鍵【意味がわかると怖い話】
鍵
しっかりと部屋の鍵を閉めてから、眠りについた。
翌朝、ロッキーのテーマで目覚めた。毎日同じ時間に鳴るようにスマホにセットしてあった。カーテンを開けて朝日を浴び、寝室を出た。
キッチンで朝食の準備に取りかかる。やかんを火にかけ、トースターで食パンを焼く。野菜を切っているあいだに、やかんが湯気を噴いた。今日のメニューは、サラダとトーストとコーンポタージュだ。僕はいつも朝食を抜く。これはさゆりの分だ。
朝食を盆にのせて、彼女の部屋に向かった。片手がふさがっていて、鍵を開けるのに多少苦戦した。扉を開くと、僕の天使が寝息を立てていた。
(了)
ここから解説になります。ネタバレなのでご注意を。
解説
最後のところで語り手は、彼女に朝食を持っていくのに、部屋の鍵を開けています。つまり彼女は鍵をかけた部屋に閉じ込められていたということです。
語り手は誘拐犯。彼女は監禁されています。
ここまで分かると、最初の文が違う意味に読めます。
これは自分の部屋を施錠したのではありません。外から鍵をかけて、彼女を閉じ込めたのです。
鍵を閉めるという行為には、二種類の目的が考えられます。その鍵は、外部から中のものを守るためのものでしょうか。それとも、中のものが逃げられないように閉じ込めるためのものでしょうか。
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