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2020年代デザイナーに求められるスキル

ビジネスやテクノロジーへの理解、それをドライブできる能力がデザイナーに求められるという話が話題になっていますが、それはスキルと言うよりもマインドセットだと思います。視野の広さと言っても良いかもしれません。

モノゴトやシステムが高度化・複雑化し、公害や事故など過去の失敗を繰り返すことが許されなくなっていく2020年代、スキルとして求められるものは本当は何なのだろうと考えてみました。特に大きなメーカーのインハウスデザイナーが、社内で良い仕事をするときに必要なスキルについてです。

小さな組織やプロジェクトではSlackなどを使ってコミュニケーションをとることで開発の流れをデザイナーが変えることが比較的容易にできると思いますが、大きな組織ではそれだけで流れを変えることはできません。

小さなデザイン領域で自由にやれる部分ではなく、本質的な価値やシステム全体のデザインに影響を与えるためには、そこに入り込むためのツールを使いデザインを表現していかなければなりません。

モデルベース開発で環境・人・装置の関係を定義することや、構造化されたドキュメントに対して上位理由と作業分解をおこなうことで初めて、予算が付き計画に組み込まれることになります。

その上でプロトタイピングによってそれらを体験できるようにして、モデルベースとドキュメントに想定外の発見をしフィードバックしていきます。

実際のところでは、この3つの関係の順番に決まりはなく、小さなプロトタイピングを繰り返しながらモデリング、ドキュメントを作っていく場合もあります。それらを柔軟に進めていくこともデザインマネージメントの一部です。

これを開発前の概念検証(PoC)段階でおこなえれば、良い流れを作ることができるようになります。デザイナーの「何もないところから、とりあえず始められる」という特技を活かしていくことができます。

つまり、デザイナーの役割は他者に影響を与えて良い状況を作っていくことで、そのためのコミュニケーションツールとして、モデルベース、ドキュメント、プロトタイピングを使って構築・表現・検証スキルを磨いていく必要があります。

2020年代は、AI、ロボティクスのように複雑で大きなシステムを前提としたデザインを実践していきたいと思います。

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