に流し込んで立ち上がり、風の様に去って行った。

場面19 愛の母「あれで分かった?」

場面19 杏子「私は、もうお金返さなくて良いんですか。転職できるんですか。はっー!」

場面19 杏子は深い深呼吸をしながら身体から力が抜けて行くのを感じ、ソファに沈み込んだ。

場面20 愛「力抜いている場合じゃないよ、対策練らないと!変態はまだ生きてるんだから!」

場面20 愛の母「おどかさないの!田中さんは、あぁ言ったけど、事を荒立たせない言い回しは大切よ。穏便に辞める方法、おばさん手伝うから。」

場面21 杏子は自分では止められないほどの涙が一気に瞳から初めて、流れ落ちるのを感じた。

場面21 愛「助かって良かったね。本当に良かった。」

場面22 愛に抱きしめられながら、いつまでも杏子は泣いていた。


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