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見慣れぬ番号、見慣れた番号

見慣れない番号から着信があった。

ドキッとした。

いや、見慣れた番号だ。
だけどもう、かかってくることのない番号。

母が闘病でお世話以なった病院。
入院した病院。
そして、亡くなった病院。

もう7ヶ月前のことなので、かかってくるはずもなく
間違い電話?
今さら忘れものとか?

だいたいこの番号からは嫌な電話しかかかってきたことがない。

ざわざわした気持ちで留守電を聞くと、お世話になった看護師Iさんからだった。

折り返し電話をすると「わざわざ折り返しありがとうございます」の言葉の後、「その後いかがですか?」と言われた。
え?私のその後を気にかけて電話かけてくれたのまさか?と一瞬思ったけど、
まぁそんなことはなく。

「実は私今年3年目の看護師なんですけど、3年間の振り返りとして発表会がありまして、『自身の看護の振り返りをして、今後の看護に生かす』というテーマで話をしたいと思っています。
そこで〇〇さん(私の母)の事例を紹介させてもらおうかと思っています。その同意を得られればと思ってのお電話です」
とのことだった。

「もちろんOKです。えーー、母の事思いだしてもらえてめちゃ嬉しいです。ぜひ使ってください」即答でOKした。

決して、母は良い患者ではなかったと思うし、良い事例にもならないんじゃないかと思う。
言いたいことは平気でズバズバ言うタイプだし、
回復して退院したわけでもないし、
緩和ケア病棟に行く前に亡くなったわけだし。

「迷惑かけてばっかりで、良い患者でもなかったのに選んでもらえるなんて」
と伝えたら「そんなことないですよ」とおっしゃってたけど。

でも今思えば、今みんな緩和ケア病棟とか在宅看護とかになるから、病棟で亡くなるのって珍しいのかも、、、と思った。

「母はIさんのこと『1番お世話になった看護師さんだ』と言ってましたよ」と言うと「え?!そうなんですか?それは知りませんでした」と驚いてくれた。
その後に「一番厳しいんやけどね」と言ったことはもちろん内緒にしておいた。

それから、
発表会は院内の同期内でしか行わないこと
個人情報は必要最低限にとどめておくこと
など、家族に了承を得ないといけない項目を聞いて、電話は終わった。

思い出してくれて嬉しかったなぁ。
どうか良い振り返りになって、Iさんに救われる患者がたくさんになるといいなと思った。

そして、この勢いに乗って、私は1つ決断をしたことがあるんだけど、それはまた今度書くことにします。



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