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「あんぎお日記」(1991年12月15日)

十二月十五日(日)

わたくしの眉間に
片脚で爪先立ちたる
夢魔【ナイトメア】去れり

 捩じれたる唇。小学校二年の時に読んだシャーロック・ホームズの話を思い出す。もっともその男の場合には、スポンジで拭き取れた捩じれた唇もなくなった訳だが。
 よそよそしい顎たち。
 夕方、顔に感覚が戻り始める。冷たいスプーンを押し当てたよう。
 無重力状態の食事。
 点滴が外れたら急に正常に戻った脳。

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