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首都圏から、全部自腹で梅収穫! え、なんのために?

WWOOFでも、バイトでもなく、むしろ交通費はもちろん、宿泊費も食事代も基本自腹で繁忙期の梅農家さんのお手伝いをするという、謎の活動「梅収穫ワーケーション」へ行こうと友だちに誘われた。

単純作業で体を動かし、頭を空っぽにして「ウェルネス (いきいきとする)」はもちろん、「ウェルビーイング (幸福な状態)」しようというのだけど、わざわざ縁もゆかりもない和歌山まで行く必要ある? と思ったのでそれを確かめるべく行ってみた。

羽田から南紀白浜空港へ1時間

申込みはLINEを通じて行い、農家さんと自動的にマッチング。
働く時間は1日、半日(午前/午後)で選ぶことができる。

朝イチのフライトで白浜入りして、午前中は軽く観光し、午後だけ梅収穫のお手伝いをすることにした。
「梅ボーイズ」という梅干しもつくる大きめの農家さんのところへ行くことになった。

東京からの行き方は、羽田空港から南紀白浜空港まで1時間の直通便がある。そこから、レンタカーで30分程度だ。

梅の香りに包まれるみなべ町

日本で流通している梅の6割を占める「 南高梅(なんこうばい)」発祥の地、和歌山県日高郡みなべ町へ。
山間に囲まれた町全体が梅の香りに包まれていた。

右手には2年ものの梅が漬けられている
梅収穫グッズ。道具は農家さんによって微妙に違う

今年は豊作で、かつ成長が一週間ほど早いという。
この日は、軽トラックを通すため沿道にせり出た青梅を収穫した。

四方八方に枝を伸ばす梅の木の茂みに手を差し入れ、葡萄のように鈴なりの青梅を軍手で握る。たわわ、とはこのことだ。

梅の実に映えるうぶ毛がきらきらと光る。
空と熟した梅をキャッチするネットが青い。
梅の木陰は太陽の熱から守ってくれる。
台風の名残の突風がほてった体を冷ます。

なるほど、確かに気持ちいい。

梅ボーイズさんは塩と紫蘇だけで漬けるシンプルな梅干しを販売している。
オシャレなパッケージを開けると、立派な梅干したちが誇らしい顔をして並んでいた

2日目は午前だけ梅収穫

2日目は午前中に中西さん宅へ。
梅のシーズンだけ仕事をお休みする兼業農家さんだ。

完熟した梅は傷みやすく流通に耐えられないので、青梅だけを出荷しているとのこと。

まずは収穫した青梅の検品し、サイズを振り分ける「選果」をお手伝いした。
作業場に梅を広げると、目視で傷ついた梅を判別し、取り除く。
小さな傷から痛み始め、流通に耐えられないからだ。

2日前の台風のせいで、へたのまわりが傷ついているものが多い。
ほんの小さなかすり傷でも「秀」の選別には振り落とされる。
これはもう砂金でも探すような競争率の高さで、わずかほどしかない。

そうやって、作業カゴ10箱ほどを選別したら、選ばれなかった梅をもう一度選果する。
今度は「ひとつ傷」といわれる、ひとつ下のランク(マル秀)を選ぶのだ。
それでも、その数はわずか。

選ばれた梅たちは穴の空いた動く歩道をごろんごろんと渡り、大きさごとに振り分けられる。

一番大きい4Lの秀の少なき事よ。
梅をもっと大事に食べなくては、と切に思った。

後半は青梅の収穫へ。
昨日と違って平地だが、背の低い梅の木をくぐって移動するためずっと中腰だ。

半日ずつ、梅の収穫を「 梅ワー( 梅収穫ワーケーション)」として参加した感想をひと言でまとめると「楽しい」に帰着してしまう。
いやいや、その内訳は何だろう。

縁もゆかりもない土地の、見知らぬ農家で、労働力として期待されることなく、お手伝いをする。
バイトじゃないし、もちろんお客様でもない。

体力に自信がなくても、虫が苦手でも、なんなら梅がそれほど好きでなくても構わない。
それはなんというか、気兼ねがなく、まるで家族のようだ。

こんな関係や体験は、なかなかできるものじゃない。
わたしはきっとまた、みなべ町へ行くだろう。
里帰りするような気持ちで。

そういう場所がひとつできることが、なんとも「ウェルビーイング」ではないだろうか。

2泊3日のタイムテーブル

ワーケションとはいえ、ロケーションが変わってまでデスクワークをしたくない&せっかくだから遊びたいし疲れすぎたくないわたしのタイムテーブルはこんな感じだった。

1日目 到着日は午後のみ梅ワー

7:30 羽田空港発
8:40 南紀白浜空港着 レンタカーピックアップ
   白浜周辺観光
11:30 昼食
13:00 みなべ町入り、梅収穫
17:00 作業完了
18:00 民宿チェックイン
    民宿にて入浴・夕飯
22:00 就寝

2日目 午前に梅ワー、午後はみなべ町観光

6:30 起床
7:00 民宿にて朝食
8:00 梅収穫
12:00 作業終了
12:30 (朝ごはん食べ過ぎてお腹が空いていなかったので)
    立ち寄り湯で入浴
14:00 昼食
15:00 みなべ町観光
19:00 居酒屋で夕食
23:00 荷造り後就寝

3日目 朝日ともに起床して熊野三山

5:00 起床
6:00 出発
8:00 熊野本宮大社観光
11:00 熊野那智大社、那智の滝観光
13:00 熊野速玉大社、神倉神社観光
14:00 昼食
16:30 帰路にて足湯
18:00 南紀白浜空港 レンタカー返却
19:40 羽田空港着、夕食

3日は完全にオフ日。どこに行くか全然決めていなかったのだけれど、梅農家さんや民宿のオーナー、梅ワースタッフのおすすめを盛り込んだら結果的に熊野三山めぐりに。

梅ワー主宰の島田由香さんのおすすめは神倉神社。

熊野権現が熊野三山として祀られる前、最初に降臨した聖地・神倉神社

疲れすぎなくて、観光もできて最高でした。
おすすめ。

立ち寄った場所ざっくり紹介

「梅収穫ワーケーション」がメインとはいえ、遊び人のわたしが周辺観光せずに帰ってくるわけがなく、立ち寄った場所を少しだけ紹介したい。

中華そば丸田屋 南紀白浜店

まずは和歌山ラーメン食べなきゃ! Googleマップで適当に中華そば丸田屋 南紀白浜店へ行ったら大当たり。豚骨鶏ガラの醤油ベースでこってりとさっぱりのバランスが最高。

国民宿舎 紀州路みなべ

収穫作業後はみなべ町にある国民宿舎 紀州路みなべ の日帰り温泉へ。 梅ワー参加者はWi-Fi完備のワーキングスペースが無料で使える。

農家イタリアン・ カフェドマンマ

みなべ町にある地元食材を味わえる農家イタリアン・カフェドマンマ。
この地域で400年続く薪炭林と梅林によるエコシステムをオマージュした紀州備長炭入り。釜揚げシラスがおいしい。

千里海岸(ウミガメ産卵)

みなべ町にある千里海岸には、毎年アカウミガメが産卵に来るらしい。
この海でスキンダイビングしてみたいよ。

梅の駅・みなべ川村

みなべ町や梅の秘密を学べる梅の駅・みなべ川村。めちゃくちゃ和む。

白浜の有名な観光地

白浜の有名な観光地も見てきた。街中は熱海的な熱気だったので、景勝地へ。ただ、まだ台風の影響が残る強風で、水面がエスプーマ状態。いつもはこんなじゃないはず。

民宿リッチ

今回宿泊した激エモな民宿リッチは、正直全然期待していなかったんだけど、お部屋は寅さんの世界観ながらご飯がおいしい! あと、特記したいのが謎の泉質の良さ。沸かした美容液の中に全身エステか?というくらい、肌がもちもちになるから、試すために宿泊してほしい。

2023年の梅ワーは7月9日まで

年々、日本の季節が前倒しになっているような気がするけれど、みなべ町も例外ではなく、いつもとくらべて梅の成長が1週間早いそう。
6月の12日の週くらいまでは青梅を収穫して、そのあとは完熟梅の「拾い」になるとのこと。
7月近くは収穫作業の後片付けがメインになってくる。

だから、迷っているならサクッと行って欲しい。

うぶ毛の生えたプリプリとした青梅を触ってほしいし、完熟梅を拾う作業はかなり歩くらしい。

労働力にならなくても、参加者が楽しめれば農家の人も喜んでくれるのが、この取り組みの特異なところだと思う。

あと、上手に書けないんだけど、主宰の島田由香さんはもちろんのこと、運営スタッフの人々がこれまた希有で、優秀な人々が集まっている。
夕飯の宴を一緒に楽しめば、もりもり元気が沸かずにはいられない。

「興味はある、でも、よく分からない」と感じているならまじでさっさと行ってしまおう。

わたしだっていまも、この体験を記事にするならどうまとめて良いのか分からないままに、とりあえずこれを書いてみた。
だって、早く行って欲しいから。

最後のオンライン説明会は6/11日曜日ですって。

「え? なんのため?」
そんなことは行ってから考えろ。
考えるより動け。

https://note.com/umewaa_wellbeing


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