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深夜書店考察、六夜。たとえるなら関ヶ原の戦い、「真 深夜書店」。

 地球上の肉体生命に憑依(ひょうい)し、現実社会と憑依半身世界での脅威的な知性を駆使して諸勢力が権謀術数(けんぼうじゅっすう)の限りを尽くす。「真 深夜書店」の世界、。
 
 敗北、こそで後に光彩を放つ、。
 
 そんな中だからこそ、‶友情、〟の何たるかが煌めく場面だってある。
 そこかしこで、あたりまえにあふれている、そんなことばで、あらわしたくないくらいに、。

 簡単には見えない、視(み)えにくい【憑依半身世界】で大掛かりな大戦があった。権勢を誇っていた勢力の衰退によって、虎視眈々(こしたんたん)と権力奪取を狙っていた者と衰退勢力への恩義を主張し、立ち上がる者との争いが様々な諸勢力を巻き込んで激化していった。
 その勝敗の岐路(きろ)が、、。
 
 そそ、構図としては、たとえるなら関ヶ原の戦い、だ。
 
 「大一大万大吉」(だいいちだいまんだいきち)

 意味合いとしては「一人は万人のため、万人は一人のために行動すれば、人々は幸福(吉)に成れる」とされている…。
 
 権力をおのれに集中させたいがためにと、人望を得るべくにあくせくとする狸(たぬき)おやじに対して、清らかさにこだわりすぎる頑固な者が在った。
 水の清濁(せいだく)にこだわる、深夜書店物語での、【水身、】憑依半身そのものだ。
 人望、のためにと、おのれの信義を曲げずにつらぬいた生き方も、。「深夜書店考察、三夜。」でも述べた登場人物のことだ。
 そんな「正義、か不義か。」とこだわり続けた者の壮絶な活躍と‶敗北〟があったのは、この国の戦国時代の史実でも「真 深夜書店」の世界でも、よく似ている物語の流れでだ。
 ただ、その人物が本来は守護したかった勢力については狸(たぬき)おやじ勢力に滅ぼされることなく、やがては【太陽、の王国】が建国される。そこらの展開は、関ヶ原の戦い、と少し違うことなのかもしれない。
 詳しくは「真 深夜書店」シリーズ本編で是非ともご堪能下さい。

【これより、抜粋場面】
 ‶『だまされたら損であるとか、考えたらキリがない、他者、を疑い続けたら同じ考えの者ばかりが集まることになる。他者を疑えば、結局は、他者から疑われ続けるだけの話や、他者への疑惑を戒めて感謝したら、やがては感謝を誰かは、してくれるかもしれへん、、、』
 そう語るのは肉体からの憑依(ひょうい)半身を隠すことなく映えさせる幼馴染みだ。その【獣身、】の姿は視(み)るも無残だった。過酷(かこく)な宿縁のなかで戦闘を繰り返してきた、ズタズタでボロボロな姿だ。だが、孤高の精神が、その醜怪(しゅうかい)さを一切感じさせはしない。誰あろう、潔癖すぎて他者を寄せつけず、疑ってばかりだと評されるこの自分にとっても、確かなことに、。
 『もちろん時間差はあるけど・・・』と、幼馴染は遠い眼差しを中空に向けて、その言を続けた。
 『相手の態度は日頃の自分の‶鏡〟に映した姿と考えらてみたらどうかな、』。
 
これまで 他者から誤解されることも、他者を疑うことも戒めたことはなく活動してきた。この自分に対して、もし、おのれを信じて欲しいと願うなら、たくましい心で相手を信じることであると、それをはじめていくことが勝機につながると諭しているつもりなのだろう。
つまりは、戦略上は不服ではあるが味方陣営に入ってくれるということだ。
 その上で諭してくるのだ。このように、考えるしか出来ない自分もまたこの者の幼馴染で在ることに気づくのを知ってか、知らずか、。
肉体からの半身をあえて映えさせて、この者はいつになく饒舌(じょうぜつ)に話す、この者は憑依半身は元々は【水身、】だった。それが、この者が出逢った面影との宿縁で、【獣身、】へと変貌させたのだ。何かにつけてその面影にこだわる「殺し屋、」が伝えることは重く受け止めよ、と。そして、決断せよ、と。
 
 この世界が貧困や格差の現実を直視し、そこから学び、支え合うといったこと、まともな社会づくりに失敗してきたという重い事実がある。

 すべてを信じるか、さもなければすべてを否定するか、。

 8000、箇条書きにも至る確かな想いだ。

 自分ひとりが幸福になるということは、恥ずべきことかもしれない。犠牲を選択するか、幸福を選択するか、誰々を見殺しにした幸福はもはや幸福ではありえないのだ。

 合戦で敗退し、悪性評価の一辺倒になろうとも、。世に放つべくの、信義がある。
 
 『正義、か不義か。』
 
 【水身、】憑依半身がその肉体から、美しく成している。美しく成る、形態、。
 眼前に在る、そして佇まいは孤高の精神がこそで、醜怪さを一切感じさせてはいない【獣身、】の姿をも清らかにその水面へと映していた。

 老獪(ろうかい)な勢力へと挑む彼らの争乱の地からは距離を置きながらも、そんな会談がなされていたとの報告を刻おかずに受けている姿も在る。すらりとした長身男性だ。背中から眩(まばゆ)い光彩を視(み)える者には、惜しげもなく魅(み)せている、その憑依半身は、光につつまれた姿形をしている。【陽身、】だ。肉体にもその影響はあらわれていた。
 ゆっくりと、呟く声はまだ若さを残し、凛々しかった。
 
 『・・・深夜、、』 
 
 【以上、抜粋場面】〟

 関ヶ原にまつわる話では、不義で老獪(ろうかい)ではあるが声望と時流に乗る大きな勢力者へと、護(まも)るべき者から距離をおいてまでに挑む者の陣営に、かつての友誼こそで馳せ参じた人物のことが美しい逸話として残る。
 ‶石田光成、大谷吉継〟の関ヶ原の逸話についてはググるなりして知ってもらえたらとも思う。
 ここでは、あえてくどくど語らないことにする。
 それに匹敵(ひってき)するだけの場面が「真 深夜書店」の世界で輝いているからだ、。

 地球上の肉体生命に憑依(ひょうい)し、現実社会と憑依半身世界での脅威的な知性を駆使して諸勢力が権謀術数(けんぼうじゅっすう)の限りを尽くす。「真 深夜書店」の世界、。
 
 敗北、こそで後に光彩を放つ、。
 
 そんな中だからこそ、‶友情、〟の何たるかが煌めく場面だってある。
 そこかしこで、あたりまえにあふれている、そんなことばで、あらわしたくないくらいに、。

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