③30歳 運命の出会い

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友だちに誘われての合コンはもう手慣れたものだったが、婚活パーティは初めてだったので、少し緊張した。


ドキドキしながら扉を開けると、目に飛び込んできたのが私好みの大きくて広い背中…!

「婚活パーティってコミュ障しかおらんと思ってたけど、おるやん♡」

一気にテンションが上がった私は彼に狙いを定め、席に着いた。
すると、主催者のお姉さん(知り合いのお姉さん)が挨拶に来てくれた。
愛想のよさでは天下一品な私は、そのお姉さんと挨拶し、その日の流れを説明してもらった。


参加者シートなるものがあり、それにプロフィールを記入していく。
年齢欄で立ち止まり、「2か月前は29歳やったんやで…!」と思いながら、30歳、と記入し、涙が流れないよう(出てない)上を向く。
ついでに周りを見渡してみた時、目に飛び込んできたのが(2度目)、先ほどの【私好みの大きくて広い背中】さんが、ホワイトボードに『ようこそ○○婚活パーティへ!』と書いている姿だった…

「主催者やったんかーーーーい!!」

と先ほどのテンションが一気に奈落に突き落とされた気持ちになった。

涙が流れないよう(本当に泣きそうだった)上を向いて、ついでに周りを見渡し、目に飛び込んできたのが(3度目)、どこからどう見てもコミュ障な参加者たち…(失礼)
その中でも、だれが一番マシか…と合コンで培った無駄スキルを発揮し、よくよく見渡してみるも、【私好みの大きくて広…(略)】さんを見てしまった以上、もう誰も目に映らなくなってしまった…


パーティが始まり、全参加者さんとお話したものの、それが覆ることなく、むしろ進行をしている【私好みの大き…(略)】さんがますます気になり、その講義の中で【独身、年下、心理学の先生】ということまで嗅ぎつけた。

もうこうなると、彼を狙いに行くしかあるまい!と、コミュ障の参加者さんたちを引き立て役にさせていただき、明るく、主催者側にとって好ましい参加者として振る舞った。
心なしか、【私好みの大…(略)】さんもこちらを見てくれているような気になった。


パーティも終盤に差し掛かり、婚活パーティといえば!の、マッチングの時間になった。

6対6のパーティだったため、渡された紙に気になった人の番号を記入し、主催者に提出、集計ののちに、マッチングした人同士が連絡先を交換して解散、という流れだった。

「え…白紙投票あり?」

と思っていたところ、【私好みの…(略)】さんが「僕、7番ですからね~笑」と軽口をたたいた。
主催者側が笑っていたので、毎回やってるネタなのだろう。

しかし迷うことなく、

【7(クソデカ字)バァァァン】

と大きく書いて、小さく折りたたんで、提出した。
あの大きくて広い背中にかぶりつきたかった。


その後、2組のマッチングが発表され、あっけなく解散が宣言された。

「…え?張り切って7(クソデカ字)とか書いて、恥ずかしいヤツ!」

それでも扉の前でお見送りしてくれているスタッフさん(彼も含む)に、最大限の愛想と笑顔を振りまいて、お見送りに応え、お店を出たとたんにマンガのようにわかりやすく、肩を落としながら帰った(雨も降っていた)。


翌日、主催のお姉さんから一通のLINEが届いた。

「7番って書いてたけど、心理学の先生のこと、気になった??」

心理学の先生というのは【私好み…もうゴリラと呼ぶ】さんである。

「先生も、気になってるって言ってるんだけど、連絡先教えてもいい?」

え…!!ももももももももちもちrもちろんです!!!

という心の内を抑えて、
「ええ、ぜひよろしくお願い致します^^」
と返信した。

昨夜、愛想のいい女性を演じ(内なる変態を抑え)、戸惑いながらも迷うことなくクソデカく【7】と書いたおかげである。


かくしてゴリラ氏からLINEが届き、やりとりが始まった。


マガジン【20代後半からの婚活事情】
次回、運命の彼とデートを重ねる。

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