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藤富保男『一人の人間のなかの孤独は』 感想

https://www.books.or.jp/book-details/9784783707561

引用も何もせずでの、前半1/4部分の感想。

おもしろ過ぎる。

言葉の切れ目や改行の妙。 

言葉を本来ならざるもの部位で切ること、それは、現実世界がうまくいかないことを表している(多分)。

仕事でキリの良いところなんて到底こないし、皿洗いだって掃除ですらも子供に中断される。

ましてや、1作業あたりの中断は1度とかは限らない。睡眠もそう。

世の中だって二分できないし、善悪にも分かりやすい勧善懲悪なんてない。

すべてが段階的変化の中にある。

蜂の巣のように101号室102号室103号室...のような分かりやすい領域区分なんてできないし、できっこない。 

詩中の、ぼくのなかの一人がそれをまた越える、のくだりは、今年来た秋は去年の秋とは別のもの、でおなじみの石垣りんさんの詩とも通じる。

意味がわからないと読むのを止めるにはもったいなさすぎる。
これは創造的余白を残す詩。


藤富保男さんの詩、というより詩という媒体それ自体の面白さとの出会いはこちらの本。

最後まで読めば、詩の意味合いや位置づけについての一つの解釈がインストールできる。はず。

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