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体験設計プロトタイピングをみんなで考えて未来を創る

「定規を用意して測る」という話で、みんなで定規を用意したら測らなくても価値があるという話をこれからします。(なんのこっちゃ!?)

先日こちらの記事で「体験設計プロトタイピング」について書きました。

「#デザイン記事まとめ」やnote公式の「おすすめ」で紹介していただいたおかげで2日ほどで1万ビューを超え、多くの人がプロトタイピングに興味を持っていることが分かりました。また読んだ後で「スキ」もたくさん付けていただきプロトタイピングが単なるラフな製品開発や部分の製品開発ではなく別の目的を持った独立した手法や行為であることに共感してもらえたのではないかと思っています。(製品設計プロトタイピングと区別するために体験設計プロトタイピングと呼んでいる)

記事では体験設計プロトタイピングの手法はこれから考えていかなければならないとしていましたが、ぶっちゃけ手法なんて最初からない方がみんなでシステムの本質やユーザー要求について話し合い深く考えられるのではないかと気づきました。

何かを準備して実際に体験して経験価値を評価できることは重要なことですが、多くのプロジェクトや組織では、そもそもみんなが作っているシステムについて十分に理解していなかったり、部分の設計に集中するあまりに本当の目的を忘れてしまうこともあります。そんな時に体験設計のプロトタイピングについてみんなで考えれば多くのことが得られるのです。


まずは実践すること

誤解しないでいただきたいのは、体験設計プロトタイピングにおいて重要なのは「先ずは体験できそうなものを作って体験してみること」に変わりはありません。体験という実践を通して私たちは経験値を上げていくことができるからです。

ただ一方で「いま」体験できることに注目し過ぎても駄目です。「本当はこんなことを測ることで体験設計を評価すべきだ」ということを考えてみることも大切なのです。

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何を測る(計る、量る)のかを話し合う

システムの開発目標<すなわちユーザー要求>がどのようなものであるかを理解しそれを設計する過程で本質や重要項目に気づくことができますが、その価値の大きさや達成度を「体験によって評価する方法」「最小限の主要要素だけのシンプルなプロトタイプを作る方法」について考えることで、ちょうど数学の微分積分の様にものごとの関係性の本質を理解するのに役立ちます。

設計のベクトルはより具体的な手段や部品に向かっていくため、どうしても元の開発目標から遠ざかることになります。それに対して体験設計のプロトタイピングは、それらの要素を統合し本来の目標に戻るベクトルを持つことができるからです。(設計=微分、体験プロト=積分)

ユーザーが求めているものが効率なのか楽しさなのか、使い易さか機能性かなどを<複雑なものとして>正しく理解しなければなりませんし、それを実現するための機能が十分に価値に繋がっているかも評価しなければなりません。

そのため体験設計のプロトタイピングを正しくおこない、評価結果を出すことは実際には極めて難しいことです。AIが発達し、人間の脳も十分に解明されいずれ可能になると思いますが、今はまだ初歩的な領域で実践を繰り返すことと本当にやりたいことを言い続ける段階です。

開発規定や手持ちの評価ツールによって何を測るかを決めてしまってはいけません。まず測りたいものをしっかりと考えてから測り方を決めていくことが重要です。私たちは経験価値や体験設計を測るための新しいモノサシを見つけようとしているのです。

このような「出来ないことを考える」のはシステム開発にとって一見無駄なように思えますが、システムの本質を理解し共有するために「いま」できる手段の一つと言えます。


必要な手法やツールはいつかできる

製品設計のためのプロトタイピングは歴史もあり多くのメーカーの中で実施され磨かれてきましたが、体験設計のプロトタイピングはまだ生まれたばかりで何も揃っていません。何よりも体験設計が対象としている世界は複数の製品やサービスが繋がり、複数の企業や人が関わるため広く複雑です。

そのため実際には測りたくても簡単には測れなかったり、作りたくても作れないという問題にぶつかります。製品設計で成功している人からは「抽象的なことばかり言って仕事ができない人」と思われることもあります。しかしそれで諦めてしまってはいけません。

私たちが製品設計のプロトタイピングから体験設計のプロトタイピングへ意識を切り替えていくことができ、諦めずに考え続けていれば、いつかきっとそれらが当たり前の未来になります。計測する技術や手法ができたり、簡単にプロトタイピングするためのツールに繋がっていくはずです。


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