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組織の立ち上げをこれから行う方へ

はじめに

私は2020年9月に株式会社hacomonoというスタートアップに入り、そこからカスタマーサクセスチームの立ち上げを1年ちょっとやってきました。
来年から良いスタートダッシュを切れるように振り返りを行っていたのですが、この1年の試行錯誤の中で感じたことを発信することで1年前の自分のように組織の立ち上げを初めて行う方の役に立てるのではないかと思って、noteに投稿することにしました。

この記事の対象者

上記の通りなので、想定読者は「責任者として組織の立ち上げを行う方・行っている方」です。
私はカスタマーサクセスチームの立ち上げを行っていますが、カスタマーサクセス固有のことはあまり記載していないので他のファンクションの立ち上げを行う方でも問題なく読んでいただけると思っています。
(逆に言うと、カスタマーサクセスの具体の「How」を求めている人にはあまり役に立たないと思います)

前提の共有

私は何者か

株式会社hacomonoというフィットネスクラブ向けの予約・決済・会員管理SaaSを展開しているスタートアップでカスタマーサクセスチームのマネージャーをしています。
先述の通り、2020年9月入社(実質はほぼ10月)なのでhacomono歴は2021年12月現在で1年3ヶ月です。

チームの変遷(ざっくり)

カスタマーサクセスチームは2020年8月頃に発足し、9月に私が入社した際には私含めて4名でした。
そして2021年12月時点で9名、内定者を含めると15名のチームになっています。
(こうやって文字にすると増えたなって実感しますね)

組織の立ち上げを行ううえで重要なこと

で、本題のなのですが、組織の立ち上げを行ううえで重要なことは簡潔に言うと、意識的に変化を行っていくことです。
これだけだとなんのこっちゃって感じなので詳細を説明させていただきます。

チームの戦略・施策は他社事例をそのまま取り入れず、自社流に変化させる

他社と自社とでは置かれている環境・前提が異なります。
そして戦略は文脈依存度が圧倒的に高いので「他社と自社とで戦略が一致する」なんてことはほぼ100%起きません。
なので、「他社でうまくいっている施策が自社でそのままうまくいく」「他社が注力していることが自社にとっても重要」ということも起きません。

これだけ読むと「そんな当たり前のことを今更…」って思いますよね。
(私がこれ読んでたら絶対に思います)

でも、「他社の取り組みを鵜呑みにしてそのまま自社でやらず、自社流に変化させている」「他社が注力していることでも自社では捨てられている」って胸を張って言えますか?

1年ぐらい前の私はこれができていませんでした。
頭ではわかっていたはずなのですが、「イケてるカスタマーサクセスと言えばヘルススコアだよね」だったり「カスタマーサクセスっぽいことやりたい」という非常にダサい引力に完全にのまれて、ヘルススコアの定義をいろいろ試すものの全くいい感じのアウトプットが出てこないという日々を3ヶ月ほど送りました。
しかし、ある日ふと疑問が生まれました。
「これって今のhacomonoに本当に重要なのか…?」
チャーンの事前検知のためにヘルススコアを導入したのですが、hacomonoはプロダクト特性上、チャーンレートが非常に低いです。
なので、ヘルススコアをゴリゴリにつくりこんでもそれによって得られる効果(チャーンレート低下という観点で)が非常に少ないです。
それに気づいた瞬間、ヘルススコアのつくりこみをやめました。
(もっと大事なことがあったので)

これは「ヘルススコアは重要じゃない」ということを言っているわけでは決してありません。
ヘルススコアが重要になるかどうかはプロダクトや事業のフェーズという文脈に大きく依存し、「hacomonoにおいて」「立ち上げ期では」重要じゃなかったというだけのことです。

最近カスタマーサクセスのイベントに登壇させていただいた際に「立ち上げ期にやっておいてよかったことは?」という質問に対して「CS Opsを早めにつくったこと」と回答したのですが、これも企業によると思います。
「CS Ops」という言葉が最近わりと流行っているので「やっぱりOps大事だ!うちもつくろう!」となってしまいがちですが、一度立ち止まって本当に「今の」「自分たち」にとってOpsが必要かを考える必要があると思います(イベントでここまで説明できなかったのが申し訳ないです)

あともう一点誤解していただきくないのが「他社の取り組みを聞くな」と言っているわけではないということです。
イベントでご一緒させていただいた、ログラスでカスタマーサクセスの立ち上げを行っている矢納さんもおっしゃていましたが、全てを我流でやろうとするのは危険です。
車輪の再発明どころか、時間をかけて使い物にならないものを生み出してしまうリスクがあります。
既に先を走っている方がいるのであればその方に話を聞きましょう。
そして、その方がその取り組みを行った背景等の前提条件を把握しながら自社流に変化させていきましょう。
(私も採用計画を立てる際、カスタマーサクセスマネージャーのヘッドカウントの考え方をASSFのたつやさんに教えていただき大変参考になりました)

組織のフェーズにあわせて組織の運営方法を変化させる

ここまでは「他社と自社とでは違うよね」という話をしてきましたが、違うのは「他社と比べた際」だけではありません。
自分のチームにしても、立ち上げ1ヶ月目と6ヶ月目、組織が4人の時と15人の時とでは別の組織です。
なので、自分たちの組織が今どういうフェーズにいるかを把握して組織の運営方法を変えていくことが重要です。

組織の立ち上げをする中で失敗はいろいろしてきましたが、その中でもこの点を意識できていなかったのは自分の中では結構手痛い失敗だったと猛省しています…。

具体的に言うと、私はPDCAの回し方で失敗しました。
チーム立ち上げ時は目標が定性的で多少ふわっとしていても私含めて4人だったということもあり、コミュニケーションを密にとれていたのでお互いの認識が大きくズレることはありませんでした。
何が成功で何が成功でないかの認識があっているので、施策の効果検証をする際も特段問題はありませんでした。

私の失敗はこのやり方を、チームが9人になった時も継続してしまったことです。

9人にもなると4人の時と比べて密にコミュニケーションを取り合うということはどうしても難しくなります。
にもかかわらず目標は相変わらずふわっとしていたので、各自の成功の定義が異なるがために施策の効果検証をうまく行えないということが起きました。
これに気づくまでに私はかなり時間を使ってしまい、その間は「なんか前よりうまくいかないな…」というモヤモヤがずっと続くような感じでした。「人数が増えたら認識もばらつきやすくなるから目標は明確(定量的)にする」
言葉にすると当たり前ですが、チームの人数が徐々に増えていったため、チームのフェーズが変わっていることに気づけず、対応が遅れてしまいました。

立ち上げ期のチームは組織の状況が絶えず変化していくため、組織運営スタイルもそれにあわせて変化させていくことが本当に大事だなと感じています。

組織の運営方法を変化させる中で自分の役割も変化させる

組織の責任者として「組織の成果を最大化する」というのは重要な役割の一つです。
私の場合、立ち上げから3-4ヶ月目ぐらいまではプレイングマネージャーとして自分がガッツリ顧客対応をするということが組織の成果を最大化するうえで重要でした。
顧客のこと、hacomonoというプロダクトのことを知らないと戦略は考えられず、それを知るには自分で顧客対応することが最適な方法だったからです。

ただ、みなさんももうお気づきかと思いますが、この「プレイングマネージャーをやる」という判断をずるずると引きずり、失敗しました。

5ヶ月目ぐらいからはチームのボトルネック除去や組織づくり(主に採用)に注力することが重要と考えたので自分で担当する案件を減らしたのですが、何社かは担当していて、わりとそれがマネージャーとしての業務を圧迫していました。

かつ、私の場合さらによくないのが顧客対応を0にできない要因が「他者から自分がどう見えるか」を過度に気にしてしまったことです。
「メンバーのみなさんが顧客対応を頑張っている中で自分が担当をもたないのは申し訳ないし、不満をもたれてしまうかも…」的な感情です。

少し話が逸れてしまうのですが、「プレイングマネージャーは素晴らしい」的な風潮というか空気感ってありませんか…?
個人的にはプレイングをすることで組織の成果を最大化できるのであればいいと思うのですが、どんな状況においてもプレイングマネージャーが素晴らしいということはないと思っています。
例えとして適切かはわりかませんが、サッカーチームにおいて経営者も選手も、監督に対して「あんたが点決めてくれよ」なんて思わないですよね?
逆に、監督が点決めるためにトレーニングとかし始めたらみんな止めると思うんですよ、「いやいや、あんたの役割はそれじゃない」って。
なのに、一般企業になるとわりとこういうことが起きていたり、プレイングマネージャーが過度に美化されていることに個人的には違和感を感じたりしています。

で、話を戻すのですが、私は「組織のフェーズが変わっていることに気づくのが遅れた」に加えて、「プレイングマネージャー幻想にとらわれた」ということもあって自分の役割を変化させることに失敗しました。
みなさんは同じ過ちを犯さないよう、まずは自分の組織が今どういうフェーズかを定期的に考える機会を設けることを強くおすすめします。
(自分の時間の使い方は自分が決めるべきです)

どんな組織でも立ち上げ期において重要なこと

ここまでの内容をまとめると「いつでも・どこでも正解なんてものは存在しないから、自分で考えながら変化していく・させていくことが大事」というものになるのですが、どんな組織でも立ち上げ期において共通して言えることもあると思います。

それは「採用活動は重要だけど地道でハード。だからこそ自分で責任をもってやるべき」ということです。

組織の立ち上げから人員が十分にいるということはあまりないと思います。
そして、立ち上げたばかりの組織は社内的に知名度がなかったり、うまくいくかわからないので敬遠されがちだったりします。
また、これを読んでいる方の多くはスタートアップで働いていることを勝手に想定しているのですが、スタートアップは一部の有名どころ以外は知名度なんてものは全くないので仲間を集めることが圧倒的に難しいです。

そして、残念ながら採用活動において魔法は存在しません(事業活動全般がそうですが)

でも、だからと言って諦める、HRチームに丸投げするというのは何の解決策にもなりません。
組織をつくることは組織の責任者の重要な職務ということを頭に叩き込んで、やれることは全部やりましょう(完全な精神論)
Wantedly・ビズリーチ・LinkedIn・YOUTRUSTでのスカウト、meetyでの面談募集、SNSでの発信、リファラル等、やれることは多いです。特にスカウトは絶対にやるべきです。
立ち上げ時はやることが多くてめちゃくちゃ忙しいですが、それでも踏ん張ってスカウトを送り続けましょう(私は毎日5通というまぁまぁ重いノルマを自分に課していますが、1週間送り続けると、まだ5通送ってない時にすごい罪悪感が生まれるようになりました笑)
ちなみに、弊社のカスタマーサクセスチームも、私の入社後に入社した方・入社が決定している方、合計11人中7人はスカウト経由です!
(スカウト含めた採用活動のTipsはこちらの記事に記載しているので是非ご覧ください!)

最後に

後半で急な精神論になってしまいましたが、採用活動は本当に重要なのでご容赦ください…。

最後に、立ち上げとか関係なく、組織の責任者としての職務を遂行していく中で私が参考にしている書籍があるので紹介させていただきます。
よかったらお読みになってください。

「ドラッカー・スクールで学んだ本当のマネジメント」はマネジメント全般、P&Gの本は自社流の戦略を考える際に非常に役立ちます(P&G本は絶版で中古本が1万円前後で流通していますが、1万円の価値はあります)

本当に最後に

もはやお約束ですが、hacomonoはカスタマーサクセスに限らず、様々なポジションで採用を強化しています!
どのチームもまだまだ絶賛立ち上げ中なので、この記事に書いたようなことを踏まえながらチャレンジできると思います。
ご興味ある方は以下の採用ページ、wantedly、meety、twitterのDMなんでもいいのでご連絡ください!!

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