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君はリテイク地獄を知っているか


”今日は調子がよかったからか、筆が進んで◯◯KBも書けたぞ。
すぐにメールで納品だ!”


……こういうときのシナリオに限って、先方からのリテイクが多くなる(私は社員ライターなので、納品やクライアントといったものではないが)。

「このキャラの言動じゃないもっと落ち着かせて」「シーンごとにテンションの高低が違いすぎておかしい」と指摘内容は様々である。
それらを調整して再提出すればいいのだが、時々調整済みのテキストが、再び同量の指摘を添えられて戻ってくることがある。そしてさらに、その調整のループから抜け出せなくなることも……。

それを私は『リテイク地獄』と呼んでいる……!


何回も練り直したのに通らない企画、何度も調べ直したのに今一つだと教授に突き返されたレポート課題……。誰しも一度や二度は、こんな経験があるかもしれない。シナリオライターも同様のことが起こり得るという話だ。

ダメ出しをされればいつだって多少はへこむだろう、それがクオリティアップのための「調整の要請」の体であっても、見放されたのではなく期待されているからこそ差し戻されたとわかっていても。
だから落ち込むよりもまず、全力で書き直すだけだ。
しかし、そうして出来上がったものすらも受け入れるに至らない、と再々調整を行うことがある。

直してみたら別のところが気になってきた、全体が良くなった分細かい粗が目立ってきた、これならいい。
ただ、リテイク地獄における指摘内容は、なんか変、まだ違和感が強い、など「え? 私ちゃんとチェックしたよな……」というレベルで、往々にして大工事が必要なものだったりする。

登場人物の性格も前作を踏襲しているし、動機や行動軸も一貫性を持たせたはずだが……なぜだ? 先週書いたシナリオは、同じように手直ししてOKが出たのに……。
無自覚な空元気で実際には私の調子が悪かったのか? 調整の方向性を外したか? 慣れないキャラを扱いこなせていないのか? それで迷走を続けているのか? この子の抱き枕カバーがAmaz◯nですぐ在庫切れを起こす程度には人気だから、そのプレッシャーに飲まれたのか?

自分はものすごく出来が悪いのではないかと項垂れるよりも……なんでダメなんだろう、という驚きの方が多くなる。自身の未熟さを再認識し、今までのを無かったものとして0から書き起こそうにも、エンジンを掛けるのに時間がかかってしまう。呆気にとられているから。

で、何度かラリーを続けたのち、なんとかOKが出るのだが……細かい部分は相手方で微調整されていたり。まあね……私は修行中だからね……飽くまでもシナリオの素材を提供したわけだもんね……より良い作品に仕上げるためだしね……。


ちなみに同時に出した別シナリオは、問題なく調整した第2稿で通っていたりするので、本当にわからない。クリエイティブって芸術だしね、と割り切れれば楽になれるのだけれど……最後まで本当にわからないから、このリテイク地獄なるもの、次に落ちるのはいつになるのか、不安に苛まれずにはいられない……!

***

という悶々とした思いでした……。
ちゃんと直してさ、上手くできたものをリリースするので大丈夫ですよ……大丈夫というか私の心配はご無用ということで……はい。
明日からの新規キャラも頑張るぞ……(震)

ありがとうございます、おいしいチーズを買います。