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予備知識なしでも楽しい!竹内涼真さんの初ミュージカル「17 AGAIN」

島田薫です。

先週末、“初めてづくし”の舞台「17 AGAIN」が幕を開けました。アメリカで大ヒットを記録したザック・エフロンさん主演のコメディー映画をミュージカル化したもので、日本での上演が世界初演となる注目作です。

主演は竹内涼真さん。初舞台、初ミュージカルに加え、歌もダンスも、ストーリーの要になるバスケットボールさえも、これが初めてだそうです。

竹内さんが演じるのは17歳と35歳の2役。高校のバスケットボールチームのスター選手だった17歳では、恋人のスカーレットが妊娠したためすべてを捨てて一緒になる道を選びます。ところが、35歳で結婚生活は破綻し、仕事も家庭もうまくいきません。ある日、不思議な現象で17歳に戻り、子供と同じ高校に通うことになって…という物語です。


「陸王」や「テセウスの船」など、ドラマをメインに活躍している竹内さんが舞台では一体、どう見せてくるのか!?まず、冒頭のシーンに圧倒されました!

バスケットの試合でドリブル、シュート、ディフェンスをはじめ、身体能力の高さを存分に発揮。さすがサッカーの東京ヴェルディ・元ユースです。役作りのために作り上げた体とともに、全身で向かってくる勢いのある芝居からも、作品への覚悟が十分に伝わってきました。


竹内さんの熱い演技がかなりエネルギー全開なのですが、反対に妻役のソニンさんが、とても押さえた演技で夫婦のバランスが取れています。ソニンさんは1年中舞台に立っているような人なので、その経験を活かして、初舞台の竹内さんに喉のケア方法や稽古への取り組み方など、いろいろアドバイスしていたとか。

作品とは別に、そういったカンパニーのいい空気感みたいなものも感じられましたが、実際、演出家もキャストもしっかりコミュニケーションが取れて、和やかな稽古場だったと聞きます。


また、竹内さんの親友役を演じるエハラマサヒロさんも、スパイスをピリリと効かせています。お笑いの人は演技がうまいし、振り切れているし、エハラさん自身、これまでにミュージカルには何本も出演。歌もうまいんです。


予備知識なしで行って十分に楽しめますし、観てよかったと思える作品です。スタッフ・キャストのコミュニケーションの成果もあると思いますが、竹内さんが初舞台にしてここまで成功できたのは、きっと、相手をよく見ているからではないでしょうか。

これだけ初めてのことだらけだと、どうしても自分に集中しがちですが、そこはサッカーというチームプレーを経験してきたことも大きいのだと思います。舞台上を軽いフットワークで動き、心理的に細かいやりとりが多い中で相手の言葉や行動をよく受け止めている、そんなふうに感じました。


アメリカンな雰囲気満点の舞台なので、こんな時期でなければ観客側も声を出して全身で楽しめたのに…と残念な気持ちもありますが、初物づくしに加え、苦労づくしでもあった今回の経験が、きっとこの先、竹内さんの支えになってくれるように思います。

※6月6日まで東京建物Brillia HALLで上演。その後地方公演あり

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