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「女性は話が長い」問題は、2つの意味で多様性の話である

まず「女性は」の部分です。今回話題になっているのはこのような属性に対して偏見のある扱いをしたことです。

アンケートなどの場合には性別属性を軸にすることは一般的ですので、ちゃんとしたデータに基づく発言であれば問題は無かったように思います。今回はどうもそうでは無かったみたいです。

集団の中で特定の属性に偏っていると多様性が少なくなります。実際には「多様性を嫌った結果」属性が偏っていることが多く、そのことの方が本質的な問題だと言えます。

今回の問題も、自分の判断に色々と意見を言ってくる人を排除したい、自分が支配したいという気持ちの表れだと受け取られたことが世界の考え方に合っていなかったということになります。

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次に「話が長い」の部分です。話が長いことが駄目なことで「女性は駄目だ」と言った形になっていますが、そもそも話が長いことが何故悪いことになるのでしょうか?

変化の少ない中でルーチン業務や何度も議題に上がっているテーマでは前提が共有されているため主要点だけを伝えれば良いのに対して、新しい視点からのテーマを伝えようとすると色々な前提から話をしなければならなくなるため必然的に話は長くなります。また相手に直ぐに理解されないことも多く何度も話すことになります。

政治やコミュニティだけでなく、企業においても持続していくためには、変化に対応していかなければならず多様性はそのための資産になります。今回の男尊女卑(女性蔑視)だけでなく、イエスマンを重用する派閥、選択と集中、会議は短くなどの方針によってもこの多様性の弊害になっていると感じることが多くあります。

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私はデザイナーと言う立場で多様な視点からの複雑な情報をシステムとして扱う仕事をしています。これまでに無かった視点から新しいアイデアを出し、それを時間を掛けてでも共有し、これまでの価値観に変化を与え問題を解決する補助線になるような世界を望んでいます。

社会や企業の中にはまだまだ小さな森さんが隠れていると思います。前例主義や派閥、権力闘争などによって排他的で多様性の少ない社会を変えていく必要があると思います。

最後に一冊の本を紹介しておきます。良い戦略とは魅力的なストーリーであり「長い話」でなければならないという内容の企業経営の書籍です。

私も「話が長い」ということで職場で発言の機会を失った時があり、その時に本書に出会いました。とても影響を受け自分でも事業のストーリーを書き始め最終的に12万字の企業小説ができあがりました。その小説は今でもデザイン活動のベースになっています。

もし森さんの意見が正しかったとしても、長い話は素晴らしい!だからそれができる女性は素晴らしい! とニュースを見ながら感じたのでした。

おしまい。

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