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ドライブレコーダーがない場合の立証

交通事故で揉めるケース

交通事故に遭い、事故態様に争いがあるケース(例:どちらが信号無視をしたのか、どちらが車線をはみ出して走行したのか等)では、客観的に事故状況が確認できるドライブレコーダーの映像が必要不可欠です。
ドライブレコーダーの必要性については前回の記事を参照
近年では、あおり運転などといった危険運転が増加し、それに伴い罰則が厳罰化したという影響もあり、ドライブレコーダーの装着をしている車は多くなってきました。
しかしながら、不運にも事故に遭い、双方共にドライブレコーダーを装着していなかったというケースは少なからず存在します。
どちらも主張する事故態様が異なるのに、それを裏付ける証拠が全くないといったケースでは、車両の傷や事故直後の会話内容などを細かく調査し、一つ一つ分析するほかありません。
今回は、実際にドライブレコーダーがない場合の事故で、事故の再現を行ったケースについて紹介します。

立証方法1:現場再現実験・報告書の作成

事故態様に争いがあるケースでは、双方の主張をそれぞれまとめた現場再現実験を行い、その再現実験をもとにした報告書(調査レポート)を作成することがあります。
これは、専門の調査会社に依頼することが多く、ヒアリングから事故現場道路の測定、交通量などをレポートにまとめ、車両の損傷状況と、事故態様の主張が一致するのかを確かめる方法です。

実際の事故現場で、同じ時間帯に行う再現実験などは、実際の事故の現場の状況が分かりやすいため、有効な立証方法となることが多いです。

現場の状況だけでは、実際の交通事故と同車種の車両を準備して、再現実験を行うこともありますし、事故車両からどのように現場が見えるのかなどの視認状況を再現することもあります。

現場再現実験では、専門の会社に依頼をしたり、事故と同様の車両を揃えたりなど費用がかかることもあります。
しかし、もしご加入の自動車保険に「弁護士費用特約」の付帯がある場合は、これらの費用を負担してくれる場合も多いですので、弁護士特約の契約内容のご確認がお勧めです。

立証方法2:トミカによる再現実験

上記のように実際の車両を用いて再現実験以外には、他にCGを作成するなどの方法もあります。
しかし、上記の方法のデメリットは、費用がかかるというデメリットがあります。
そこまでの費用をかけることができない場合には(弁護士特約がない場合、損害額が10万円程度の物損で費用をかける効率が悪い場合など)、ミニカーで現場の再現を行うこともあります。

例えば、タカラトミー社が販売するトミカ(ⒸTOMY)では、実際の車両を縮尺して成功に製造されているミニカーが多いため、机上の再現実験を行う場合に有益なことがあります。
例えば、裁判では、裁判所に事故車両の車名を伝えても、運転を行わない裁判官には伝わりづらいため、「文書」だけではなく、「写真」を使って事故状況を伝えることは時に有益です。

この場合に、実際にトミカを準備し、車両の形や車両高さなどを写真で差家厳氏て説明することで、よりわかりやすく裁判官に事故状況を伝えられることもあります。
裁判官は最終判断者ですが、裁判官も必ずしも車に詳しいわけではありませんし、運転経験がない裁判官もおられますので、「いかに分かりやすく伝えるか」というのがポイントになってきます。

このように、弁護士が裁判を行う場合、①ドライブレコーダーがあれば分かりやすいのですが、ドライブレコーダーがない場合には、②現場での再現実験を行ったり、③写真や文書でいかにわかりやすく裁判官に交通事故の状況を伝えるかという点が重要になってくるのです。

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使用車種:プリウス、ジムニー、ステップワゴン(ⒸTOMY)

●弁護士法人アジア総合法律事務所 小山好文(弁護士)
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