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言葉から始める体験設計

UXライターという職業があることをnoteの記事で知りました。ニュアンスとしてはグラフィックデザインと同じようにユーザーに向けて発信する言葉や用語を最適化する「言葉のデザイン」という感じです。

私が最初にイメージした「言葉を使ったデザイン手法」とはちょっと違うみたいです。UXデザインや体験設計は目に見えるモノや行為だけではなく意味や想いといった心の動きも重要な要素になってくるためデザイン作業における言葉の重要性は大きいと思います。

これまでもデザインコンセプトやシナリオベースのデザイン手法など言葉や文章による表現はデザインの中で活用されてきましたが、改めてその表現テクニックについて最近考えていることについてまとめてみます。


技術視点ではなく「ユーザー視点で」

これはメーカーにいるとよく言われることです。とにかくあらゆるものが技術視点で出来ていたのでそれを変えていかなければならないという強い思いがあるからだと思います。(現在のメーカーはかなりユーザー視点です)

技術Aはキレイな写真が撮れるのでユーザーを満足させられる。

という文章があったとしましょう。
この時点で技術視点になってしまっています。これは次のように言い換えてみるとどうでしょう。

〇〇さん(ユーザー)はキレイな写真が撮れて満足している。だから技術Aが好きだ。

言っている内容はほぼ同じですが、主語がユーザーに切り替わっています。

この言い換えの重要な点は、最初の表現では技術Aがあったことでユーザーが満足したようになっていますが、実際にはその他の技術や満足するための状況などがあったはずです。その準備としてまずユーザーの上位体験を明確にします。それに続いて技術要素を書いていけば技術と体験の関係がより分かりやすくなります。

体験のためのシステム設計では、一つの技術やそれを持っている企業だけで考えるのではなく、複数の要素を最適に組み合わされることによって体験を設計していきます。

〇〇さん(ユーザー)は白い波と青い空がキレイに撮れて満足している。ビーチで濡れても大丈夫な防水機能と、遊びながらでもシャッターを押すだけで撮影できる自動設定機能があるので、それらと組み合わさって活かされる機能Aが好きだ。

このようにユーザーの状況や組み合わされる機能を列挙していくことで機能Aの役割が明確になり、この体験設計シナリオを実現するために他にどんな技術(企業)と手を組まないといけないか、システムデザインができあがっていきます。


表現を擬人化する

「できる」ではなく「してくれる」と表現することで、ユーザーとの関わりが擬人化してきます。製品や機能が友達のようにどんな時に助けてくれるのか、喜ばせてくれるのかを考えることができるようになります。

機能Aはキレイな写真が撮れる
機能Aはキレイな写真を撮らせてくれる

機能を主語にしていますが「してくれる」方は、「ユーザーに」という隠れた主語が含まれている感じがします。

機能が何ができるかではなく、人に何をしてくれるのかということが重要です。人との関係性はこれからAIがさまざまな製品に搭載せれこれまで以上にインターネットの膨大な情報を活用できるようになります。

人が使う道具という関係だけでなく、人に教えたり指示をしたりする製品も出てきます。「してくれる」の形が多様になるなかでこの表現が増々重要になっていくはずです。


まとめ

製品や技術を愛しているとつい製品を主語に話してしまいますが、それを変えることから体験設計を始めてみるのも良いかもしれません。

技術からユーザーの体験を表現するのではなく、ちゃんとユーザーを主語にして状況を表現することを身に着けると、自然にユーザー視点、体験設計視点でデザインをすることができるようになる。というお話でした。

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