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2022年度振り返り : 武蔵美 社会人修士の1年

社会人1年目の2018年1年間振り返りを書いてから、毎年少なくとも1年区切りで記録を残すことを決めている。
しかし、年末からドタバタで気づいたら3月になっていた。2022年から大学院生になったこともあり、2023年3月までの年度の振り返りを書くことにした。(2022年1〜3月も残しておく)

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2022.01~03

1月に武蔵美の院試を受けた。※ 研究計画では個人で制作したアプリの発展版の研究計画を持って行った。冷え込んだ鷹の台キャンパスの吹き抜け建物の教室で、小論文2時間と3分 × 2セットの面接を受けた。面接の質問の中の1つ、研究計画に関して「それは誰の何のためのものですか?」と (のちの主査の)教授から真っ直ぐ目を見られながら聞かれてたのを覚えている。 (今振り返ると、メインクレームを簡潔に言えるかが問われていたのだと思う。シンプルだけど、大事なこと。)

※ 志望した学科は、社会人でも通いやすいように夕方以降のカリキュラムになっているところで、約半数が社会人・留学生も多く多様性に溢れている。

大学院でデザイン研究の分野を志望した動機の1つに、自分のエンジニアとしての問題意識があった。当時、エンジニア歴もインターンを含めると6年目になり、シンプルなアプリケーションであれば個人で制作できるようになっていた。ツールやリファレンスが充実し、制作ハードルが下がってきていると感じ、エンジニアとしての価値をどう見出すのかと模索していたところ、この選択が良いのではというのを直感的に感じて受験を決めた。(進学・志望理由は、知的コンプ・修士への憧れ..など他にもいくつかある)

小論文がボロボロだったので、(落ちるかもと思い)受けたことを周りに言わなかった。1月下旬に合格通知を貰った。

4月入学までの期間は「何をしたら良いかわからないけど、何かしなきゃ」という気持ちでいた。ただ、手を動かすこと以外何をしたら良いかわからなかったので、コードを書いたり、別のアプリを(中途半端に)作っていた。

GitHubのコミットも (4月中旬に途切れるまでは) 日課にしていた。

仕事は、新規事業開発に携わる。Unity SDKをまるっと担当したり。
3月中旬から数ヶ月契約でデジタル・クリエイティブスタジオな会社で、長期運用を見据えたアプリの基盤開発にも関わり始めた。 (こういう働き方は性に合ってると思う)

2022.04~09 (前期)

入学した。 平日日中は仕事 (と大学院の課題)、夜・休日は大学院・研究の生活が始まった。

↑のグループで企画したイベントは、水木でアイデアのブラッシュアップをして、土日にイベント実施することを決定。金曜に準備をして土日で実施と映像編集し、月曜にプレゼン!とマッチョなスケジュールだった。動画に映っているのは自宅。

エンジニアリングとは離れて、もっと根底にあるものと向き合う。学部の頃からよくテクノロジーあり気で物事を考えていたので、柔軟に思考をしていくのは楽しい。
数ヶ月は仕事休憩のお昼の時間も大学院関連のレジュメを書く時間にしていた。


とあるプレゼンの日の様子


仕事関連では、岩沢兄弟さんにお誘いしていただき、千葉市美術館での井口直人×岩沢兄弟さん展示作品のアプリケーション制作を担当した。
アプリケーションは、個人開発アプリSliceTimeCamの派生系。



図録にはアプリストアのリンクも載せてもらった。ありがたや。


同時期に、「Beat Wave」アプリを活用したライブ 『KAGI NIGHT2022』をs渋谷B.Y.Gで実施して、自分は配信システムなどを担当した。あと3月から参加していたアプリの基盤開発も追い込みで、6,7月に色々重なってしまいヤバかった。大学院前期の成果展もやった。


2022.10~2023.03 (後期)


後期から研究室配属。教授や同級生との議論を踏まえて、入学前に準備していた研究計画を見つめ直すと、また違った部分を探究したくなり、テーマをがらりと変える。毎週のゼミの時間では、研究についての議論をしながら、教授が毎週5~10冊近くの本を推薦してくれる。(おかげで本棚から溢れるくらいの本の量に)

ゼミ以外の時間を使って集中的に読書会をしたり、議論の前提となるような知識を深めていった (ゼミの人たちと読んだのは 意味論的転回―デザインの新しい基礎理論人間科学におけるエヴィデンスとは何か 、社会的なものを組み直すDesign Research Through Practice など…)

みんなの研究テーマもバラバラだが、議論を通じて根底の問題意識が近いことがわかったり、紹介してくれた文献や書籍が自分の研究にも参考になる。
工学系のようなテーマが降りてきたり引き継いだりする研究室とは、また違う難しさと面白さがある。

講義は、毎週土曜日を使って開講されていた、美術の演習が新鮮で面白かった。(大学院の入試ではデッサンは不要)
1日の初めにテーマが出され、最初に簡単なレクチャーがあり、その後夕方まで制作。最後に十分な時間を使って講評をするという内容。(1dayハッカソンにも近いところを感じる)
講評の時間に他の人の作品を観察してみると、そう来たか〜みたいな発見があって勉強になる。


サービスデザインの講義では、サービスデザインの教科書 を輪読して、共創するビジネスに関して議論をする。学生も半数は社会人 (業界もバラバラ)なので、様々な現場での経験を踏まえての議論が出来る。
最終プレゼンでは既存サービスビジネスモデルからテーマを決めて、ステークホルダーの関係性を可視化して、分析を行う。そして有志でその内容を発展させたものをサービス学会でポスター発表してきた。
教室内の議論で終わらず、学会発表まで出来たのは良かった。



最後にグループワーク必修の締めで、都市計画のワーク。
メンターで空間設計・設計事務所で活躍されている方々に、初歩の部分からサポートしていただき、道の駅デザイン・建築模型制作を行った。リサーチを元にコンセプトを決め、空間ゾーニングを考えながら、制作をする。※年末年始返上で
(チーム内にCADマスターのメンバーがいたので、とても助かりました。)

作ることを経験すると、ものの見え方が変わってくる。都市計画のワークを経て、建物・街の見え方、解像度が上がった気がする。


大学院のワークを通じて、様々な業界で第一線で活動されている人との繋がりも楽しい。この繋がりから予想外の仕事の機会が生まれることもある。

講義でお世話になった先生を通じて紹介してもらい、1/18-3/26に東京オペラシティ アートギャラリーで開催された「Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.:泉太郎」にてVR作品2点の開発・テクニカルディレクション・体験設計担当した。
泉太郎さんと議論をしながら、コンセプトを踏まえた体験設計を詰めて制作を進めた。アフォーダンスとシステムのキャリブレーションと展示の世界観、デザインとテクノロジーを行き来していたこの1年間の経験があったからこそ生まれた要素もあったかもしれない。


VR作品チームを作って、3DCGデザイナーの方々と一緒に制作を進めた

この仕事だけでなく、いくつか水面下で進めているものもある。公開されるのが楽しみ。


振り返って・これからに向けて


エンジニア業と並行して通っている武蔵美大学院に通い、1年が経過した。
基本的にはオフラインで、市ヶ谷に行って講義を受ける。講義やゼミが22時に終わると、行きつけのお店に行って、アフタートークをするのが日常になっている。
学ぶだけなら講座を受ければいいし、作るだけなら1人でもできる今、市ヶ谷に行って、オフラインで講義やゼミで議論をすることは、非常に価値があると思えるようになってきた。
もう1年が経ってしまい、残りの期間が半分であることを考えると、少し寂しい。引き続き楽しんでいきたい。

2022年度は今まで固まっていた自分の思考が上手くほぐせたと思う。
ただ、研究に関しては今振り返ってみると理屈倒れになっていた。アイデアの段階で試行錯誤してしまい、なかなか手が動かせなかったり。 新年度はとにかく手を動かしながら考えていく。

直近だと、5/13(土) - 15(月)に市ヶ谷で中間成果展(仮)をやる予定なので、それに向けて準備を進めていきたい。

来年1月の修了・卒業制作展では満足の行く良いものを見せられて、3月にやり切った状態で修了できますように。




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