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love letter from K. Season8-3「気分はトリ🐓ス的」

夏の終わりって少し寂しげだよね〜。と感傷に浸るも、それが半月も続けば、いい加減早く終わって欲しい今年の夏。こういう時は、気持ちだけでも秋に移行しましょう、そうしましょう。

世の中には、「どこでそんな情報仕入れてくるの?」という位物知りな人がいます。あなたの周りにも1人位いるんじゃないでしょうか。僕にとっては、KOZLIFEの小柴シェフがまさにそういう人。どうやったら、こんなお店知るんですか!?という位飲食店に詳しくて。今回は2023年ベスト3には入るであろう、お店のお話。行くぞ、食欲の秋、焼鳥の秋。

ジグボーンクラブ

東京、恵比寿駅から歩いて16分、白金高輪から歩いて15分、広尾から歩いても15分という、なかなかのアクセスを誇る、麺と焼鳥のお店「鳥さわ ジグボーンクラブ」。後々調べてみた所、どうやら都内屈指の予約困難な有名店「鳥さわ」が手がける新業態ということが判明。まぁ、訪れた衝撃度からすれば、そんな情報はそこまで関係ありません。むしろ、そんな背景を微塵も感じさせない佇まいに来店早々、度肝を抜かされることに。

訪れた瞬間は、DIY感のある内装に、お洒落で若い客層が相まって、良い雰囲気を醸し出しています。ここはどうやらカウンターに行って注文をするスタイル。メニューは全部手書きかぁ。あれはなんだ?・・OSHINKO→おしんこか。なぜに、ここだけ矢沢風(笑)。なんか一癖どころではいかなさそう。とりあえず、これも頼んでおこう。

ざっと最初の注文を済ませ、席で待っていると、目に飛び込んで来る違和感の数々。机の上にはブラックペッパーが何本も。壁には穴空いてるし、なぜか天井に梁がある、そして無数の落書き。“ラーメンではありません”・・・って何?

どうやらお酒も一部はセルフサービスのようで、皆さん冷蔵庫からハイリキを運んで、美味しそうに飲んでいます。が・・・冷蔵庫の下段をみるとボトルのワイン達がずらり。どれどれ、と値段を拝見するとほとんどがオーバー1万円。なんだこの店、めっちゃ面白い!

はじめは

ほどなくして焼物とビールが運ばれてきます。ちょっと気になっていたカタに、やっぱり最初は皮。焼鳥といえば、串に細く長く刺さっているのを想像しますが、ここのは串の上半分にまとまって刺さっています。これは食べやすくて良さそう。ほら、焼鳥って後半割と食べにくかったりするじゃないですか。(あれも醍醐味ですが)

カタは、別名「ふりそで」と呼ばれる稀少部位のよう。アツアツの内にそのままいただきます。なんだこれ、食感が絶妙すぎる…。もも肉よりも脂肪が少なくあっさりとしていて、胸肉よりもパサつきがなくてジューシー。そしてこの焼き加減、1本目にして、すでに最強肉発見ではないですか!というレベルに美味しい。泣きそうになりながら頬張ります。

皮は、全く脂っこくなくパリッと焼かれていて噛みしめるとジューシーな鶏油が口の中に広がります。と間髪入れずそこでビール!多分焼鳥って、この瞬間のためにあるようなものだと思わせるくらい、至高。

丁度食べ終わるか位のタイミングで、白玉(うずら)とせせりが到着。僕は、焼鳥屋に行った時は必ずうずらを頼むと決めています。それはうずらでそのお店が美味しいかわかる(ような気がする)から。最初のカタで既に最強とか言ってしまっているので、控えめにコメントしないといけないのはわかっているのですが、これを食べた瞬間「なーーーーーー!!!」と良く分からない声を発してしまったのは今でも覚えています(恥)。中はとろーりなうずらの卵は今まで食べてきたつもり。でも、これは違って、中の白身も半熟なんです。食べるとプチッと弾けて、トロトロ黄身が中から出てくる、噛む隙もなく、消えてなくなる。これは例えようのない新食感。でいて、濃厚なうずらの卵の味。人生史上一番美味しい、うずら串。なんじゃこれ…。小柴さんも「んーーーー!!!」って唸っていました。

セセリはレモンを搾って。レモン多くないか?なんて思いながらも、ギュっと1本にかけて食べてみれば、まぁ爽やか。レモンをかけたらゼロカロリー!まだまだいけそうです。


厚揚げは、串に刺さないスタイル。たっぷりカイワレが最高。


プチッと濃厚な卵が味わえる、ちょうちんを。


OSHINKO。ズッキーニの浅漬けだそう。ズッキーニって生で食べられるんですね。爽やかテイストで美味。

トリス

「今日はこのために来てますから!」そう小柴さんが指を刺す先にはトリスヌードルのメニュー。素トリスから豆腐、パクチー、チーズまであります。2つくらい頼んでシェアしましょ、ということで素とパクチーのトリスヌードルをオーダー。そのついでに「あの〜、トリスってどういう意味なんですか?」と店主さんに聞いてみると「鶏スープの略です。」と笑いながら答えてくれました。鶏スープからのトリス…。

浅めの器に、レモンが半分添えられています。一口飲んでみれば、コラーゲンたっぷりの鶏の旨味が直球で押し寄せる。濃厚そうに見えて、すっきりした後味。塩分が控えめなせいもあって、本当に素材だけしか使っていないんだろうという事がわかります。麺はスープとよく絡む素麺を使っているそう。パクチーの方は、一口食べれば、味覚の東南アジアに直行便の風格。
壁の落書きにもある通り、ブラックペッパーを沢山いれたり、レモンを搾って味変を楽しんでいる内に完食です。

鶏、素敵

久々にカウンターパンチを喰らわされたようなお店に出会いました。ここは、かなりコンセプチュアル。こだわる所に全てのパワーを注ぎ、あとはありのままで。お客さんからすれば、このコントラストがある方が、ヘタにオシャレなだけのお店より記憶に残りますし、この力の抜き加減が、今っぽい感覚だなぁと。この記事を書いている最中も、次いつ行こうかな〜なんて再訪を心に決めているのでした。教えてくれた小柴さんに感謝です。ジグボーンクラブ、また行きましょ。

つづく

スタッフコメント
「こだわる所に全てのパワーを注ぎ、あとはありのまま。ヘタにオシャレなだけのお店より記憶に残る」……その通りだと思いました。料理に全力で、内装など他のところはいい意味で適当(笑)。美味しいものを食べに来たんだから、美味しかった記憶で満たしたい!納得のお話でした。(たしかにラーメンではなかったのも納得)

焼き鳥や麺におすすめの食器


和田 健司
オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。(インスタグラム:@k_enjiwada

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