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渋谷の街角で唇を摘んだ話

最近2年前に別れたすごく好きだった
元カレに会った。

もうすぐ結婚するから浮かれてるのもあるけど、『私なんでこの人のことこんなに好きだったんだろ?』っていう現代でいう“蛙化現象"を感じて悲しかった過去の記憶から抹消したいと思ったからだ。

でも、期待とは裏腹にすごく良いデートだった。
六本木の個室の高級中華料理屋で待ち合わせして、密会気分を味わい、高級キノコでたっぷり埋め尽くされた火鍋という名のキノコ鍋を食べて、そのままタクシーに乗って表参道へ。ウイスキーが大好きな彼が連れてってくれた1300本のウイスキーが飾られた図書館みたいなBARは私の心をくすぐった。

タクシーから降りる時のスマートなエスコートとか、業界人ならではの面白い裏話とか。

ああ、私この人のこういうところが好きだったんだよなーって思って、思わず口からその言葉が出てしまった。

『私、〇〇くんのこと好きだったんだなーって』

『今は好き?』って聞かれたから
恥ずかしくて、おどけた顔をして誤魔化した。

普段ウイスキーなんて全然飲まないのに
美味しいウイスキーは私の心までも酔わせたのである。

とはいえ彼は結婚しているので、
もうこの歳になって不倫をしたいわけでもなく、
やっぱりいまの彼との思い出とか情がふと湧き出てくるから、合間合間で自分を現実に引き戻すために、『今の奥さんの好きなところ3つ教えて』とか『奥さんの好きな手料理何?』とか一ミリも興味ないことを聞いて現実に自分を引き戻す。

帰り際全然方向真逆なのに駅まで一緒に散歩しながら秋の夜風を楽しむ。やっぱりこのひとは運命の人じゃないんだなーって思いながら歩いた青山通り。

ここを通るたびにまたこの思い出を思い出すのか。

彼の唇のカタチが大好きだったけどキスはできないから帰り際に久しぶりに唇を摘んでみた。

東京の街角にはたくさんの元彼との思い出が詰まってるけど。この思い出はなかなか塗り替えるのに時間がかかりそうだ。

言うなればこんまりさんの"ときめき"を感じてしまう思い出になってしまったので断捨離するのは難しそうだ。

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