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無職なのでお遍路に行ってみる

父の死から4か月。以来、月2のペースで九州~関西間を車で帰省している。

老母の様子伺いと亡父関係の所用などをトロトロとすませる。1週間弱、母と過ごすとさすがにお互いイライラしてくる。80オーバーのわがまま乙女と50オーバーのおっさんみたいな娘。気が合うはずがない。

まあ、どこの母娘もけっこうな確執があると思う。私もご多分に漏れずで、長年、母の価値観と干渉と支配の檻の中でウホウホとゴリラのようにガッシャンガッシャン鉄柵を破ろうとしてきた。自分の親ばっかりは他と比べるものさしがないので、母の言うことは間違いがない、母に逆らうことは親を裏切ること、母に嫌われたら一巻の終わり、と思い込んできた。

今はそんなこと微塵も思っていない。うちの母はやっぱり変わってる、ズレている、まともに聞いてたらこっちがおかしくなる、と気づいて、どうにか自分が思う正常ラインに母を軌道修正させようとするけど、それがまたうまいこといくはずなくてイライラして爆発する、という一連の無駄なあがきももうやらない。私の思う正常も他人から見れば変で、母も私の言うことには絶対耳を貸さないから。それに私もやっぱり母にそっくり似た気質だから。

でも、母の話をずっと垂れ流しに聞き続けるのはやめた。ムカッときたら言い返す。完膚なきまでに言い返す。母も娘に否定されカチンときてわーっと言ってくるが、その上を言い返してやる。もう親に対するいたわりも尊厳もへったくれもない。ひどい罵りあいになるが、むこうはほぼこっちの言うこと聞いてないのはわかっているし、いちいちへこむ必要もない。言いたいだけ言ってやる。「あんたのためやんか」「そんなん世間に通用すると思てるんか」「あんたの人生どこで間違ったんやろなあ」「親に向かってその言い草は何か」などと言われても昔のようにいちいちドギマギしない。「自分のことは自分で責任とる。私は間違ってない。おたくがおかしいのとちがいます?」とにっこり微笑んで言えばいいだけ。

母についてはさておき。

今回の帰省の帰り道、毎度同じ行程は飽きるので、四国をかますルートで帰ってみた。ナビで関西→九州を高速を使わないルートで検索すると必ず推奨されるのだが、ずっと「四国経由とか絶対遠回りや!」と無視していた。しかし此度、私の憧れベスト1である「四国八十八か所参り」やったったらええやないか~、というお告げがおりてきて、気づけば淡路島海峡大橋を渡ってしまっていた。。(ちなみに憧れナンバー2は役行者)

例によって高速ケチったので徳島に着いたのが15時頃。時間的に回れる一番霊山寺から二番極楽寺までだけおためしお遍路。霊山寺の門前で必要最低限もちものをそろえ、かんたんにお参りの説明を受け、いざ、にわか遍路へ。長年の夢だった八十八か所参り、四国に渡るのはよほど用事がないと機会がないとずっとあきらめていたけど、無職なのでもう行くしかない。

死んだ父は今どうしてんのかな、一緒にお参りしてる気分になってるかな、などと思いながらお参りする。夕方の涼しい風が心地よく、誰もいないお堂の空気を独り占めさせてもらう。ド平日の夕方でも、お遍路さんが数人いた。車でお参りにくる若い人も何組かいた。

こんな、初心者の思い付きでお遍路さんしてええもんやろか、とビビったけど、案外大丈夫だった。

次は三番から五番まで回ろうと思う。長距離帰省にぶっこんで途切れ途切れでも、長い時間かけて全部回ってみたい。

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車中泊して国道378号線を走る。早朝の瀬戸内海。途中まで予讃線と並行。八幡浜から佐多岬までが近そうでけっこう長い。

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国道九四フェリーの三崎港。きれいに整備されていた。隣接する佐多岬はなはなは、最近できた観光交流施設。テラス、カフェ、直売所、しらす食堂などがある。フェリーは令和3年就航の新造船もあり、どれも新しくきれい。佐賀関港まで全然揺れず70分で着く。