「アフリカの夜」㉚吸引力半端ない衝撃シーンⅡ

㉙の後半です。

第五話ではみづほの逃亡シーンがある。

第三話の逃亡よりも、みづほの気持ちにフォーカスした作りになっている。江古田の町を離れる、メゾンアフリカから離れる、お父ちゃんから離れる悲しみ。

第三話の逃亡はアパートの三階から飛び降りて衝撃的だったけど、五話には衝撃はない。そう考えると、同じ逃亡でもフェイクの時の方が意図的に衝撃的。

第六話の衝撃シーン
火野史郎が留置所から逃亡したため、警護してもらっている八重子。礼太郎とキスするために刑事を巻く。

○階段下の空き地(夜)
都会の迷宮。
息せき切らせる八重子と礼太郎。
階段の上を刑事が八重子を探しながら通り過ぎていく。
礼太郎「(息を切らせている)……」
八重子「(息を切らせている)……」
礼太郎「(八重子にキス)……」
八重子「(目を見開き)……!!」
目を閉じ、キスする八重子と礼太郎。
礼太郎、八重子から唇を離す。
礼太郎も八重子も、まだ息を切らせている。

大石静「アフリカの夜」第6話より

警護してくれている刑事を巻くことも衝撃。しかも、キスするために。ドキドキするシーン。


第7話は、破れかぶれになった史郎の人質シーン。ここは逮捕まで、目が離せない。

○あけぼの塾・大教室・中
教壇に立つ八重子。
八重子「そこでカンダタは大きな声を出して、コラ罪人ども、この蜘蛛の糸は」
ドアが開く音。
八重子「(ドアを見上げ)俺のもの……」
ドアに立っているのは史郎。
史郎「……」
八重子「……!!!」
中学生達が後ろを振り返る。
史郎「……」
八重子「……!!」
史郎、バラを手に八重子に向かって歩く。
史郎「八重子の好きな黄色いバラだよ

大石静「アフリカの夜」第7話より

この一言で史郎のヤバさが分かる。

その後も、人質をとりながら、新婚旅行に行こうだとか、俺はエリートだとか、イッちゃってる発言をして。極めつけが…

史郎、警官達に連行されながら。
史郎「健やかなる時も病めるときも、これを愛しこれを敬いこれを助けこれを慰め、その命を賭けて」
八重子「……」
史郎「固くその節操を守ることを誓うか?誓います

大石静「アフリカの夜」第7話より

史郎、教会の神父と新郎の一人二役。このシーンは、アフリカの夜の衝撃ベスト3に入る。


そして、同じく衝撃ベスト3に入るのは。
第9話のみづほが八重子の首を絞めるシーン

みづほ「だからさ、アタシ、今捕まってよ、裁判かけられて、それで警察入れられたらさ、それでもう終わっちゃうのよ、アタシの人生。ねえそう思うでしょ、杉立?」
八重子「……でも……前に言ってくれたじゃないですか?いつでも、どんな人でもやり直すことができるって。罪を償ってから、やり直すことも、できるんじゃないですか!」
みづほ「(八重子の首を絞める)ううう……!」
八重子「チョッ……!!!」
みづほ「アンタに何が分かるってのよ!
八重子「ヤメ……!!!」
みづほ「(手を離す)……!」
八重子「(崩れ落ちる)……!」

大石静「アフリカの夜」第9話より

この話は、以前詳しく書いた。とても長いシーンである。


第10話になると、みづほが急にやさぐれて亀田伸枝みたいになる。

○カラオケパブ・店内(夜)
みづほ、『どうにもとまらない』を熱唱している。
八重子、入り口から険しい表情で入ってくる。
みづほ「(八重子を見る)……うぅ~~八重子~~~」
と、八重子をステージに無理矢理上げる。
席の佐々木と良吉。
佐々木「八重子さーん!」
良吉「……!」
佐々木「八重子さーん、歌ってー歌って!」
八重子、みづほを部屋の陰へ押し出す。
×      ×      ×
良吉「……」
×      ×      ×
八重子「自首してください。捕まる前に。お願い
みづほ、八重子の頬を叩く。
八重子「ハーッ!」
   ×      ×      ×
良吉「……!」
勢いで倒れる八重子。

大石静「アフリカの夜」第10話より

佐々木は交番の巡査。その佐々木の前で、そんなこと言う八重子も八重子だと思う。ちょっと待てば叩かれることもなかったろうに。思い立ったらすぐ行動の八重子なのだ。

八重子を叩いた直後に、何食わぬ顔で「どうにも止まらない」を歌い出す。これまた衝撃。

第10話の指紋不一致の場面はじらされてドキドキする。

○警視庁・科捜研・中(夜)
捜査員が指紋を照合している。
パソコン画面、亀田伸枝を丸山みづほ二つの指紋がだんだん近付いて……

大石静「アフリカの夜」第10話より

カラオケパブで、みづほを怪しんでる小島から指紋付のグラスをとられ警察で鑑定される。このシーンのあとオープニングの歌が入る。その後も、メゾンアフリカで心配する八重子や礼太郎達のシーンがしばらく入って。

○警視庁・課長室・中(夜)
電話のベルが鳴る。
課長が受話器を取る。
課長「はい、私だが……なぁに!?」

○メゾン・アフリカ・礼太郎の部屋・中(夜)
礼太郎と緑、本を読んで待っている。
緑「逮捕って朝方が多いんでしょ?」
礼太郎「まあな……」
緑「(窓へ向かいながら)もう連れて行かれちゃったのかな……」
と、カーテンから外をのぞく。
礼太郎「それにしちゃ静かだ。まだだろう」
緑「(礼太郎に体をよせ)何のための十五年だったのかしら?」

○同・八重子の部屋・LDKB・中(夜明け)
一人座っている八重子。
カーテンの隙間から朝日が差し込む。

○警視庁・科捜研・中
パソコン画面、丸山みづほと亀田伸枝の指紋が重なり『不一致』。

大石静「アフリカの夜」第10話より

いい塩梅で「不一致」の場面がくるなぁと思う。ドキドキが持続する。
この八重子の夜明けのシーンは、一人椅子に座ってその時を待つ八重子に朝日が差し込んで、とても絵になる場面。

やっぱり10話11話は衝撃シーンが多そうだなぁ。次も続く。

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