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モンテッソーリ教育における「敏感期」とは?

モンテッソーリ教育の話になるとよく耳にするのが「敏感期」という言葉です。なんとなくわかったような気になっていたのですが、いざ説明となるとこれがなかなか難しい…今回、私が授業や本を通して得た知識とともに、まとめに挑戦です!

「敏感期」とは?
子どもは0歳から6歳までの間に膨大な情報を収集し無力な状態から人間になることを学んでいきます。「敏感期」はある特定のものに敏感になる状態のことで、赤ちゃんが人間として成長するのを助けてくれます。周囲の大人がこの敏感期に気がつくことができ、その時期にふさわしい環境や、反応を示すことで子どもの潜在的な力が発揮されます。世界中の子どもたちを観察したDr. モンテッソーリはこの敏感期が人種や文化を問わずほぼ同じような年齢で見られることを発見しました。

では、人間の特徴とは何でしょうか。
言葉を使ったコミュニケーション、2足歩行、論理的な思考、社会の形成などが考えられます。

これら人間的能力を獲得するために訪れる敏感期には下記のようなものがあります。

■言語の敏感期
■運動の敏感期
■感覚の敏感期
■小さな物体への敏感期
■社会的行動への敏感期
■秩序の敏感期

※Dr.モンテッソーリが明確に見つけたものになりますが、この他にも様々な敏感期があるようです。

ではそれぞれ見ていきましょう。

■言語の敏感期
時期:0~6歳頃(4つの成長段階の第一期全体で見られる)
子どもはすべての音の中から人間の声を区別し、音、単語、文法などを吸収していきます。話しかけることはもちろん、絵本や歌などを通してたくさんの言葉のシャワーを浴びせることがおすすすめです。

■運動の敏感期
時期:1歳半~4歳頃
脳からの指令と体の動きを一致させる調整が行われ、二本足で歩き、手が使えるようになります。子どもは大人から見ると無意味に見えるような作業をひたすら繰り返します(戸棚のドアを開けたり閉めたりなど)。一見無意味なことを続けることで、体内の調整が行われていきます。これらの動きが妨げられると子どもはストレスを感じます。

■感覚の敏感期
時期:0歳~5歳頃
大人は自らの経験や知識を通して世界を理解することができますが、子どもは感覚のみを通して理解します。この時期にある分野の感覚が研ぎ澄まされると、大きくなった時、より鋭い感覚をもつことができます。音楽などはその例で、小さい頃から音楽に親しんだ人は音の微妙な違いなどに気がつくことができます。(残念ながら、私はできません。。。)この時期の子どもは微妙な色の差も見分けることができます。

■小さな物体への敏感期
時期:1歳~2歳頃(敏感期の中で最も短い)
1歳半でピークを迎えます。大人が気がつかないような小さなシミや虫といったものに目が行く時期です。大きくなった時、人の表情や言語の微妙な違いに気がつくといった鋭い洞察力につながるだけでなく、自然に感謝する心を育むことにもつながります。

■社会的行動への敏感期
時期:2歳半~6歳
子どもは周囲の人たちがどのように行動するのかということに高い関心を示します(特に家族をよく観察します)。自分が属する社会の一員となるため他者とかかわる経験が大切になってきます。人とのかかわりの中でどのように振舞うべきかを学んでいきますので、大人は子どもたちにお手本を示す必要があります。

■秩序の敏感期
時期:1~3歳頃
2歳頃、ピークを迎えます。俗に言うイヤイヤ期です。
秩序の敏感期において子どもなりの秩序が乱されると子どもは不機嫌になったり癇癪を起こします。大人は過去の知識や経験を使うことができますが、子どもにはそれがありません。周囲の環境を理解できない状況の中で、自分の居場所を見つけるためにある種の秩序を求めます。同じ場所に同じものがあるようにしたり、いつも同じ手順で作業したり、日課を作ったりなど大人が環境を整えることで、子どもの心が落ち着きます。環境などの外的な秩序が保たれることで、心理的秩序も保たれます。秩序の敏感期は心の形成において基礎となる重要な時期となります。

Dr. モンテッソーリは"The Secret of Childhood"の中で

母親が暑いのでジャケットを脱いだために、赤ちゃんが大泣きした(ジャケットを着ていることが秩序)
来客が部屋の机に傘を置いたために大泣きした(机には何も置かれていないことが秩序)

といった例を挙げています。いずれも初め大人たちはなぜ赤ちゃんが泣くのかわからず、抱っこしてあやしたり、傘が欲しいのかと思って渡してみたりと、奮闘しますが、全く収まらず、最終的にジャケットを着る、傘を机から取るといったことで子どもが泣き止みました。

このように、子どもにとっての秩序は大人にはわからないものばかりです。その原因を突き止めるのは時間的にも精神的にもかなり大変ですよね。個人的な意見になりますが、「何か理由がある」ということを知っているだけでも大人の気持ちは少し楽になるのではないでしょうか。

敏感期の特徴まとめ
敏感期には特定のものに強い関心を示したり、繰り返しの行動が見られます。敏感期は一時的なものであり、緩やかに始まり、ピークを迎えたのち、徐々に消えていきます。一つの敏感期が単独で起こるのではなく、いくつかの敏感期が同時に起こり、ピーク期も重なります。子どもは驚くほどの集中力を見せ、作業に熱中しそれをやり続けます。長時間集中しても疲れはなく、むしろ完了後は穏やかな精神状態となります。

無力な状態で生まれてくる人間の赤ちゃんですが、敏感期にうまく環境を用意してあげることができれば、子どもの心は落ち着き、たくさんのことができるようになります。敏感期はまさに自然からの贈り物です!

各敏感期について図を作成しましたのでご参考まで↓

敏感期目安

子どもって素晴らしいな~と感激したのですが、私の息子はあと数か月で6歳になります。大切な時期を逃してしまったんだな~と、授業中ちょっと落ち込んでしまいました。でもすべての敏感期がなくなってしまうわけではないようです(まだ希望はあります!)。同じように感じられた方がいらっしゃるかもと思ったので補足します。

国際モンテッソーリ協会 アシスタントコース第1週を終えて
なんとか一週間を乗り切りました。最初の課題も提出し、少しだけホッとしています。土曜日の授業はイギリスとアメリカの時差の関係で午前3:30からのスタートでした。朝はどうにか起きられましたが、眠かった~。最近、苦手だったスピーキング力が上がったと勝手に浮かれていましたが、いざディスカッションとなるとやはり難しいです。少なくとも一回は発言するという課題を自分に課しています。うまく表現できないもどかしさはありますが、共通の興味を持つ人と考えや学びをシェアできる喜びに感謝し、引き続き今週もがんばります!

子どもの「4つの発達段階」及び「吸収する心」についてもまとめています。ご興味のある方、お読みいただけたら嬉しいです。


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