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1つの意識で社会は変わる。マイクロプラスチック対策のため、各企業の取り組みと私たちにできること

現在、3回に分けて「マイクロプラスチック問題」について取り上げています。

第1回ではマイクロプラスチックの定義や種類具体的な流出の原因について、第2回ではマイクロプラスチックの悪影響各国の取り組みについて解説してきました。

↓ 前回記事はこちらから ↓
第1回「こんなところにも!? 生活に潜む「マイクロプラスチック」の正体とは
第2回「私たちは毎日マイクロプラスチックを食べている!? その悪影響と各国の取り組みについて紹介

最終回となる第3回では、日本国内の企業のマイクロプラスチック削減に向けた取り組みと、私たちが個人でできる対策を5つご紹介します。


日本周辺はマイクロプラスチックの「ホットスポット」

2016年、環境省により行われた海洋ごみ調査によると、日本周辺海域(東アジア)では「北太平洋の16倍」「世界の海の27倍」のマイクロプラスチックが存在したことがわかりました。この結果から、日本周辺海域はマイクロプラスチックの「ホットスポット」とされています。(※1)

調査から8年後の今も、アジア周辺が「ホットスポット」である状況は変わっていませんが、現状、日本ではマイクロプラスチックを使用禁止とする法律はできていません。国からある程度の指針は示されているものの、対策は企業努力に委ねられているのが実態です。

ここでは、各企業が行っているマイクロビーズ廃止・プラスチック削減の取り組みをいくつかご紹介したいと思います。


花王株式会社

  • 2016年末までに、すべての洗顔料・全身洗浄料・ハミガキをマイクロプラスチックビーズ不使用

株式会社コーセー

  • 2014年度開発の新しい洗浄料からマイクロビーズの配合を中止

  • 2018年以降、既存の商品も含めすべての洗浄料をマイクロビーズ不使用

株式会社マンダム

  • 2017年末までに、すべての洗い流しの製品をマイクロビーズ不使用

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス

  • 2018年末までに、洗顔料などに使用されていたマイクロビーズをすべて天然代替材料に変更

株式会社資生堂

  • 2018年8月末までに、洗顔料などに使用されていたマイクロビーズをすべて天然代替材料に変更

P&Gジャパン合同会社

  • 現在、製造されているすべてのフェイシャル/ボディ洗浄料・歯磨き粉はマイクロビーズ不使用

スターバックス

  • 2020年1月から、国内全店舗で紙製ストローを導入

  • 2021年4月から、国内全店舗でアイスドリンクの23品目(約70%)を使い捨てプラスチックでの提供から、ペーパーカップ&ストロー不要のリッド(フタ)での提供に変更※イメージ

  • 2022年2月から、店内利用のアイスドリンクを樹脂製グラスで提供

良品計画

  • 2020年7月から、「プラスチックボトルの回収リサイクル」として使い終わった化粧水や乳液のボトルなどを店舗にて回収

  • シェアバッグ「再生ポリプロピレンバッグ」をデポジット150円で提供(不要になったら、店舗へ持ち込むとデポジットを返却)

  • 店舗での給水サービス(ペットボトル飲料の削減への取り組み)

セブンイレブン

  • プライベートブランド「セブンプレミアム」のペットボトルのお茶の全商品に、100%再生PET樹脂使用ペットボトルを採用

  • 一部店舗にペットボトル回収機を設置。2019年6月からは、「一(はじめ)緑茶 一日一本」を完全循環型ペットボトルを使用して発売開始

ローソン

  • 2019年から、MACHI caféで提供する飲料容器をアイスドリンクもすべて紙製に切り替え。ストロー不要のフタに変更。

  • スプーン・フォークの持ち手部分に穴を開け、長さを短くするなどして、プラスチック使用量を削減(※イメージ

  • ナチュラルローソンにて、シャンプーや洗剤などの量り売りを実施(プラスチック容器の削減)


ここに挙げたのはほんの一例で、ほかにも容器の軽量化、詰め替え・付け替え製品の採用、バイオマスプラスチックの使用、プラ袋の材質を紙に変更、個別包装の削減など、多様なアプローチで各企業がプラスチック削減に貢献しています。

プラスチックの最大のメリットは、その安さでした。プラスチック削減のためには、コスト高となるかもしれない素材変更、リサイクル技術や代替素材の開発などが必要となり、企業には少なからず負担がかかるはずです。

それでも、多くの企業が脱プラスチックの取り組みを進めています。企業のそうした志を理解し、私たち消費者も商品選択をしていきたいですね。


1つの意識で社会は変わる。今日からできる5つのアクション

多くの企業の努力によって、私たちは意識せずともバイオマスプラスチック製やマイクロビーズフリーの製品を手に取ることができます。しかし、もしそれ以上になにか個人で取り組めることはないか、と考えているかたに向けて、5つのアクションをご紹介したいと思います。

プラスチック製品をなるべく使わない

いわずもがなですが、やはり大切です。消費者がプラ製品を「選択しない」ことで、少しずつですが社会を変えていくことができます。

マイボトルやエコバッグを持ち歩く、カフェでストローを断る、つめかえ製品を使う、服や化粧品などものをむやみに買わない、など日常で意識できることは多くあります。

おすすめは、スポンジをセルロース製に変えることです。実は、スポンジもマイクロプラスチックの発生源といわれています。使うたびに細かい切れ端が洗剤といっしょに流れ出し、微細な粒子となって川や海に放たれてしまっているのです。

セルロースとは木の端材からとれる繊維のことで、これなら繊維が流れ出ても海洋汚染につながる心配がありません。私は1ヶ月ほど前にセルロース製のスポンジに変えたのですが、使用感はとってもよいです。泡ぎれは少しはやいですが、その分乾きやすく清潔を保てます。

私のおすすめは、サステナブルショップ・エコンフォートハウスのポップアップスポンジです。北欧風のゆるいアニマルイラストに癒されます。毎日つかう物だからこそ、一度変えてしまえば脱プラに貢献し続けられるのが良いところです。


洗濯ネットの使用

家庭から流れ出るマイクロプラスチックの発生源のひとつが、服の繊維といわれています。洗濯のたびに細かい繊維が流れ出て、それらが細かく分解された結果、マイクロプラスチックとなり自然界へ放出されてしまいます。

こうした繊維の流出を防ぐためにおすすめなのが、洗濯ネットの使用です。ただし、通常の洗濯ネットは網目が粗く細かい繊維をキャッチすることはできないため、網目が0.05mm以下の洗濯ネットを選ぶのがポイントです。

「マイクロプラスチック 洗濯ネット」で検索すると、網目の細かいネットがヒットします。こちらもセルローススポンジと同様、一度変えてしまえばマイクロプラスチック対策に貢献し続けることができます。まずは1枚から、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか。


プラスチックは分別してリサイクル

ペットボトルを燃えるごみに捨ててしまっていませんか? ペットボトルは貴重なリサイクル資源となります。分別してリサイクルに出しましょう。

また、最近は化粧品の使用済み容器を回収できるお店も増えています。ブランドごとの回収もありますし、イオンやロフトなどで複数のブランドの製品を回収してくれる拠点もあります。

化粧品は頻繁に使い切るものではないからこそ、空っぽになったら回収に持っていくことを意識してみてはいかがでしょうか。ブランドによっては、ボトルの回収でポイントをもらえるところもあるようです!


ポイ捨てをしない

路上に平気でごみを捨てる人はそれほど多くないと思いますが、ペットボトル回収のごみ箱に燃えるごみを入れていたり、コンビニのごみ箱があふれていたら隣に置いてしまったりする人は少なくないでしょう。

実は、こうしてごみ箱からあふれたごみが、風に飛ばされたり鳥に持っていかれたりして川に流れ着いてしまうことが多いのです。それらが劣化して分解された結果、マイクロプラスチックとなってしまいます。

一軒家やごみ捨て場のないマンションにお住まいのかたは、燃えるごみを路上に出すこともあるかと思います。そのときは、鳥に荒らされないようしっかり口をしばっておくことも小さなアクションのひとつかもしれません。


海洋清掃ボランティア

川や海に流れ着いたプラスチックごみは、やがてマイクロプラスチックとなり回収できなくなってしまいます。海洋清掃ボランティア(ビーチクリーン)に参加することで、そうしたマイクロプラスチック発生源の回収に貢献できます。

また、実際に自分の手でごみを拾う体験は、環境への意識を高めることにもつながります。環境保護に少しでも興味をもったら、まずは一度ビーチクリーンに参加してみると良いかもしれません。

「ビーチクリーン 参加」で検索すると、ボランティアを募集する団体のHPがいくつか出てきます。お近くの地域で行われるビーチクリーンにぜひ参加してみてください。


まとめ

今回は、「マイクロプラスチック問題」の最終回ということで、脱プラのための各企業の取り組みや、私たち個人にできるアクションについてご紹介しました。

今回は、消費者にとって目につきやすい日用品や飲食店、コンビニなどにスポットを当ててご紹介しましたが、その裏で、脱プラのための商品開発に取り組んでいる企業が数多くあります。日本は先進国の中でも脱プラへの取り組みがおくれている印象ですが、国内で積極的に取り組みを行なっている企業がこれほどたくさんあることに感銘を受けました。

私たちは、無自覚のうちに大量のマイクロプラスチックを排出している一方、無自覚のうちに環境に配慮された製品を使っていることもわかりました。その環境を作ってくださっている企業には、積極的にお金を落としていきたいなと感じます。

3回にわたってマイクロプラスチック問題について調べてみて、私自身にもあらためて多くの学びがありました。ちょっとした意識の変化が、世の中を変える力になると思います。この記事が、誰かひとりの行動を変えるきっかけになれば幸いです。


【参考】
※1 環境省「海洋ごみとマイクロプラスチックに関する環境省の取組」2016年12月10日発行

ELEMINIST「深刻化するマイクロプラスチック問題 各国の対策と日本企業の取り組み事例24選」2023年12月24日発行

ELEMINIST「海プラスチックごみ問題とは 海洋環境や生態系への影響と解決に向けた取り組み」2024年3月4日発行

Spaceship Earth「マイクロビーズの現状は?人体への影響や世界と日本の対策を紹介」2023年9月27日発行

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