転職エージェントがいたから、採用が決まった事例
私は転職エージェントの仕事をしていますが、転職エージェントのおかげで、応募者の評価が上がることは基本的にはないと思っています。
でも、確実に転職エージェントがいなければ採用されていなかった例は存在します。
先日ちょうどそんな事例があったので紹介します。
Z社から書類選考の結果が届きました。
「Aさんですが、書類選考不合格でお願いします。これまでの経験と弊社の業界との接点がなく、なんで興味をお持ちいただいたのかもよくわからなかったので」
基本的に転職エージェントが何か言ったからと言って評価が覆るとは思いません。
ただ、この不合格のコメントからは、経験だけを見れば必ずしもナシではない、というニュアンスも感じ取れました。とはいえ、はっきりとアリでもないから、不合格という判断になったとは思いますが。
そこで、私からZ社にこう提案しました。
「そうですね、応募書類には基本的に経験面だけが書かれているので、興味や意欲はなかなか伝わりにくかったかと思います。ただもし、経験面で絶対不合格ということでなければ、ご提案です。Aさんに志望動機書を提出してもらって、それをもって御社で最終判断としていただくのはいかがでしょうか? なかなか応募時点で志望動機を求める企業も多くないので、それに対応することもAさんの意欲の表れの一つだと思いますし、また内容も判断材料になるでしょうし」
私としては、もしAさんが強い意欲を持っていたとしたら、ここで不合格になるのはもったいないなという考えがありました。また、確かに業界親和性はなかったものの、経験的には求人内容の仕事は十分に対応していけるだろうという見立てもありました。
この私の提案に対して、Z社からは好意的な反応でした。
「そうですね、ではお手数おかけしますがお願いします」
そして、結果的には、書類選考通過となりました。とはいえこの時点で評価は高いわけではありません。
「まずは、お会いしてみることにします」くらいの温度感です。
ただ一次面接に進んでみたら、経験もさることながら、何より素直そうな人柄や学ぶ姿勢がとても好印象で、トントン拍子に内定となり、なんと入社に至りました。
私も、志望動機書の提出を提案した時点では、ここまでうまく事が運ぶとは想像していませんでした。
Z社にも大変喜ばれて
「あのとき提案していただいて、本当によかったです」と感謝の言葉をシャワーのように浴びました。
ちなみに、Aさんにはこうした経緯を伝えていませんでした。「本当は書類選考でお見送りだったけど、転職エージェント側から志望動機書の提出を提案して、そのおかげで書類選考通過になった」なんて、隠すつもりはなくてもわざわざ伝えるような場面もなかったので。
転職エージェントは万能でもないし、基本的に企業の評価を左右することなんてできないと、私は思っています。
そんな中で、私が転職支援において意識しているのは、応募者が正しく評価されることのただ一点です。
今回のケースだと、応募者Aさんの意欲が、初めの書類選考時点では正しく企業に伝わっていなかった可能性がありました。それが正しく伝わり、本来ある意欲の通りに評価されたので、面接に至った。私はその助けをしたにすぎません。
転職エージェントは、応募者についての企業の評価を上げることは基本的にできない。ただ応募者が持つ本来の姿を企業に届けることで、誤った評価をしないよう防ぐことは大いにできます。100あるものを、70でも50でもなく、ちゃんと100あるとわかってもらう仕事です。
そして、そんな誤った評価がされているように思えるケース、本当は応募者はこう思ってるんだけどうまく企業に伝わっていないなというケースは、意外とそれなりに散見されます。そこに、転職エージェントの存在価値の一つがあるなあと思います。
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