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PENTAX/GRブランドが目指すユーザーとの関係

2/20から始まるCP+を前にして各社の発表が始まっています。撮影スタイルの多様化とカメラの定義が激しく変化する中で、メーカーとユーザーとの関係の作り方を変えていくメッセージがPENTAXとGRという2つのブランドを持つリコーイメージングからありました。

メッセージのポイントは2つです。
1)"デジタル"手法を駆使してお客様に寄り添う
2)"工房的"ものづくりを実現する

量販店での販売から、メーカーの直販中心に切り替えていくことがベースにあり、その環境の中で最大に価値を増幅しようとしているようです。

尚、CP+でカメラに興味が集まっているタイミングでの発表でしたが、リコーイメージング自体はCP+への出展はありません。そのこと自体新しい取り組みの一つではないでしょうか。大量生産のメーカーと同列で展示するよりも、違うレベルでユーザーとの関係を創っていきたい表れだと解釈したいと思います。

単にタイミングをずらしてコミュニケーションを取るのか、CP+と同じタイミングで別次元の関わりを持つのか、とても楽しみです。実際の中身は当事者(ユーザー)にならないと分からないと思いますが、幸い私もGRユーザーですので何らかの案内があるのを楽しみに待ちます。


デジタル手法とは何を目指しているのか

気になるキーワードとして「デジタル手法を使ってユーザーと結びつく」と宣言されており、一番シンプルな話としてはユーザー登録を管理して製品情報を送付することが考えられますが、その程度であればわざわざデジタル手法とは言わないはずです。

それ以上の結びつきをどのように実現するか私なりに想像してみます。

カメラそのものがデジタル(インターネット)で直接メーカーと繋がり、撮影体験をサポートするのではないかと想像しています。もちろん最新のセキュリティとプライバシーで運用され、撮影がゲームのように楽しいものになるのではないでしょうか。

当然そのゲームには、動物や乗り物、自然環境などを相手にする楽しさから、カメラという道具を使いこなし、自己表現していく楽しさ、またコミュニティの仲間と切磋琢磨し認め合う楽しさが合体したような体験設計がなされるはずです。


工房的なものづくりが意味すること

大量生産から少量生産へ ・・・多品種になるかどうかは分かりませんが、工房的なもの作りの意味としては、ハードウェアやソフトウェアを細かくカスタマイズされていく方向に進みそうです。ユーザー数が減少していくことは想定しているようですが、その分一人一人との結びつきを強くしていけます。

製品開発段階からユーザーとの結びつきを持つことで、潜在的な購入者になってもらえるだけでなく、購入後の不満やサポートも最小にできそうです。

問題はハードウェア展開なのか、ソフトウェア展開なのか気になります。機能部品を含むハードウェアのカスタマイズはコスト的に非常に難しく、かと言って単に外観パーツの入れ替えだけでコレクションアイテムとするのでは直ぐに飽きられてしまいます。

やはりソフトウェアに注力することで、最小の開発投資でユーザーへ新しい撮影体験を目指してもらいたいと思います。新しいUIの提供、絵作りを含めたモードの追加は撮影のお題としてユーザーの挑戦心を掻き立てるものになりますし、ユーザーが開発に参加こととも相性が良いはずです。


購入した後の体験が他社とは別ものに

一度カメラを購入しても、さまざまな特別サービスによって長く使っていけそうです。もちろん全てが無料サービスということではなくそれなりの対価を払ってのことになるとは思いますが、それこそがメーカーとしての新しいビジネスモデルです。

個別費用になるのか、ファミリークラブの会費のような形でサブスクリプションになるのか分かりませんが、ユーザーから見て製品にお金を払っているのではなく体験に払っている感じにしてもらいたいと思います。

一台のカメラのライフサイクルではなく、10年20年と続く関係のためには、カメラの買い替え・買い増しの時に、それまで育てたカメラの設定をきちんと引き継げるような仕組みも大切になります。

特にこれからAIによって各ユーザーごとに学習がおこなわれますので「デジタル資産」の引き継ぎが、ユーザーを繋ぎ留めておく一般的な手法になってきます。PENTAXとGRが他社に先駆けていって欲しいと思います。


最初のメンバーになる

デジカメの登場に関わり、その後ずっと見守ってきましたが、どんなに凄いスペックのカメラが出ても何とも思いませんでしたが、もしこの取り組みが上手くいくのならカメラシステムを入れ替えても良いと思っています。

また他のメーカーもリコーイメージングの動きに刺激を受けて、ユーザーに新しい「フォトライフ」を提供するようになるかもしれません。そのことをとても楽しみしています。

実際に今回のビジョンが完成するまでには何年か掛かるかもしれません。それでもビジョンやロードマップをユーザーと共有し、未来の為にPENTAXやGRを選ぶ意味があるようにしてもらいたいです。

そしてユーザーとして完成してから参加するよりも、自分達がこのブランドを作り上げたんだといえるような最初のメンバーになりたです。20年後30年後にその会員番号が誇らしくなるような体験は「今年」しかできないかもしれません。


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