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ひきこもり界隈の人権意識の低さが、弱者搾取やマスコミとの癒着を生む

今回気になったのが、“ひきこもり界隈”の人たちの人権意識の低さ。

報道被害にあったことを伝えても、人権侵害とか名誉棄損とかのレベルではとらえてくれない。深刻さがいまいち伝わらないんですよ。もどかしさを感じたな。

「悪意はないけど理解もない言葉」を無造作にかけられて、がっくりきたり。加害者を擁護するようなことを言われたりもした。被害によって傷ついた心が、より深く傷つけられました。これも一種の二次被害ですね。

そういうことを言ってきたのは、いわゆる “ひきこもり界隈” の人たちです。意外なことに彼らは、こういった問題を表層的なレベルでしか理解しないんです。人間存在の根幹をなす「実存」の領域が侵され、損なわれることについて、あまりピンとこないんだと思う
それに、自分たちの「弱者性」に無自覚で、そこに介入してくる「権力」に対して無批判なように見えるけど、実際どうなんだろう?

当事者団体や支援団体寄りの人たちは、どうしたって「寄らば大樹の陰」的な発想になるんでしょうね。誰かの庇護のもとに集まって安心したい気持ちが強ければ、個としての自分は確立しないし、権利意識も生まれにくい。そういうのはむしろ邪魔になるでしょう。

わたしは部外者だし、余計なおせっかいであることを承知の上で言うけれど、当事者であれ支援者であれ、そういうことでいいのかな?と疑問に思うんですよ。

人権意識が低いと何が起こるかというと、当事者の場合には「悪い人」に騙されて搾取されたり、共依存の関係から脱け出せなくなったりする。優しくしてくれる人・団体にはまってしまい、ひきこもりという「弱者アイデンティティー」が強化されてしまう。その結果として、ひきこもり状態が長引いている人が相当数いるのではないかと、私は踏んでいます。

支援者に人権意識が欠けている場合は、事態はもっと深刻です。支援する側/支援される側という関係はもともと非対称なものだから、人権意識の欠如によって容易に支配-被支配の関係に陥ってしまう。ひきこもり状態にある人を助けるどころか、傷つけたり貶めたりすることだってありえなくはない。

支援者側にそのような意図があるかどうかは、この際問題ではありません。結果として人権侵害を引き起こしているなら、その責任は問われるべきです。

この構造に某公共放送をはじめ大手マスメディアが一枚噛んでいるのは、言うまでもないことです。弱者の味方のようなふりをして、本心では彼らをメシの種としか思っていない報道関係者たち。その無理解と倫理観の欠如を目の当たりにして、とてもショックを受けました。
そのような人たちが特定の当事者団体・支援団体と手を組んで、ひきこもり関連の番組やウェブサイトを作っているのですよ。そんなコンテンツを信用できるわけがない。要警戒レベルです。

今回の捏造事件について、ひきこもりの当事者団体や支援団体は、不気味なくらい無反応でした。ひきこもりをテーマとする番組で起きたことなのに、変ですよね。番組内で謝罪放送があったのだし、この一件に気づかないはずがない。黙殺しているんでしょう。NHKだけでなく彼らにとっても、都合が悪い話だから。

規模が大きくて有名な団体は、NHKはじめとする大手メディアや公的機関と結び付いています。そうすることで大きくなったのだろうし、なにがしかの利益を得ているのです。

NHKで放送されるひきこもり関係の番組や「こもりびと」のサイトを見ると、いつも同じ人・団体が登場していることがわかります。彼らはNHK御用達だから番組作りには協力的で、NHKの意向に沿うようなコメントしかしません。NHKのお墨付きを得て活動するメリットは大きいので、多少の不満があっても目をつぶるんでしょうね。

恐ろしいのは、人権侵害を平気で起こすような報道機関をバックに、当事者団体/支援団体が活動することによって、ひきこもりの当事者と関係者に対する人権侵害が広くもたらされる可能性があるのではないか?ということです。そして、それらの団体内部で人権侵害があったとしても、被害者はろくに声をあげることができないのでは?と思うと、なおさら怖くなる。

当事者・関係者の人たちは、ただでさえ立場が弱いですからね。自尊心も低下してるし、自分より立場が上の人(やけに熱心な支援者とか)や押しの強い人(どこかの局のディレクターとか)から何か強引な要求をされたら、拒否するのは難しいんじゃないかな。

支援者とて全員が全員、善き人とは限らない。ときおり遭遇するのが、自尊心を満たすために人助けをしたがる「エセ支援者」です。いわゆるメサイア・コンプレックスというやつですね。利己的な目的で利他的っぽい行為をする人が、けっこういるのですよ。この話は詳しく書きたいので、そのうち別記事にする予定です。

当事者と支援者間のトラブルに関しては、森口奈緒美さんという方が著書『自閉女(ジヘジョ)の冒険──モンスター支援者たちとの遭遇と別れ』で詳しく書いておられます。noteでも記事にしてらっしゃるので、ぜひご参照ください。

ひきこもり支援のようにデリケートな問題を扱っている団体は、参加者のプライバシーと心理的安全性に配慮する必要があるため、程度の差こそあれ閉鎖的にならざるを得ないという点も、このような被害を生む要因になります。内部でトラブルが発生したとき、それを隠ぺいする力が強く働いてしまうのです。あまりも閉鎖的な集団の場合は独自ルールがはびこって、正常な倫理観が失われていることもありますね(某公共放送がそうであるように)。

支援者、支援団体、当事者団体がみんな悪だ!とは言わないけれど、なかには悪質な人・団体もありますよ、ということです。ぱっと見では良さそうに見えたりするんですけどね……。
支援者の中には、悪い人じゃないんだけど人権意識が欠けてて残念、という人もいます。支援活動をする上では致命的な欠点です。善人(だと自分で思っている人)ほどその自覚がないんだよね。

一方、ひきこもりをテーマに活動している人の中でも、独立系というか、既存の団体に属さずに個人で独自の活動を展開している人たちは、比較的そのあたりの感覚が敏感で、人権意識がありそうな印象を受けました。体制に与せずに独立独歩でやっていくには、それなりの理論武装が必要ですからね。物事を突き詰めて考える姿勢が、おのずと生まれるのかもしれない。

自分より大きな存在にどう対峙すべきか?ということを、常に問わねばならない立場だからです。

私の一件についても、的を射た反応が見うけられました。クローズアップ現代「女性のひきこもり」放送当時から、番組の内容や趣旨に疑問を呈していた人たちは、謝罪放送を見て「やっぱりあれはインチキだったのか」と腑に落ちたようです。

このように事態を正しく把握している人、SNS等でこの件にはっきり言及している人は、“ひきこもり界隈” では少数派でした。

ちなみに、NHKとの交渉に尽力してくれた知人のTさんは、“界隈” の人でもなければ人権問題の活動家でもありませんが、私の話をおおよそ聞いただけで、「それは人権問題だね」と即座に見抜きました。だからこそ安心して助けを求めることができたのです。でも、そんなふうに人権意識の高い人は今の時代とても少ない。

「人権」というと政治的なニュアンスを感じて、抵抗感を覚える人が多いのかな。でも、権力の側にいるのでなければ、ひきこもりの人もそうでない人もしょせんは「弱者」です。最後の砦として「人権」「尊厳」を死守しなければ、後には何も残らない。自分より強い存在に食いつくされて、スカスカになってしまいます。

エライ人とか大きな会社とか、なんだかすごそうに見えるけど、内実はひどいものです。見かけ倒しのハリボテなんですよ。みんなが持ち上げるから、権威があるというだけで。

彼らは素晴らしい仕事をしてその見返りにたくさんお給料をもらっている、とされていますけどね。実際にやっているのは、世の中の役に立つどころか、むしろ害悪になるようなことだったりする。毎日いっしょうけんめい仕事をしたところで、その仕事によって人をひどく傷つけるなら、何もしない方がましなんですよ。何もしないで昼寝しててくれって、心の底からそう思います。

だから、無職だろうがひきこもりだろうが、引け目を感じることはないんです。たくさん働いてたくさん稼いでいる人がエライなんて、嘘だから。
「エライ人たち」にないがしろにされて踏みにじられたら、遠慮なくNOと言えばいい。弱いなら弱いなりに闘うことはできます。誇りを持って生きようよ、って言いたいです。


【追記1】捏造発覚後、謝罪と訂正を求める交渉の場で、NHKの人から「はむたさんの人権を踏みにじるためにやったのではない」と言われて、思わずのけぞってしまいました。意図の有無に関わらず、結果として人権を踏みにじっていたら、それは人権侵害なんですよ。そんなこともわからない人たちが、「ひきこもり」だの「無縁社会」だのといった番組を作っているのです。推して知るべし、ですね。

【追記2】支援団体でセクハラが起こるのはなぜか?ということを、高名なカウンセラーが考察しています(女性蔑視以前に、人権意識の欠如が大きいと私は思いますけどね)。

人権に敏感であるべき団体がなぜ?と思うかもしれないけど、「自分たちは正義のために働いている」という意識が正当化につながるみたい。キレイごとを口にする人・団体ほど、実態はキレイじゃなかったりするよね。

あと、ひきこもり界隈で有名な某団体でも、セクハラ&辞任騒動があったみたいですよ。

「ひとりでいるのは嫌だから」と言ってみんなで集まったら集まったで、トラブルが増える……。皆さまもお気をつけください。


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