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モンテッソーリ教育における自立のサポート法

子どもには自立した人間になってほしいと願う方、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。「自立」というと難しく考えてしまいがちですが、実は人間が自立するのは、とても自然なことらしいのです。

ということで、今回は、モンテッソーリ教育において主軸とも言える重要なポイント「自立」について授業の内容を振り返ります。

子どもの自立
Dr. モンテッソーリは自立は自然の法則であり、自立に向かって自らを突き動かす力が子どもの中に備わっていると考えました。

わかりやすい例が母乳です。初め母乳だけで栄養を摂取していた赤ちゃんが、半年頃から、母乳+離乳食となり、やがて普通のご飯を食べられるようになる。

歩行も自立の一つです。大人に運んでもらわなければどこにも動けなかった状態から、歩いて自ら行きたい方へ進んでいく。まさに自分の足で立つ、自立ですね。

前回「モンテッソーリ式運動の発達の促し方」でも触れました通り、子どもは体を使うことでそれぞれの器官を完成させていきます。この完成を促すためには、自由に動ける環境が大切です。歩行のみならず自らの意思のままに動けることは、まさに自立そのものです。

運動と同様に言語の習得も自立への一歩です。言葉を使って考え、思考を言葉で伝えることができます。自分の言葉で親に意見することもでてきます。

こうして子どもはごく自然に肉体的にも精神的にも大人から少しずつ自立していきます。さらに自立に対する欲求を大人が妨げなければ、子どもの自立はより発達していきます。

自立のサポート法
では、どうすればこの自立をサポートできるのでしょうか。

自分でやりたいという気持ちを尊重することがポイントです。家庭では子どもが自分のことは自分でできるように、子どもが使う物は手が届く高さに置いておきます。例えばキッチンの低い棚に食器やおやつなどを置き子どもが自分で準備できるようにする、低いところに鏡をセットしブラシで自分の髪の毛を整えるなど。他にも、混ぜる、切るなど簡単な作業を手伝ってもらうこともできます。うまくできなくてももちろんOK!タオルやハンカチをたたむ、ほうきやちり取りでのお掃除、お花の水やりなどできることはたくさんあるので探してみてください。

モンテッソーリ教育では小さい頃からガラスのコップを使います。実はこれも自立と関係しています。大人と同じものを使えることで、「あなたを信頼しています」というメッセージにつながるからです。グラスも子どもの手のサイズに合わせて初めは小さいものから少しずつ大きいものにしてあげてください。

そして最も重要なポイントは安全です。例えば、もし何か素材を切るとなった場合には、危険な要素は排除して、しっかりとお手本を見せてからやらせてあげてください。もちろん目を離さずに。息子が通っていた日本のモンテッソーリ幼稚園では、先の尖っていない包丁を使うように言われました。ご家庭でやる場合には、食事用のナイフで簡単に切れるバナナを切るなどでも良いかもしれませんね。とにかく安全第一ということをお忘れなく!

洗濯をしたり、料理をしたり、お花に水をあげたり、こんな何気ない日常の一コマにも子どもの自立をサポートできる秘密が隠れています。自分が生れ落ちた世界で、自分でできることがあるという発見は子どもにとって素晴らしい喜びです。小さな小さな成功体験を何度も繰り返して、子どもは自立していきます。大人から見たらささいなことでも子どもはそれを繰り返すことで、多くを吸収し、やがて能力を開花させます。できるだけ自由に動ける環境づくりを心がけ、できることはどんどんしてもらい、できないことにも挑戦してもらいましょう!そうした状況が「私はあなたを信頼しているよ」というメッセージとして子どもに届くはずです。子どもの能力を侮らずに挑戦させてみたら、意外な発見がたくさんあるかもしれません。

ここだけの話
とここまで読んで、ちょっと面倒くさそうと思った方。わかります!よーくわかります。私はせっかちな性格なので、本当は自分でちゃっちゃとやってしまいたいと思うタイプです。モンテッソーリ教育について知らなければ、「私がやった方が早い」で済ませていたと思いますが、知っていたので我慢しました。例えば洗濯物。息子が2歳の時にたたんだ際は、ぐちゃぐちゃでした。。。(ガマン、ガマン、ここを乗り切れば楽になる)と自分に言い聞かせた結果、5歳になった今では、自分の服をたたんでしまいに行ってくれます。

話は少しそれますが、自立を促すと親も楽では?と思っています。全く褒められることではありませんが、私は自立を促す目的というより、子どもが自分でできるようになってくれたら家事が楽になるな~という、わりと打算的な思いで見守っています。そして洗濯物の例のようにすでに少しだけ楽になったものもあります。モンテッソーリでもなんでもなく、ただの私の意見ですが、真面目に取り組み過ぎると疲れてしまうので、これで自立もサポートできたらお得!なんて少しゆるい気持ちでいるくらいでちょうどいいのかな。と自分に甘い私です。

ご無理のない範囲で、自立のサポート取り入れてみてくださいね。

参考文献
Montessori, Maria. "The Absorbent Mind"

運動の発達については、こちらにまとめています。


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